裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

月曜日

アララギマン

正岡先輩、アララギマンです!

※週刊ポスト原稿 週刊大衆EXゲラもどし 『エンタメ!』取材 『社会派
くん』対談 朝日新聞書評ゲラ直し 雑用

朝8時半起床。
ベッドの中で書評用読書。
ただし朝日のではなく、本日〆切の週刊ポスト用のもの。
モノは何かというと、バジリコから出ている
『南極1号物語』(高坏靖)。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486238093X/karasawashyun-22
こないだの読売新聞に書評が載っていたのを見て、
読売の書評委員をうらやましく思ったことであった。
朝日はまだ、サブカルには門戸が狭い。

9時15分朝食。
イチゴ10粒ほど、デコタンゴール半顆。
青汁、ホワイトアスパラガスのスープ。
日記二日分大急ぎでつけ、
それからポスト用書評。
こういう本のことなら目をつぶっていても書けるというか、
なんと短いものとはいえ、30分で書き上げてしまう。
あまりに早く書けたのでいかがな出来か、と二度、三度
読み返してみるが過不足なし。1文字たりと削る必要なく完成。
こういうこともある。
担当のO氏にメール。

さすがにポストとは言えそこまでは書けなかったが、
南極1号の話よりも、明治の南極探検で有名な
白瀬中尉が、性欲を現地のペンギンで処理していた、という
エピソードに仰天した。本文では
「(当時といまとでは)野鳥に対する価値観も当然違っていただろう」
と書かれているが、いや、そういう問題でなく。

昼は弁当、シャケと卵焼き。
いかにも昭和の弁当、といった弁当。
原稿送ったあと、2時にタクシーで渋谷。
事務所で前にインタビュー受けたEX大衆の記事原稿に赤を入れる。
その最中にアサヒ芸能『エンタメ!』の取材来る。
イーベイの特集にからめて、海外オタク事情を語る。
最近、洋書(どどいつ文庫さんから仕入れたもの)でその類の
情報は集めているので、最新情報はコレダ、という感じで語れて
気分よし。

終わって、EX大衆の赤入れをFAX、して、
すぐ事務所を出て、カフェミヤマ。
会議室で『社会派くん』対談。
いろいろ事件はあるがとにかく今月は長野の聖火事件、
光市事件判決、硫化水素自殺ブームの三つに尽きる。
東スポでビートたけしが萩本欽一を批判していた。
世の中で一番言いたいことが言えるポジションを身につけて
しまった男だな。

終わって、HMVで今度は資料CDを探す。
探し物三つのうち、一つだけ見つかる。
携帯で、朝日Nさんから、ゲラをFAXしたとのこと。
急いで事務所に戻って確認しようとしたが、
腹が猛烈に減ったので、ココイチで味噌仕立て和風あさりカレーと
いうのを食おうと思ったが、まちがって普通のあさりカレーを
注文してしまい、残念だー無念だーと口走りながら食う。

事務所でゲラ確認。
文意がが前後で全く逆になっている個所があり、
数度目を通しているはずなのだがすっかり見落としていた。
芝居が終わった翌日の午前中にあわてて書いたもので、
まだ脳が完全に覚醒していなかったのだろう。
赤入れで矛盾がないように工夫する。

自宅で資料探し、確かにこの部屋になくてはいけないはずのものが
ない。イラつくが、こういう現象にももう慣れてしまった。
引っ越しを早くして、それを機会に完全整理せねばなるまい。
しかし、整理の時間が果たして今のスケジュールでとれるか?

9時、タクシーで帰宅。
NHKスペシャル『日光・月光菩薩 はじめての二人旅』見る。
お笑いタレントやアイドルのキャー、とかひぇーという
声がない番組の、何と清々しいことか。
お笑いタレントが悪いのではない。
彼らも職業柄、出ればそういう声をあげて仕事しないといけない。
そういう人間を出さなくてはならない、という制作側の強迫観念
自体が問題なのだ。
今回、薬師寺の若い僧が、初めて光背を外した両菩薩の背中を
拝んで、“ひゃあ”と声をあげる場面があった。
同じ声でも、タレントの上げる声とはまったく異った脱俗の感あり。。
石坂浩二のナレーションにすら芸能人臭さがある。
ここはアナウンサー起用でよかったのではないか。
それくらい、薬師如来、そして二体の菩薩像の姿には世俗を離れた
静かな美があふれていた。

10時過ぎ、夜食。
もう全身がクタクタ。
イカと焼き豆腐の煮物、今回はスルメイカで。
ヤリイカよりも肝がたっぷりで、これと合わせて炊くと、
実に濃厚な味わいになる。
残った汁をご飯にぶっかけてかき込みたくなるが、
今日は我慢。

これも仕事用の資料で刑事コロンボ『死の方程式』の冒頭部分を
見るが、結局最後まで見てしまう。
ローガン副社長役のウィリアム・ウィンダム、50年代から
現在まで50年以上のキャリアを誇るベテランで、コロンボには
記念すべき第一作『殺人処方箋』にも出演しているが、
ほとんど記憶に残らない。今回のローガン役の方が
ラストでコロンボと一緒にロープウェイに乗り込む、はるかにい役だが
それでも記憶に薄い。顔が役者顔でないのがソンなのか、
ブロンズ社の名著『脇役グラフィティ』でも、(ウィリアム・
ウィンドムという表記で)
「これほどすばらしい響きの名前を持っているのに、顔も役柄も全く
記憶に残らない」
と書かれていた。
IMDbで見ると、『宇宙大作戦』の『宇宙の巨大怪獣』の、
デッカー艦長役などをやっている。この話はロートルのスタトレ
ファンならみんな覚えているだろうが、デッカー艦長の顔といって
思い出せる人がいるだろうか?
私も『ジェシカおばさんの事件簿』でセス・ハズリット医師役で
レギュラーになって、やっと顔と名前が一致したのである。
声優としてはセガの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の、サー・
チャールズ“アンクル・チャック”ヘッジホッグをアテている。
蕎麦湯氷焼酎ロック、4杯。
1時就寝。
(★22日の日記アップしました)

Copyright 2006 Shunichi Karasawa