裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

木曜日

コラーゲン巧言令色鮮し仁

せっせとコラーゲンを取って肌の色をとりつくろおうとしている人ほど
まことの顔は汚いものだ(『論語』)

※ラジオライフ・ゲラ 『御利益』初日!

8時起床。
自分の家のある土地の周囲に、巨大な蛇の骨がとりまくように
埋まっているという夢。
だからなんだ、というような展開はまったくなし。
『ラジオライフ』原稿ゲラ、訂正入れて編集部へ。
今回も編集部内での評判極めてよろしいらしく、その報せは
たいへん励みになる。

朝食いつも通り9時。
デコタンゴール、ブドー、イチゴちょっとずつ。
さて、泣いても笑っても今日が舞台初日。
10時、家を出る。
荷物案外多いので、タクる。
車中、平山先生に電話する用事もあるからである。
昨日わざわざ私に会いに渋谷まで出て来られたそうだが、
ちょうど私は稽古に出かけたときだった(前連絡くださいよー)。
新企画の件でお話がしたいとのこと。
スケジュールをマネージャーから伝えますから、と
言っておく。あとでオノに伝えたら、
「えっ、平山さんと直にお話ししていいんですか?」
とビビっていた。

小屋入り、楽屋入り。
相変らず狭い楽屋であるが、『アストロ劇団』のときより
人数が少ない(男性楽屋の)ので楽と言えば楽、である。
昨日のところから最後までを通し、ラストの歌〜挨拶〜ダンス
というシーンの稽古。
これだけで着ていたシャツがぐっしょりになるほどの汗。
まあ今日はちゃんと着替えを持ってきているのだが。

挨拶にはかなり狭い口から出る。
これは下手すると頭をぶつけるな、と思い、
設置された時点で何回か稽古してカンをつかんで、
周囲の人にうまい出方を説明までしたのだが、
自分が見事にぶつけてしまった。それも思い切りなので、
痛い々々。

あとは抜き稽古。
その間に楽屋で弁当を使う。
麻衣夢ちゃんが、カラサワさん、ちょっとお話が、と言うので
「お、なんだろう。告白だろうか?」
ともやしに言うと
「ドキドキしてんじゃねえ!」
と突っ込まれた。
新譜へのコメントの件。
小学校のときに仕込んだ雑学で“へえ”と言われる。
事務所のみなさんにも幸い、好評だった由。

熊倉一雄さんから芸術品みたいなお花をいただく。恐縮。
清水崇監督、福澤朗さんからもお花、東急エージェンシーさんからも。
時間があっと言う間にたって、もう開演時刻。
オノが買ってきてくれた用紙で小道具の差押え書(どこで
使うかは見ての後に)を作成。

中野さんという方がご面会です、と言われた。はて、と
知人友人のナカノさんたちの顔をいろいろ思い浮かべつつ
出てみたら、何と中野昭慶監督ご夫妻。
「初日おめでとうございます!」
と鯛焼きを差し入れしてくださる。
「初日なんで、セリフも入っていないと思いますが・・・・・・」
と先に予防線をはっておく。

やがて開演。
麻見くんと、楽屋の質の悪いスピーカーで客の反応を探るが、
のっけのギャグからウケている模様。
「いい客ですねえ」
と言うと、もやしが
「まあ、初日のお客ですから」
と。

私の出は全部で三回あるのだが、最初のシーンはグダグダ。
娘役の乾ちゃんに
「お父様、何が言いたいの?」
とツッコミを入れられる。
二度目はなんとか成立。
テリーのセリフをひとつ、繰り返しで使ったらウケて、
「よかったじゃない、当人のより反応がよくて」
とホメ(?)られる。

三回目は場を仕切れるシーンなので気持ちよくしゃべれる。
書類を足で踏みつける場面もうまくいった。
そして、そこからノンストップでラストのパントマイム芝居、
挨拶、ダンス、と続く。
ミスなく、うまくいき、ホッと。
もっとも、後で見ていたオノに
「浮いてました」
と言われ落ち込む。まあ聞いたら、やはり何かと言えば彼女の立場と
してこっちに目が行ってしまうからだと。
全体的な自己評価は55点。
明日は65点にまで高めたい。

ロビーでお客出し。
中野監督にいやどうにもはや、と挨拶。
笑ってくださっていた。
他のお客様たちにもそれぞれ挨拶。
楽屋の差し入れ物をいろいろ分ける。
希依子ちゃんのお母様が差し入れてくださった黒糖饅頭、
それから楽屋に一番多いのがダンキンドーナツ。
中野監督の鯛焼きはやたら高級らしく、食感がいい。

『文福』で初日打ち上げ。
観にきてくださった松尾貴史さんにご挨拶し、乾杯。
いろいろと席を回ってカンパイカンパイ。
オノが何故かこのあいだから岡っちいじりを芸として
確立させている。

菊ちゃん、
「今回全然ブルちゃん(初めて彼女と共演したときの
私の役名がブルーム)とからめないのが残念だー」
と。じゃ、今度は夫婦役でもやろうか。
麻見くんには、二回目の登場での例のセリフのこと言われる。
楽屋でドッというウケ方だったそうな。“まさか唐沢さんが
こういうことを・・・・・・”だったということである。
由賀ちゃん、琴ちゃんなどともいろいろ話す。
麻衣夢ちゃんは大阪から上京したお母さんと遅れて参加。
一卵性親子っぽく、いろいろ言い合っていた。

12時あたりでお開き、かなり疲れてかつアルコール
入っていた(焼酎ロック四五杯いった)ので帰ろうと思ったら
ハッシーにひっぱられ、キタザワクラブで早さん、古舘事務所の
Yさんと四人で。早さんと酔っ払い同士盛り上がって、
人のワルクチで気勢をあげる。
帰宅、3時過ぎ。いい歳してするこっちゃない。

※写真は松原由賀ちゃん。不良娘役。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa