裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

日曜日

マジレスと亀

マジレスは決して亀レスに追いつけないのだ(ゼノン談)。……シャレ、この先もうやった奴が混じるかもしれないが御容赦。

朝7時半起床。夢が小劇場版スペースオペラ、みたいな感じのもの。おもちゃ箱をひっくり返したようなキラキラピカピカで、見ていて楽しかった。

9時朝食、スープ、キウイ、黒酢カルピス。K子にFRIDAY用図版資料をネットで探してやる。テレビ見つつ仕事。ネットで、宇宙人に腕をつかまれた少年という記事を読む。電信柱の影に隠れた宇宙人の写真が、テックス・アヴェリーのアニメみたいで笑える。

http://www.rense.com/general69/alien.htm
12時半、家で弁当使う。電話、メール数本。緊急の用件だが、なんともなことで対応に苦慮。ナンだか仕事する気力とかが全部抜けてしまう。自宅のパソの方が格段に使い勝手はいいのだが、やはり自宅にいると仕事にならない。

ビデオでディズニーランドアンソロジー『火星とその彼方』など再見。こないだ見たディスカバリーチャンネルのDVDより40年も前の製作になる作品で、今見ると時代を感じさせる部分は多いが、それにしても見るものを楽しませ、引き込み、科学と宇宙に興味を持たせるパワーを持っていることに関しては比較にならないくらい優れている。

それで足りずに、芦辺拓先生のところで紹介されていた荻窪東宝なるアマチュア製作集団の作品でウルトラQへのオマージュ作品『盗まれた時間』を見る。

http://homepage.mac.com/taiyopaint/iMovieTheater2.html
ウルトラQ世代の人がとにかく手作りであの世界を再現した労作。濃厚なレトロ感覚の再現が見物。それからしばらく寝て、起きて手紙一本書く。ちょっと文章を選ぶのに時間がかかる。いろいろな思いが頭の中に交錯。終わって日記まとめなど。

8時、母の室で『功名が辻』見ながら夕食。ナレーションを局アナ(三宅民夫)にやらせているところといい、かつての大河ドラマへの回帰を目指しているようだ。大名などの名前が出るたびに下にテロップで解説が出るのは視聴者を馬鹿にしているようだが案外親司馬遼太郎原作のエッセンスをわかっているのかも。司馬作品の魅力はあの、頻繁に出てくる
「余談だが」
で得られる日本史の断片的知識にかかっているのだから。三島由紀夫などに言わせれば日本人の瑣末な教養主義なのだろうが、以前映画『帝都物語』を観たときにもなぜ普通の映画にしてしまうのだろう、原作者自身が解説で出てきていろいろと「この学天則とは……」などと解説を入れないと、あれを原作にした意味がないじゃないか、と思ったものだ。

夕食、ハムと卵とパスタのサラダ、くわいとハムのてんぷら(生前の中田の伯母から貰ったハムを片づけるため)、それとまぐろの手巻き寿司また。なんだかんだ言ってうまい。

自室に戻り、さきほどの『盗まれた時間』に触発されて本家『ウルトラQ』何話か見る。『ガラダマ』で一番好きなシーンは一の谷博士が子供たちに隕石のことを講義するシーン。この子供たちがうらやましい。

世界的な学者がいきなり田舎の村にヘリで降り立ち、ガラダマの落ちた場所までの道案内を頼み、自分たちの質問に白頭美髯の頭をゆらし、指を空にピンと突き立てながら
「宇宙はもっともっと広いのだ」
と熱弁してくれる。この子たちのうち何人かは確実に将来、宇宙学への道を志したろう。

さきほどの『火星とその彼方』もそうだったが、50〜60年代のSFドラマと現代のそれの一番の違いは、当時のものは科学の恐ろしさと共に、必ず科学の素晴らしさも教えてくれていたところだ。そこにただよう大いなるオプティミズムが、独特の雰囲気をもたらしていたように思う。

半身浴でチェスタトン『ポンド氏の逆説』読み、汗かなりかいて寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa