裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

下町のナポレオン・ソロ

 あらナポさん、焼酎なんか飲んでるの?(野沢那智の声で)。朝6時半起床、やや鼻水、くしゃみ。ゆうべ、試みに毎晩のんでいる鼻炎薬を風邪薬に変えてみたのだがやはり鼻炎薬でないとダメ。入浴、朝食。ブロッコリポタ、みかんゼリー(浜松のY 氏からの到来物)、バナナ。

 日記つけて9時半、出勤。FRIDAYコラム書く。コラムの面白さを優先させると“へぇ”度が低くなるし、なかなか手間取る。途中でそろそろ表日記も更新しなくちゃ、とちょっとやりだしたらそっちに熱中してしまい、8日間一気にアップ。さす がに疲れる。

 昼飯、ご飯にキムチ、黒豆納豆。それからFRIDAY続きを。完成したのが2時15分。急いでタクシーに乗り、神保町教育会館ホール。クレヨンしんちゃん新作・『伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃』公開試写。親子連れのための公開試写だ が、今回はマスコミ試写が間に合わず、これが最初の試写になるとのこと。

 九段あたりが花見の車で満杯、道が混んでイラつく。強い風に散った花びらの、まさに桜吹雪が美しかったが。なんとか5分前に到着し、快楽亭、それから春風亭昇輔と席につく。声優の挨拶もなければぬいぐるみショーもなく、予告もアナウンスもな くいきなり上映開始。まあ、こういうのは好きだが。

(以下、ネタばれあり)
 今度のしんちゃんは“ミライ”が舞台。と言っても『オトナ帝国』の逆ベクトル、の話というわけでなく、日常から非日常(ヒーローになれる世界)への3分間だけの逃避の話で、その逃避先が、時空の流れがゆがんだ世界で、ここを修復しないと自分たちの未来が危機にさらされるという設定。しんちゃんはオトナになったひまわりに きれいなお友達を紹介してもらえる“未来の夢”を守るために戦う。

 冒頭で、みさえの朝の“日常”をほぼ5分、まったくのパントマイムで描いてみせるシーンが好調。そこから、尻出しゴジラのオモチャを中間介在者として非日常の、スーパーヒーローになれる異世界へ導入するくだりも順調で、お、これはひょっとして『オトナ帝国』なみの傑作になるか、と思わせたが、その後がやや、平板。ヒーローになれるのは3分だけという“定番”設定を導入したため、怪獣たちとの戦い(ここの世界では時空の歪みから、人間達にはその理由がわからないままに怪獣が襲ってくる。『ネクサス』のパロディか)が、アイデアは凝らしてあっても細切れで、緊張 感のたかまりがない。平板なのである。

 また、その世界で怪獣を倒すことで、しんちゃんたちのミライが、どう改善されるのか。そうしないとミライがどう、危機に陥るのか、そこらを押さえた描き方をしていないため、平板なまま話が続き、ややダレる。アクション仮面やぶりぶりざえもんを出した(ぶりぶりざえもんにしゃべらせないよう苦労していたのが悲しい)のは、テレビのファンを取り込もうとしたためだろうが、これまでの映画版でのしんちゃんたちの“実力”を知っているこちらとしてはまあ、なくもがな、になってしまってい る。

 また、野原一家が全員ヒーローに変身するのも、日常との対比が不分明になってしまっている原因。冒頭との平仄を合わせるなら、今回はみさえを主役において、くたびれたお母さんがセクシーなスーパーヒロインに変身して非日常を活躍する話、にし てほしかった。

 子供たちは要所々々で笑い声をあげていたが、それらは全てパンツをぬいだり、尻をふったりする“いつものしんちゃん”の場面で、映画版ならではのところでの盛り 上がりに欠けていたように思う。終わったあと、快楽亭が
「今回はハズしましたねエ」
 と言っていた。私は大ハズしとは思わないが、まあ70点くらい。

 後で聞くと、今回の監督のムトウユージ氏は、酒の席でのノリは 「映画人でこんなにノリがいいのは河崎実がムトウユージか」 と言われるほどの人であるそうな。それが映画版初監督ということで、ちょっと構 えてしまったのかも知れない。

 終わった後、仲間うちの花見に出るという昇輔と別れ、快楽亭と二人で新世界菜館の別館へ。ちょっと飲みながら、歌舞伎のチケットの代金受け渡しや、新書の話、快楽亭初監督作品の『15分四谷怪談』の話やら、私の今度撮る作品の話やら。東宝の 内情の話などもあり、いくぶん、裏での暗躍の話も。

 快楽亭と別れて7時。今日じゅうに週プレ原稿アゲなくてはならないが、酒が入ってしまっているので、これを抜くためタントンに飛び込む。若い兄ちゃんの先生、揉みながら
「今日は一段と筋肉にハリがない」
 とウレシそうに言う。

 8時帰宅、さて、と改めて週プレ『名もなく美しいニュースたち』4回目原稿。今回はちょっとエグい話題ばかりなのだが、おぐりにあまりエグばなしをさせるわけにもいかず、いろいろ苦労。なんとか10時15分には完成、担当Mくん、おぐり、み ずしな各氏にメール。

 タクシーで帰宅。明日は雨でこの桜も今日が見納めの由。GW進行なるものがある限り、ゆっくりとお花見は出来ない。出来る歳になったら、出来なかった時代を懐かしむのだろう。家で軽く冷や奴、焼きナス、銀ダラ粕漬け等で酒。飯はヌキ。『ウルルン滞在記』で窪塚洋介の弟、俊介を見る。自室に戻り、水割り缶一本、ミクシィな ど。12時半就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa