裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

日曜日

東よくばる知事

「自分を総裁候補にしろって、あなた」

※『黄金夢幻城殺人事件』千秋楽

朝9時半までベッドでだらだら。
もっとも、だらだらに今は“心臓の安静”という理由がつくので
大威張りでだらだら。
起きてすぐ朝食。
ジュース、ブロッコリスープ、ミルクコーヒー。

食べて入浴、日記つけなど雑用。
マイケル・ジャクソン死去のニュースのコメント欄、
「ショックだ」
「信じられない」
「何も言えない。ただただ冥福を祈る」
というものが多く、死因等に触れたものはほとんどなし。
もちろんマイケルがこの30年の音楽シーン最大の大物
であったことは承知しているが、それ以上に整形や薬物依存疑惑、
奇行などの方が私や私の周囲では噂に上ることが多かったため、
突然死については、ショック以上に
「やはり何かあったか」
というタブロイド紙的興味が先に立つ。
音楽ファンは素直だなあ、と感心すると共に、ちょっと純真すぎる
のではないか、というひねくれた気分にもなる。

晩年のマイケルの身体異変に比べればささいな異変だが、こないだから
左手人さし指の皮がボロボロ剥けて、皮膚病みたいで気味が悪く、
なぜ左手の人さし指だけ、とちょっと不安を感じていたが、
ああ、血流をはかるセンサーをこの指の先につけられていたからか、
と思いだす。絆創膏でずっと巻き付けられていたので、その部分の
皮が、今ごろ剥けだしたのであった。
昼は12時にしてもらい、ブロッコリと牛肉薄切り炒め、
シャケとコンニャクの煮物でご飯小盛り一杯半。

下北沢へ。
ちょっと遅れて入る。
すでにバラシの算段中。
今回は本多劇場側のご厚意により、パンチをはがさなくていい、
ということになったので、凄まじく楽になる。
まして今回の舞台は大道具をほとんど使っていないので、なおさら。

注意事項等終ると(今日もハッシーは仕事でぎりぎりにならないと
会場入りできない)急いで着替え、準備に。
あわただしいことである。
希依ちゃんとNCがいつも通り、熱心にギャグの打ち合わせをしている。

私は例によって燕尾服に着替え、ヒゲを描き、弁士へと変身。
楽屋に置いてあった梅しば(信玄梅というやつ)が癖になって、
つい、気がつくと2〜3個連続でカリカリと食べてしまう。

で、いよいよ開幕。
疲れがたまってみんなトチリや台詞抜けが目立つが、
段取りやテンポは身体が覚えている。
脳と肉体の違いなのか。
受けるところはちゃんと受けて、無事千秋楽打ち上げ。
ご来場いただいた皆さんに感謝。
いちいち日記につけきれず申し訳ない。

そのあとすぐバラシになる。
ざざっと手伝い、一旦家に戻って、ショートムービーフェスティバルの
DVDを持ち、とって返す。座長がちょうど収支計算終って
みんなにチケットバックしているところ(小劇団ではたいていどこも
チケットバック制度というのがあり、自分通しで予約を取ると
一枚につきいくら、という金額が入って、それがギャランティ代わりに
なったりする。で、あるから出来ればみなさん、直に劇団通しでなく
私通しでチケットを買っていただきたいんである)。
今回は客入りがどうかと心配だったのだが、無事黒が出たとのことで
ホッとする。

二次会会場は茶沢通りの『八分目』。
いつも横目で見ていた店だが入るのは初めて。
さすがに庄やよりはツマミが高級である。お値段もやや、いい。
原作者の近くに席をとり、慰労の言葉を贈らせてもらう。
こんな小劇団のために、よくこそ協力してくださったことである。

話はほぼ、『少年探偵スバル』をスピンオフして映像化しよう、
ということで展開。冒頭のほんの数分しか出てこないキャラなのに
よほど観客の皆さんの心をつかんだキャラであるようだ。

席をあちこち移し、みんなと会話。
古舘のYさんとは例の件の話、それからNCたちとこれまた例の
“人生を変えた”ばなし。
あと、やはり今回の舞台で伝説となったNCのミス。
舞台後半にNCのコント場面が2つあるのだが、その日(確か
2日目)、妙にお客さんのノリがよくNCの出演シーンがバカウケ
になり、気をよくしてもっと舞台にいたいと思っていたのか、
NC、なんとその2つの出番を無意識につなげて演じて
しまった。2回目のシーンのラストでNCの演じた千石は
殺されるので、このままだとやたら早くNCが死んでしまう。
あわてて、アドリブでハッシーの召使いが舞台に出て引込ませた
のだが、その時のNCの表情がまず、見ものだったとのこと。
麻見さん、由賀ちゃん、前澤くん、中村公平くんなどとも。

12時近くまで飲んで、普通は打ち上げは朝までが通例なのだが、
さすがに心臓を休ませねばと思ったので、しら〜、はれつ氏などと
タクシー相乗りで帰宅。……うーん、楽だがやはり物足りないな。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa