裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

日曜日

バン・アレン帯ン・キッス

陽子ちゃんからキッスされたぜ(宇宙飛行士)

※『テッペンハニー』ライブ

朝8時半起床。
宍戸錠がやっているラーメン屋に入る夢。
ラーメンのだしは蛇でとる。
もともとラーメンは蛇でだしをとるもので、ちゃんと蛇で
とっているという証拠として蛇のあたまを一個、どんぶりに入れていた。
それがやがて変化して、蛇のあたま〜あ・たま〜たまごとなり、
ゆで卵を入れるようになったんだ、と説明される。

朝はカレーパンとコーヒー。
日記つけ、メールなどいろいろ。
某テレビのお仕事一件、企画ごと白紙に戻る。
テレビではありがちなことなのだが、少し予定ドタバタ。

自室のテレビをつけたらいきなりどアップで上村愛子の泣き顔。
メダルをとりそこねた(4位)らしい。
いい泣き顔である。
こういう泣き顔はアスリート以外出来ない。

12時、昼食女例。
キャベツとプチトマトのサラダ、カツ丼、味噌汁。
カツ丼は豚肉をパイナップルのつけ汁につけて柔らかくしたもの
だというが、柔らかくなりすぎて肉という感じがせず。
ほうじ茶とキウリのつけもの、ミカン一ヶ。

自室に戻り、『社会派くん』テープ起し原稿チェック。
対談時はずいぶん過激なことを言ったつもりだったが、第一次編集
(担当のK田くんが行う)で洗い落とされたか、ずいぶんと毒のない
発言ばかりになってしまっていたので、毒はまあいいとして、
言い方などにかなり手を加える。

それで時間がだいぶとられ、気がつくと6時。急いでメールで編集部に
送り、出かける支度をする。K子に、掃除の邪魔だから家をあけて
おくようにと言われているのである。

ちょうど、乾恭子からライブのお誘いがあったので、中野ZEROで
やるという女性お笑い芸人ライブ『テッペンハニー』へ。
中野駅で立ち食い蕎麦でもと思ったが日曜で休み。

例によりえんえんと線路沿いを歩いて中野ZERO。ところが、案内には
ただ中野ZEROとだけ書いてあったので、どこでやるものやらわからず。
携帯で検索して調べて、視聴覚ホールでやるのだとわかる。
ベンリになったものだ、と爺さんのごとく思う。

すでに入り口前で長蛇の列。
小さい会場だが、ほぼ満席。最前列には、だいたいどのライブにも
いる、カメラ構えた(それもやたらいいカメラ構えた)人たち。
女の子のライブでは仕方ないか。もっとも、カップルなどの姿も
少ないがちゃんといた。

マイミクのゼファーさんから挨拶される。
今日は昼はルナの演劇塾発表会に行って、夜はこっちだそうである。
熱心なこと、と感謝。彼はもともとは私の(オタクアミーゴスの)
ファンであった。と学会のぴんでんさんと渋谷の『馬え田』で
飲んだとき、岡っちと意気投合して(?)ルナのコントライブ、そして
公演に来てくれて、それ以来、気に入ってくれて、こうやって乾きょん
のライブにまで足を運んでくれている。
昨年末から体調を崩し、やっと回復してまた通えるようになったとの
こと。

で、ライブ開始。実は非常に心配であった。
以前、この手のお笑いライブにはしょっちゅう足を運んでいたのだが
ブームになって以降、もうお笑いというレベルにも達していない
素人さんたちが続々とステージに上がるようになり、見ているだけで
痛々しい、という感じで、いたたまれなくなるようなライブが多く、
それ以来敬遠するようになっていた。今回も、そのタグイではないかと
恐れていたのである。

しかし、今回の出演者にはワタナベエンターテイメント、太田プロ、
サンミュージックといった大手所属の人たちも多く、さすがにそういう
ところの人たちは基本がしっかりしている人が多く(中にはやっぱり
イタタタという人もいたが)、意外にというと失礼だがかなり面白かった。
まあ、面白い人とそうでない人の差ははっきり出ていたけども。
最前列に笑い屋みたいな人がいて、普通ならウザいところ、うまい具合に
作用していたし、たまたま私の隣に座っていた女の子がツボを押さえた
いい笑いをしていたので、こっちも安心してその子に合わせて(笑)
笑い、オジサンの笑いはズレてやしないかという心配もなく安心して
いられた。

25組の芸人さんが、一組平均2分から4分という持ち時間内で
あわただしく出てくる。私がこういうライブに通い始めた20年前に
比べると持ち時間が半分になっている。世の中がそれだけテンポアップ
しているのだろう。そういう中で観ていると、コンビ芸の子たちは
やはり得だな、と感じる。ピンの子というのは、出てきて、観客に自分を
アピールするだけで30秒から1分を費やしている。持ち時間2分とすると
1/4から半分がそれで浪費される。漫才(とは、今は簡単に二人コンビ
だからとくくれないが)だと、形がきちんと出来ているし、二人だけの
了解事項さえ出来ていれば、いきなりネタに入れるのである。

だから、その分、ピン芸人さんというのは、見た目やキャラクターを
ツクる。一瞬で設定に入れるように、である。今日も、妖精キャラ、
アキバ系、マリー・アントワネット、中年のおばさん、詩人、柔道家、
チアガール、MCハマー、セレブと千紫万紅、きらびやかなもので、
その工夫のアイデアには頭が下がる思いだったが、サテそのキャラだけで
どれだけの応用力があるか? という問題になる。早い話それでウケた
として、キャラが飽きられたら終り、ということになりかねない。
乾ちゃんも、女子高生というキャラでやっているが、そこらへん、今後
どうしていくのか課題だろう。本人はホンで勝負したいという
意向があるので大丈夫と思うが。

実際、コンビの人たちは本当に面白いのが多かった。現役女子高生コンビ
というチコポイントは全く期待しなかった(ネタもポケモンネタで
学芸会じゃないんだから、と思った)が、不覚にも笑わされてしまったし、
ビジーストリートはオーソドックスな漫才形式だけに安定感抜群、
ラスト三組のマリア、麦芽、キッチン!には爆笑と共に感心させられた。
マリアのゆみみのキャラが大変に新鮮だったし、麦芽は小出真保のノリが
実によく、キッチン!はコントの完成度、キャラ作りの丁寧さが抜群。
終って、乾ちゃんが着替えるのを待つ間、ゼファーさんと話していても
この三組に関しては絶賛という感じだった。話している最中、ゆみみが
鼻をすすりながら歩いてきて、お客さんたちに愛想をつかうでもなく、
ロビーの柱のところによっかかるようにして床にヘタって座り込み
(しゃがむでも腰をかがめるでもない、ヘタるという感じ)携帯かけていた
その姿というか形というか様子が、
「まだステージの続きか?」
と思うくらいキャラにハマっていて、爆笑してしまった。
こういう行儀の悪さはよくないことなんだろうけど、オモシロイものは
オモシロイ。

乾ちゃん、ゼファーさんと何か食べて行こうと中野ブロードウェイに
行き、金龍門。なかなかの繁盛ぶり、いつもアニドウの受付、写真撮影
をやっておられるX氏も来ていた。青島ビールで乾杯、イカ団子、
腸詰、ピータン豆腐つまみにいろいろと話す。
乾ちゃんの今日のコント、ゼファーさんは初期(お笑いとしてやり始めた
頃)に比べてテンポやネタの密度が格段の進歩、といい、最高点の5を
つけた(採点表が配られていた)そうだ。
私は、も少しガンバれという意味で3点。ネタはいいと思うが、
パンチ力というか、インパクトを重視した見せ方が必要。あと、設定に
ナンセンスさがやや、不足気味。まあ、これは私の評価基準がルナのコント
だからかもしれない。とはいえ、長年ルナにいたのだから、
いいところはもっと盗んでいい。

オトウサンはもう、私がくると“シャオヤンロウ、ナンニンマエ?”と、
頼むこと前提で。紹興酒に切り替えて、さらにお笑い談義。
今日一番笑ったギャグは司会の麦芽の小出が、最前列でムチャクチャ
高級なカメラで写真をとっている人に向って発した
「その写真、何に使うんですか?」
という一言だった。

ゼファーさんは、今年は岡っちの年になってもらいたい、と話す。
9月にはちょっとオモシロイ役で使うつもりです、と言っておく。
乾ちゃんに、二人、自家製のチョコをもらう。
おお、聖バレンタインデーらしくなった。

11時半までなんだかんだワイワイ。
店を出て、タクシーワンメーターだが乗って帰宅。
掃除完了していて気持ちよし。
本を片手にすぐベッドへ。

*小出真保と乾ちゃん。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa