裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

水曜日

中京は麻薬だ!

「いったん味噌カツやすがきやの味を知ってしまうと……!」

※楽工社打ち合わせ トツゲキ稽古

某有名女流漫画家作・出演の舞台に客演する夢。
ただしその女流漫画家は多忙なので稽古には一回も出ず、
舞台でもセリフなどなしの特別出演。
なんたるわがままか、と呆れる。

7時半、目が覚める。
ゆうべ寝る前に小青竜湯を服用したのがよかったか、
ゲホゲホなし。
『ベルツの日記』読みつぎ。
相変わらず、上野の音楽学校の演奏会で素晴らしい声を披露した
女性“柴田嬢”が注釈で後の三浦環だったと説明されている、
登場人物の豪華さ。リアル山風明治もの。
トーマス・グローヴァーという表記でしばらく気がつかなかったが、
これはグラバー邸に名を残す、あのグラバーだった。

日露戦争終結あたりで頻繁にベルツが日記に記述して気にしている
のが、欧州や日本でのドイツの評判の悪さである。
もちろん、大きな理由は皇帝ウィルヘルム二世の拙劣な外交政策
によるものだろうが、そればかりではない、根本的な嫌独感情が
ヨーロッパにあることをベルツは嘆いている。

思い出したのは、高校三年の頃の世界史の先生がある時授業で
「ヨーロッパではドイツ、アジアでは韓国。この二つの国はどうも
好かれていない。その根本の原因は、ドイツ語と韓国語がどちらも
耳に角張って聞こえ、相手を弾劾するように響くことだ。
ドイツ人にも韓国人にも罪はないのだが、こういう言語を持って
しまった文化の不運としか言いようがない」
と話したことである。正しいのかどうなのか判断できない論だが、
北朝鮮のあのテレビ放送のアナウンサーなどの口調を思い出すと、
何となくそんな気もしてこないでもない。

9時45分、朝食如例。
ルミンのんで、漢方薬のんで、カルシウム剤とかものんで。
自室に戻り、原稿書き。
なんだかんだやっているうちにすぐ、時間経ってしまう。

昼は弁当、ホタテの焼いたの。
庭で突如ギャーッという叫び声、何かと思ってベランダを見たら
野良猫(毛並みが似ていたが、兄弟か?)が大ゲンカしていた。
じゃれあいというレベルではない、本当のケンカである。
首をねらって噛みつこうとしている。
一匹が逃げにかかって、すぐ路上へと戦いは移ったが、
いったい何があったのか。犬の喧嘩はよく見るが、猫同士のここまで
真剣な戦いは初めて見た。

4時半、家を出て新宿。
紳士服の青山で衣装のシャツを買う。
それから数軒、書店、電気屋を見るが目的のものみつからず。
西武新宿駅改札脇のスープ・ストック・トーキョーで
楽工社Sくん打ち合わせ。
トンデモ本大賞の告知でチラシ類を頒布する作業をお願いするため。
その他、大賞とその周辺のイベント状況で、いろいろと
情報を仕入れる。
話は先へ先へと進んで、今後の活動のことまで。

らぽっぽでミニパイを買って差し入れにし、トツゲキ倶楽部稽古。
今日は同じ舞台に出ている二家族を分割して、山根家、二階堂家と
分けて稽古。稽古場が狭くて、実際の舞台の広さでの立ち位置が
感覚的につかめないため。

私の役はシリアスとコメディとの二面性があるのだが、コメディの
部分を強調しすぎないよう、少し押さえ目に、と演出がなされる。
コント的に、面白ければ全てOKというルナなどに比べると真逆の
演出方針であり、新鮮で面白い。

青山で買ったシャツの色もOK。
だいたいの舞台上での衣装、決まる。
私の稽古はこれで6回目。もうそんなに出たか、と驚く。
全体では10回目だそうで、他の出演者は
「そんなにあったっけ」
という意見と
「まだ10回目?」
という意見に分かれた。二班に別れて、お互いに相手がどういう
芝居をしているか知らされずに稽古するという特殊な方針なので、
全体像が見えてきていないせいもあるだろうが。
次々回、やっと大阪班と合流である。
例の、おーいくんが久保の店で昼飯食った話をしたら横森さんが
大驚愕していた。

帰宅して、サントクで買い物、夜食で重曹湯豆腐。
それとミョウガとジャコ和え。
黒ホッピー二杯とマッコリサワー。
DVDで『仮面の忍者赤影』魔風編。
風魔忍者を魔風忍者と変えたのは響きのインパクトなのだろうか、
何にせよ、史実などというものを無視した奇想天外なストーリィが
売り物だと思っていたら、魔風雷丸(汐路章)と足切主水(山本一郎)
の会話で
「黄金の仮面も手に入った、飛騨を引き上げて甲信に帰るぞ」
「甲斐・信濃はわれら魔風の故郷、飛騨忍者どもが追ってきても
蹴散らせるわ」
と言うのがあった。

本来の風魔忍者は北条家子飼いの忍者集団で、確かに甲斐・信濃を
その活動範疇にしていた。ドラマの中ではあやしげな神像に拝礼する
邪教集団みたいな描き方をされている魔風忍群だが、なんでこんな
ところだけ歴史考証に忠実なのか、と驚いた。

山本一郎(『妖怪百物語』『怪談累ヶ淵』など)の他に、
沢淑子も魔風のくノ一役で出ている。名匠・加藤泰の愛人としても
有名で、加藤泰は彼女にメロメロになったあげく、自分の監督
する『宮本武蔵』(高橋英樹が武蔵、田宮二郎が小次郎)で
お通の役に抜擢しようとして、大顰蹙をかったとかかわないとか。
結局松竹が一喝して、お通は松阪慶子になったが(当たり前だ)、
それでも沢はお杉婆さんの役でちゃんと役をもらっている(任田順好名義)。
お通で駄目ならお杉とは、融通無碍にもほどがあるというところだが、
この婆さん役で認められたか、彼女は数年後、野村芳太郎の『八墓村』
では濃茶の尼役でまた、大怪演を見せている。
女はツヨい。

*関西系アイドル、高見こころちゃんと松山幸次。恋人役???

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