裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

金曜日

土器、埴輪、どオタク

凄まじい古墳マニアだな、君は。朝8時起床。寒い々々。しかし朝の寒いのは嫌いじゃない。熱い湯に身をひたして解放感。

9時朝食。野菜ジュース缶、リンゴ、みかん。服薬小青竜湯、黄蓮解毒湯、明目仙。日記つけ、FRIDAY今年第一回原稿。コラムとネタを同時にやっつける。これを今年のFRIDAYの課題にしよう。そうすれば〆切がひとつ減るわけだ。

執筆途中で開田さんがバッグ(タクシー運転手さんの。無くした本人は“オレ、よくやるんだよ〜”と笑っていた由)を取りに自転車で来る。
「寒いさむいさむい」
と冷えきった手を押し付けられる。可愛い女の子にだったら嬉しいが。しかし、実際この寒さは。

FRIDAYアゲたらバーバラとの打ち合せ時間になるので急いでタクシーで渋谷へ。そしたら当のバーバラから15分遅れるとの連絡あり。もひとつ、FRIDAYのK村くんから出したコラム・ネタ共にOKとの連絡、ただしちょっとコラムでもう少し詳しい説明欲しいというところあるというので、そっちで手を入れてくれと頼んでおく。辞書的説明ならこちらが手をわずらわすこともない。東急ハンズでカレンダー等買い物、それから宇田川町交番前でバーバラと落ち合い、新楽飯店でメシ食いながら打ち合わせ。

ソウルフード本の細かな進行、清流出版の件、今後の状況のこと。若いライターが
「ライターはたいこもちじゃない!」
と言い、バーバラが思わず
「え、たいこもちじゃなかったの?」
と訊き返した話。タイコモチと言うからイメージが悪くなるのであって、サービス業と言い換えれば、クライアントの意を体してそれの喜ぶような原稿を仕立てる技術を売ることこそがライターの仕事と言って、何の不都合もないだろう。

人のためにじゃなく自分のために書きたいというのならライターではなくノンフィクション作家を目指すべきなのである。そこで別れてからもうひとつ、頼みたい仕事があったことを思い出す。まあ、後でメールしておこう。

と仕事場に入り、パソコンの前に座るがこの寒さで気圧が乱れているのか、まるで体が動かず。朝、服薬の折りに今日は麻黄附子細辛湯でなく明目仙にしようとしたのがミスだった。こういう空模様の日は気圧が乱れていると気付かなければならなかったのだ。

自分の体調にあわせたかのごとくパソコンも不調で、フロッピーの原稿を読み取らなくなる。向後はフラッシュメモリーだな。

パイデザに電話して対策を練るが、自宅のパソならともかくこの仕事場のパソではダメらしい。

母が来て上の居間部分を掃除してくれているがやはり“寒い〜!”と言っていた。この寒さの中、仙台で生後すぐに連れ去られた赤ん坊のことを思うと胸が痛むが、その産院の名前が“スペルマン病院”というのが気になる。確かにスペルマがないと赤ん坊は生まれないが、とか、ネビュラの星からやってきたのか、とか、いろいろなことが頭をよぎり同情を邪魔してこっちを善人にしない(笑)。調べたらこの病院を建てるにあたって援助をしたローマの枢機卿の名がスペルマンで、そこから付けられたそうである。

8時、『ブジオ! わた鬼』を聞く。こないだ(30日)に収録したやつ。だいぶ放送開始時に比べ声の上ずりは治って聞きやすくなっているように思う。あとは自分で言って自分で笑う(オタクの特徴的自己完結)のを減らさねばいかんな。ディレクターのI井さんが
「自分で言うのもなんだがこの回は面白い」
と言っていたが、なるほど、ゲストのいない気軽さをさっぴいても面白い。おぐりのボケもいきいき。収録なのだからせめてサービスを、と、リアルタイムでブログに書き込む。

コメントもそれが呼び水になってよせられ、収録にもかかわらずかなりの書き込み数になった。さて、来週はどう攻めるかな、とザンボット3のラストみたいにつぶやく。終わって、帰宅。

母の室でメシ。AIWの肉ですきやき。バタ焼きもいいが、ひさびさのすき焼きがうまく、バクバク食った。最後に餅を入れて食べる。ダイエットの敵だがうまいものを食えぬストレスには抗し難い。

テレビで『女王蜂』。こっちで半分、自室に戻って残り半分見る。時代考証とか、凝っているというよりはキッチュにレトロチックに作っており、推理ものとして見ればアホらしいがエログロ趣味ナンセンスとして見れば結構見られる。いかにも漫画チックな映像処理は興ざめだが、これも正月番組ではアリか。

稲垣吾郎のいかにも存在感の薄い金田一耕助も、キル・ビルに出てから日本人じゃなくなってしまったように“濃く”なった栗山千明(怖い)や、こういうムードのドラマに欠かせぬ及川光博、しかしそのミッチーの影すら薄くしてしまった(これを見られただけでモトはとった気になった)高橋昌也の怪演の中で清涼剤として働いており、案外好感。小日向文世の横溝正史は、市川崑版の本物がまだ記憶に新しいのでちょっと違和感あったが。

市川崑の『女王蜂』がもともとナンセンスな原作をリアルっぽくしようとしてかえって変梃になってしまっていた(仲代達矢が学生服来てでてきたり)のに比べれば、こっちの方がむしろ原作の雰囲気は出しているかも。ただし、杉本哲太の怪行僧、九十九龍馬のみは、映画版の神山繁のすさまじい怪演に及ばなかった。
「おッ母様」
ってセリフの言い回しで映画館が爆笑したものなあ。今年は山田誠二カントクのDVDでビッコのバン・ヘルシングを演じることになっているのだが、あの神山繁調でやってみたいな、とフと思いついた。警部役の塩見三省はもと光文社の私の担当だった女性の旦那さん。すごく小柄で可愛い編集さんだったが、どこでどうやって知りあって結婚したものか。メールで連絡いろいろ。

忘れていたバーバラへの新企画の件も。DVDで『フラッシュゴードン/宇宙征服』5話からちょっと見て、ホッピーの酔いで寝る。

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