裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

土曜日

ベストヒットUMA

今週の一位はジャージィ・ディヴィィル!(小林克也調で)朝7時起床、メールチェック。

『ブジオ!』のソウルフードコーナーについてメールしたらI井Dから「しかし(朝が)早いですね」と返事が来た。

メールしたのが8時40分ころである。一般社会ではけして早い時間ではない。あくまでもギョーカイ人として早いということだろう。これで例えば深夜放送などを担当するようになったら生活リズムも変わるだろうが。

深夜放送の場合は帰りのタクシー代が局から出るが今の時間帯の場合は“電車があるから”という理由で出ない。とはいえ、だいたいいつも打ち上げで終電逃すまで飲んでしまい、帰りはタクシーになる。

これを節約してなるべく電車で帰れ、と簿記2級のK子から命令が来ているが、しかしベロで電車に乗って、醜態をさらしたところを写メされる、などというのはあまりカッコいいものではない。

それでなくても最近、電車に乗って、こっそりと携帯で写真撮られているのに気がつくことが多い。気がついたケースだけで多くなっているのだから、気がつかないうちに撮られているのはもっと多いだろう。酔って電車に乗るのはちょっと怖いのである。

9時朝食。ミカン一ヶ、リンゴ二切れ、スープカップ一杯、野菜ジュース缶、ミルクティー。

今日はそれほど気圧乱れてはいないが用心のため麻黄附子細辛湯のんでおく。
11時まで日記つけたりメールしたり。11時、家を出て、浅草まで地下鉄乗り継ぎで。今日は浅草大勝館一階のSHOWホールで快楽亭の会があり、梅田佳声先生が出演する。

DVD関係がらみのイベント全般をお願いしているT社のK氏はじめスタッフが佳声先生のステージを見たいというので、紹介の任も兼ねて出かける。昼がまだだったので、とんかつの『リスボン』でカツカレー。

あとで、しまった、この店に来たならチャプスイを食うんだった、と後悔。この次は必ず。

SHOWホール、今日は出演予定がない談之助さんがいる。同人誌を売りに来ているらしい。表で元気いいぞう、快楽亭の師匠に挨拶、快楽亭はヒゲを剃って若返った。クリスマスにサンタクロースの扮装をするために嫌だけどのばしていたらしい。

佳声先生、息子さんと一緒に紙芝居(今日はCD−ROM)の設置準備。
SHOWホールというところ、大勝館の稽古場兼大道具工房を客も入れられるように改造したところらしい。楽屋もベニヤと角材を使って作られている。客入れ、安達Oさん、まるさん、アルゴ細谷さんが来たので挨拶。

Tさんたち三名を関係者として入場させてもらう。満員の盛況。安達Oさんと少し話す。またここでも
「倒れないでください」
と言われる。
去年の日記にやたら鬱になったり神経的に参ったりしたと書いてあるのは仕事が忙しかったためではなく、別の理由で、今年は大丈夫なはず、と話す。
快楽亭、すっかり回復といった感じで最初が正月らしく『羽団扇』。それから元気いいぞうがたっぷり。「本物のキチガイ」と快楽亭が評する最近の芸風に大満足。考えてみれば彼とのつきあいももう20年近くになる。

へらちょんぺ結婚の報(!)とか、正狩炎の近況とか楽屋で話したが、ああ、これも私の青春なのだなあ。次が佳声先生、ネタは私の大好きな『虹の御殿』だったが、CD−ROMなのと、元気いいぞうの後なので少しワリをくった感じ。そこで中入り。
その最中に同人誌販売で談之助、元気、主宰者の梅香庵さんが高座に並ぶ。どれもかなり売れていた。中入り後はターザン山本との対談。

「離婚・競馬・借金の三つの大先輩」だそうな。吉田豪氏の名前もちょっと出てきた。トリが快楽亭『SMたいこ腹』、このネタを病み上がりでかけるとは。ちゃんと定番演出で、途中で裸になって亀甲縛り姿になる。ここで、やはりちょっと肉体のやつれを感じてしまったが、しかしその元気たるやよし。終わったあと、楽屋で談之助が
「しかし、命のいらないおっさんだネ」
と呆れていた。

終わって近くの喫茶店『ブロンディ』でT社と佳声先生との顔合わせ、と思っていたら、満員。他のところものきなみダメ。ブロンディの親父さんが
「あと数分待ってもらえれば」
と言ったのを、確定じゃないしと思って出たのだが、そうか、今日は中山競馬二日目か、と気がつく。本当に、あと数分でレースが終わったら、テレビで結果確認していた客が出ていったはずだったのだ。数軒目の喫茶店、やはり競馬が終わったところで出ていく客と入れ違いに入る。今後の企画予定とスケジュール等のことを話すが、私一人でちょっとしゃべり過ぎてしまったかも。

打ち合せ最中に携帯に電話、NHKのU氏。新番組の件、打ち合せを今日とか明日にどうか、と。土日とかないのか?とりあえずの顔合わせ終わって、これから快楽亭の打ち上げに参加という先生父子と(快楽亭の携帯に電話したら料金未払いのためと思うが通じなかった。大丈夫か?)T社の人たちと別れ、一旦渋谷に帰る。

事務所で業務連絡いくつか。ソウルフード本のおぐりの原稿よし。ブジオの次週ゲストに、木村祐一の結婚をネタに結婚・離婚ばなしをしようと内田春菊に白羽の矢をたて、出演依頼メール。

今日はひさしぶりにはれつ、みなみ、QPというメンツと、モンゴル料理を食べませんかというお誘い。最初は亀戸で、店内にしつらえられたパオの中でモンゴル衣装を着て食べる、という趣向だったのがその店が当日貸切ということで、本店の池袋店へ。
7時10分に池袋駅北口改札でK子と待ち合わせ、仕事が長引いて時間ギリギリになり、間に合うか、というところだったが、新宿から埼京線で一駅というのはさすがで、カッキリに着いた。

北口から文化通りを歩いて五分。モンゴル料理『故郷(ノタガ)』。狭い店内でモンゴル人の女性二人で切り回している。ここが本店で、評判により亀戸に支店を出したのだそうだ。

結局集うもの、はれつ、みなみ、QP各氏の他、植木不等式さん、しら〜さん、モモちゃんという大人数になる。最初に出た羊の旨煮、これがほとんど濃い味付けのなされていない、シンプル極まる羊の茹で肉で、嫌なにおいがみじんもなく、上品に茹で上がったものをナイフで切り、骨付きの部分はそのままかぶりついていただく。

茹で肉好きの私にはもうこれだけで満足。それから次がホルホグ(行宮焼)というやつで、これも薄味のタレに漬けた羊肉をジャガイモ、ニンジンと一緒に石焼きにしたもので、肉もうまいがイモが絶品。さらに羊の蒸し肉の薄切りを麺麭にはさんでいただく新メニュー、薄切り肉の味がしみこんでいるタマネギがまた。ミルク酒(本場のモンゴルは馬乳だが、最近は牛乳酒が一般的らしい)も口当たりがいいが、K子が私がヘベレケになるのを用心して止めるので、ビール中心にして、ときおり味を見るだけにする。水餃子がまたうまく、揚げ餃子はお菓子のよう。ジンギスカンはなぜ世界をあそこまで征服できたか、またなぜ完全制服できなかったか、というような話題でワイワイ。

店の壁に朝青竜や旭鷲山の写真、モンゴル相撲の番付などの他。「モンゴリアン・エンパイア」という、当時のモンゴル帝国の領土図などがかかってあって盛り上がる。
われわれがあまり普通の客と違っていたせいか、店主らしいおばちゃんが話しかけてきて、予約でないと食べられないという特別メニューの羊肉鍋を出してくれ、最後にそこに練った麺をちぎって投入して食べる、という食べ方を教えてくれる。スープをほぼ飲み尽くしてしまった。ここらで店はもう看板なのだろう、カウンターの奥で明日の仕込みか、羊ほぼまるまる一頭の解体が始まった。

K子が興味示してみんなでのぞき、写真を撮る。出て、これから次の店へ行くという植木、はれつ、しら〜の鉄の胃袋組を残し、われわれは山手線で新宿まで、そこからタクシー。

メールチェックしたら、春菊の事務所からもう出演応諾のメール。早いねえ。

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