裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

水曜日

つけチクロンB

 ガス室の壁にあるこのポッチは……。朝7時起床、入浴、朝食。ゆうべ1時ころ鼻炎薬と風邪薬と両方のんで寝たので頭がまだボーッとしている。しかも外は雨。普段の私ならもう今日は体が動かぬ頭が冴えぬ何も出来ぬと恐れ入って布団にもぐりこん で寝てしまうのだがGW進行の中ではそうもいかぬ。

 10時出勤、おとついからKさんの泣き声電話が入りっぱなしの『創』依頼原稿。15枚の原稿中完成分が5枚、残りをとにかく本日昼までに、ということでだだだだと。1時までになんとか完成。ほーっと息をつく。送ったメールの題名に、“原稿で す!”と“!”をつけてしまった。

 電話、エイバックO氏。こないだのマイ・プランの件を昨日留守録に入れておいたので、そのこと。クールなO氏だがやはりちょっと興奮気味なのが可笑しい。この件 での打ち合わせ、まかせる。

 1時半、弁当。オニギリ一個分のご飯を黒豆納豆と小ナスの漬け物で。黒豆納豆については開田あやさん、石黒直樹さんその他大勢の方々から“どこそこにある”というご教示をいただいた。これでしばらくは黒豆納豆に餓えずにすみそうである。御礼 申し上げます。

 朝日新聞ベストセラー解読原稿ゲラ、『フロムA』インタビュー原稿まとめ、アサ芸『こんなニュースに誰がした!』ゲラそれぞれFAXくる。『こんニュー』はまだ 文字だけだが、土田さんのイラストがどうくるか。

 この連載、2ページ見開きのコラムとしては連載開始以来アンケートで大奮闘中らしいが、その秘密のひとつが土田さんのインパクトの強い絵にあることはまず、確実だろう。技術的にはまだまだ、なのだがパラパラ、とページを繰ったとき、フッとそ のページで指をとめるパワーがあのイラストにはある。

 これだけあらゆる雑誌が氾濫し、情報があふれかえっている中で、読者はいまや最初から最後までじっくりと雑誌をためつすがめつ、読みはしない。ページザッピングの中でひょいと目に触れ、印象に残った内容のところのみを読む。要はインパクト。キーワード、言い回し、ネタの濃さ、そしてイラスト。記事の質はその後にしか問題にされないのである。嘆いていても仕方ない。要はその中で条件を満たしつつもいい ものを書き、生き残ることだ。

 続いての原稿にすぐかからねばならんのだが連絡事項その他雑事もいろいろ。週プレMくん、原稿料振り込みについて。二見のYさん、単行本企画とりあえず通ったとの報せ、桃ノ樹プロYさん、次回打ち合わせの件。Mくんの件で、すぐ土田さんに電 話、その他いろいろ。

 6月に講演を依頼された代理店から電話、聴く客が水回り修理業の人たちなので、キッチンに関係するトリビアを二つ三つ用意してほしい、とのこと。芸人のプロダクション長くやってきたからホイホイ引き受けるが、“オレは作家だ”というようなプ ライド持ってるとなかなかツラいものがあるだろうな、と苦笑。

 藤本和也さんにイラスト依頼の件でメール。同人誌原稿二本やったあと、新宿に出て、サウナ&マッサージ。サウナで汗、ひたすら流しながら無念無想、とはあいにくいかず、いろんなことが頭に浮かぶ。腹立たしいこともあり、また昨年末みたいなゴチャゴチャが再来するか、というような嫌な予感に襲われるが、いやいや落ち着け、先走るなと自分に言い聞かせる。自分の能力に過剰な自信を持つことを断じて自身に戒めているのだが、しかしそれが習いとなると逆に常に不安に苛まれていなくてはい けない。これも困ったものである。

 マッサージの最中にオチる。帰宅、家でメシ。ワカメ酢の物、ピータン、それに昨日と同じミニステーキ。ビールとホッピー。食事最中にパイデザに電話、同人誌打ち合わせ。テレビで『その時歴史が動いた』、源義経。自室で時代劇ビデオ見ながら水割り缶一本。藤本さんからは大変にお仕事喜んだ返信が来た。いいものにしようと思 う。11時に寝る。今日こそはたっぷり寝なければ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa