裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

火曜日

これだけは一徳

 シローみたいに借金を増やしてはいかんぞ。朝8時起床、朝食。甘夏みたいなパサパサの柑橘とバナナ。花粉症は毎晩寝る前に鼻炎薬をのんでおくと軽減することを発 見して以来、順調。あ、遅起きになったのはそのせいか?

 入浴、ネットでブログサーフィン。あるところの日記でちょっと嫉妬心で不機嫌になったり、その人物が別のところで書いていた別の日記でその嫉妬が解けてご機嫌になったり。もうすぐ47歳になろうとしている人間が、たかがブログ程度でこんなにココロ揺れるのも情けない。座禅でも組んで不動心を養うか。しかし、そうなるとモ ノも書けなくなるのでは、と思ったり。中野監督のミク日記にあった
「“マルチ商法”や“ヤバイ宗教”を突き動かす原動力も“やりがい”とか、“これやってるとさびしくない”である」
 という言葉はかなり、深い。

 六花スケマネから本日の予定メール。
「(翌日のテレビ映りに差し支えるので)アニドウの後、飲み過ぎませぬように」
 いいなあ、こういう、他人に管理される感覚。そのスケジュールで本日の予定を立てていたら、携帯に北海道新聞から電話、
「今日中に原稿(書評欄)入れていただかないと間に合いません」
 あ、忘れてた。いかにマネージャーがスケジュール管理をしてくれていようと、忘れていてはどうしようもない。

 出勤、11時。とりあえず書評用書籍には全部目を通しておいたのでよかった。そそくさと原稿書いてメール。その間にフジテレビからのバイク便が、『ただいま!』 のポスターをピックアップしていく。

 それから昼食。いつもはオニギリだが、今日はオニギリ一個分のご飯をパックで。それと納豆、温泉卵、カップ味噌汁。ブックファーストに行き、今日発売の週プレとアサ芸を買う。送ってくるのが二日遅れくらいになるので、つい買ってしまう。

 週プレ、『中国に宇宙人が大量上陸中!!!!?』という記事が笑える。イラストも“いまどきこんな中国人いるかー”というようなドジョウひげの絵だし、宇宙人にアブダクションされた人間が“アイヤー”と叫んだ、などという文章もいい。コメント寄せているのが例によって南山宏氏だし、70年代の記事そのままの味で、週プレ はいまだにこういう特集をしてくれる、貴重な雑誌だなあと感激。
「とても中国の男性には耐えられないような恥ずかしいこと」
 を宇宙人に! という表現もgood。

 1時、北海道新聞から電話、原稿の件とはまったく別に、札幌にこんど出来たオタクショップについて、今後サッポロもアキバ化していく可能性はあるか、ということ に対し偉そうにコメント。

 2時、時間割で桃の樹プロダクションT氏と打ち合わせ。日本文芸社のパンドラ新書に使えるアリ原がないか、という話。すでに単行本で出したものでもよし、とのこと。見たら、糸井重里氏が以前ごまブックスで出していた『スナック芸大全』を『合コン&宴会芸大全』と改題して、イラストのみ変えて出している。これではあまりなので、私のときは少し改訂して新原も入れます、と話す。あと、他の著者も紹介して ほしいというので、二、三心当たりを。

 T氏は以前は桃園書房『小説CLUB』編集長だった。現在の編プロ名をそれにちなんだ名前にするくらいだから、愛着はあるのだろうが、桃園書房も末期は社長がやる気をなくして大変だったそうだ。
「なあ、T。俺、会社やめて焼鳥屋をやりたいんだ」
「はあ?」
「お前はどうする?」
「はあ……」
「焼鳥、焼くか?」
「はあ……いえいえ」
 みたいな毎日だったそうである。ちょっと笑える。

 仕事場に戻り、原稿少し書く。背中がバリバリなので、タントン。強く揉まれること揉まれること。痛みの中で眠る。揉まれ終わったあと、下半身にかなり汗をかいていたのが気になる。鼻の頭あたりに汗が浮かぶようになったら危ない。芸能プロダクション時代、一緒に仕事していたT木という男が、やはり無理しすぎて心臓発作で死ぬ数日前に会ったとき、鼻の頭に大粒の汗を浮かべていた。

 そのまま新宿〜中野。芸能小劇場でアニドウ定例上映会。内容はヒミツ。この上映会のいいところは、傑作ばかりでなく、凡作・愚作も上映するところ。それによって時代の正確な状況もつかめるし、傑作がいかに傑作かも実感できる。

 で、ただ動いていてきれいなだけのハーマン&アイジングの作品のヌルさが案外気に入ったりして。植木さん、Kさん、それと『天動説』Kくん。終わって出たらHさんもいた。仕事で見られる時間に来られなかったとか。

 こないだ改装中だった裕香園に行ってみるが、まだ改装中。カンバンもおろされていた。Kさん情報ではジンギスカン屋になってしまうらしい。残念。『王味』で青島ビールと紹興酒で乾杯。豚足煮込み、鹹味アヒルなど。Kくんに『コミビア』はもうやらないんですかと聞かれる(毎朝見てくれていたらしい)ので、ナイショの話をちょっと教え、
「それまではこれでツナいでます」
 と週プレ見せる。途中からライターのKさん(ぽんさQさん)もいらっしゃる。この反日運動の盛んな中、今度タクラマカンに出かけてくるそうである。フランキー堺主演のミュージカル映画『君も出世が出来る』で、高島忠夫が“ボクの心のふるさとはタクラマカン砂漠”といきなり言い出して、『タクラマカンのテーマ』を歌い出す話をするがマニアックすぎたか。

 あと、オタ話をえんえんと。紹興酒だけではモノ足りなくなり、終電のあるKくん以外のメンツでとらじに入り、こないだ食べられなかったレバ刺しを親の仇の如く頼んで食う。真露のんでまた、ワケわかんなくなる。
「スケマネさん、ごめんなさいごめんなさい」
 と言いながら飲んでベロベロに。ストレス、なのかなあ。しかし、こういう罪悪感伴う酒はうまいのである。帰宅、何が何やらわからず、それでもK子に日本文芸社の件、報告した記憶はアリ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa