裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

土曜日

スナフキンちゃん気をつけて

 ぼくはそんなことを思いながら、別に弾くつもりもなかったけどギターを抱えて、ムーミンたちのいる森の中に入っていったんだ。今は朝7時半起床、入浴して朝食にギリギリ間に合う。朝食、リンゴ、バナナ、ポタ。細かな人間関係で心痛多し。考えてみれば、人間関係にわずらわせられるということは私の人生設計の中に入っていな かった。

 朝のうちにFRIDAYネタ出し。すでにGW進行。日記つけ、出勤のつもりだったが地下鉄車内で久しぶりに古書展に行こうという気になり、そのまま大手町まで、 半蔵門線に乗り換えてひと駅で神保町。

 下町古書会、幸いにもそれほど金を使うようなものはなし。とはいえ会場を回るとひさびさに古巣に帰った感じ。結局、7千円ほどの買い物。領収書を、と言ったら、 ひょうきんなオヤジに
「宛名はカラサワシュンイチさんでいいですか?」
 と言われた。

 昼飯はボンデイにしようかと立ち寄ってみるが長蛇の列、諦めて向かいの新世界菜館に入り、特製珈哩。ここのカレーは週プレのMくんも勧める隠れた名品で、注文する人を見ると、みな古書街めぐりマニアみたいな感じな男性なのが可笑しい。あるとき知ってハマった、という。唐沢家のカレーに最も味が近いのがここの。共栄堂、エチオピアなどカレー激戦区の神保町ではボンデイに継ぐナンバー2と私的には位置づ けております。

 それから白山通りの例の書店で例のものなどあさり、半蔵門線で帰宅。駅のエスカ レーターで大学生風の男の子に
「カラサワシュンイチさんですね? ファンです!」
 と話しかけられた。一日二回はさすが神保町、わがテリトリーと言うべきか。

 帰宅3時。心地よい疲れ(原稿書きなどの疲れと違う純粋な肉体的疲れ)でマットレスに横になり、買った本読みながらウトウト。やがてグーと本格的に寝てしまい、目が覚めたら5時だった。しかし、久しぶりのアルコールも入らぬ自然熟睡で気分は よし。

 原稿書き、遅れに遅れている(こればかり)薔薇族用エッセイ。それ用の資料は積み上げてあったのだが、手つかずになっていた。急いで書き出す。戦前のゲイ関係資料をネタに、なんとか読み応えだけはあるものに仕上げる。これが8時半、ちょうど 予定にピッタリ。

 タクシーで下北沢、築地すし好。入ったら全席満席で仰天。花見シーズンの土曜だからな。ちょっと早く着いたのを幸い、待つ。やがて母が来て、K子が来る。30分 待ちでやっとカウンターに着けたがそこらがピークだったようで、後は空く。

 K子、母の誕生日に犬をプレゼントすると言う。話し相手にいいかもしれん。母はユウコの出産で札幌に行くので、帰ってからにしてと。のれそれポン酢、シマアジ、甘エビ、ウニなど。帰宅11時。水割り缶小飲みつつメール整理。アサ芸K元さんから新連載『こんニュー』、読者アンケート好評とメールが来ている。面白いとつまらないの投票率は40:3だとか。方向性がまだ見えぬまま書いたものだったのでホッ と。販売部に評判がいいというのも嬉しい。ツチダマさんの起用も
「言葉は悪いが“めっけモノ”でした」
 とのこと。

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