裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

日曜日

私のことはただのエスビーだったのね!

だからカレーを信じちゃいけないと言ったでしょ。朝7時半起床。

メールチェック。『ラジオ出演について』というタイトルのものが複数あって、ダブりかと思ったら内田春菊の事務所からのと、高須克弥先生からのもの。ゴッチャにせんようにしなければ。

入浴、洗顔、9時朝食。野菜ジュース缶、スープ、ミカン、リンゴ。日記つけ、スケジュールをいろいろ算段。肩がいやに凝る。

春風亭昇輔くんからメール、真打昇進&末広亭興業の件で打ち合せを、とのこと。
1時、新宿まで地下鉄、車内吊り広告で見て興味持ってキオスクで『プレジデント』誌買って読むが大したこと書かれてない。タクシーで渋谷。

雑用いくつかすませ、2時、東武ホテルでNHKのU氏。3月からのBSでの新番組の打ち合せ。まだ正式決定ではなく(とはいえ収録日は仮押さえ)決定したとしても毎回出演というわけではなく、一回措きくらいのセミレギュラーだが、第一回から出演というのはうれしいし、役割も「ちょっと唐沢さんへの負担が大きくなってしまうのですが」と言われたが、企画書の内容などを見ると、私のためにあるようなポジション。これなら毎回でも結構。とにかく、いまの時期新番組決まるのはありがたい。六花マネをこれまでアルバイトだったのを春から正社員にするわけだが、その給料がこの番組でそっくりまかなえる。

もっとも、アニメ夜話くらいの出演料が出れば、だが。いろいろ雑談もして、別れてブックファーストで資料買い込み。腹が減ったので富士そばでわかめ蕎麦を立ち食いするがまずいのなんの。半分で残して出た。

仕事場に帰ったら母が掃除に来ていた。買ってきた資料の袋を見て
「また何か買ってきたの!」
と言うが、商売道具だ、これは。

原稿、北海道新聞書評。枚数的にはわずかだが、はかどらず。6時半ころ、なんとか完成。ラジオのニュースで、豪雪による事故の報、多数。青森では58歳男性が昨年暮、屋根の除雪中に雪と一緒に落ちて埋まり、凍死していたのが発見されたという。

年老いた両親がいるとのことで、ああ、親はどんなに嘆き悲しんでいただろう、と心痛むが、ネットでくわしく情報を拾ってみると、
「同居する両親は出稼ぎに行ったと思い、行方を捜さなかった」
らしい。
「これまでも何も言わずに出稼ぎに行っていたので、今回もそう思った」
のだそうである。
これはいくらなんでも薄情だろう、親も子も。
いささか心の痛みが薄れてしまった。常識で全てははかれない。

7時半、家を出て買い物して帰宅。原稿書きながら『功名が辻』第一回を見る。山内一豊というと大河ドラマではどうしても『国盗り物語』の中の東野孝彦(英心)を思い浮かべてしまい(千代は樫山文枝だった)、イケメンの山内一豊というのはどうもピンとこない。

必ず“いくさはいやじゃ”と女性に口走らせる戦国大河のお約束もイヤだし、「おね」を原作重視で「寧々」にしているのに山内を地元・高知での呼び名に従って“やまのうち”でなく“やまうち”にしているのも中途半端(しかも、それなら一豊は“かつとよ”かと言うとこっちは“かずとよ”)。……などとまあ文句は言うものの、こないだ浅草で乗ったタクシーの運転手さんがのたまったように、
「ジャニーズ事務所のタレントが主役でないってだけで今度の大河ドラマは見るね、オレは」
であって、案外見られるものになってる。舘ひろしの信長は老けすぎだろう、とか、柄本明の藤吉郎も老けすぎだが、こっちはこないだの正月ドラマの柳生宗矩よりずっといいとか、御託を並べながら見られるのがいいのである。特別出演格で今川義元が江守徹だったが、最初、誰だかわからないくらい太ってふくれているのに驚愕した。

いや、今川義元にはぴったりなのだが、それにしても。山本夏彦の『役者のくせに勝手に太る』というエッセイで
「江守徹もよく聞けよ」
と、すでに太めになってきていたのを注意されたのがもう二十年以上前である。改めて夏彦翁の慧眼を思う。

原稿書きハンチクのまま投げ出してメシ。鴨肉と大根の湯豆腐、メジマグロのブツ。日本酒とホッピー飲みながら、ディスカバリーチャンネルのDVDで『コスミック・サファリ』。案外つまらない。

12時、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa