裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

月曜日

クルアーン、コーラン、クルアンクルアンコラン。

イスラムのアメコミ風ヒーローものがあるんだから
http://www.the99.org/
イスラムの鬼太郎だって。

※事務所撮影 原稿書きたし、書き直し

朝8時半希少、入浴、朝食という
順調な一日のすべり出し。
メールで某社より、推挙していたイラストレーターの起用、
やっと本決まり。これも通じがついたような気分。
朝食は小粒の何とかいうブドーとラ・フランス、
それに小さいバナナ。
沖縄の島バナナが食べたいなあ。

郡司正勝『鶴屋南北』読みつぐ。
郡司氏は歌舞伎研究に民俗学、心理学などの視野を取り入れた人で、
要するに“歌舞伎の深読み”を提唱した人。
これによって歌舞伎の世界がぐんと広まり、深みをまして
“近代に通用する芸術”として認識されたわけだが、一方で、
あまりに歌舞伎を深遠な内容をもったものと誤解させて
しまったのではないかという批判もある。
郡司かぶれで、その演出意図などを深読みする女子学生に、
宇野信夫が『幕あいばなし』の中だったか、“黙阿弥にしろ南北にしろ
「受けるから」やっただけのもので、深い意味なんかない”
と吐き捨てていたのに笑ったことがある(実際にこれは武智鉄二の
宇野版四谷怪談批判でも反論に使った台詞らしい)。

あるいは江戸っ子の宇野氏にとっては、北海道生まれの
郡司氏の拡大解釈が野暮ったく見えていたのかもしれない。
とはいえ、郡司氏の大きな業績である南北晩年の傑作『桜姫東文章』
の復活上演などは、氏の深読みによる絶賛があって初めて
実現したものだろう。
深読みがなければあんな芝居、馬鹿馬鹿しすぎて(褒め言葉)
近代的教養のある者にはやってられない。

日記つけ、連絡いろいろ。
昼は母の室でトロを手巻き寿司にして食べる。
さすがに美味。
アスペクトK瀬氏より来年の新刊企画通ったとの電話。
何か、ちょっとテレるというか気恥ずかしい内容の本である。
サブカルという日陰に長くいたせいか、まぶしいところには慣れてない。
図版ブツ受け渡しなどの参段をして、2時に家を出る。
バスで新宿、そこからタクシー。

渋谷の仕事場で、『ネットナビ』誌の写真撮影。
ビデオ棚の撮影だけかと思ったら、仕事場で本を読んでいる
ところの写真も撮影させてほしいと言われる。
いい写真にはなったが、何かデブに見える。

ホッピーの会の店を予約。NHK出版にゲラ渡し。
『幽』も、さっぱり図版ブツ受け取りにこないのでこっちから
催促させる。

某社原稿一本。かなりのアクロバットを目論んで書く。
送ったら新担当K氏から、“地雷原を駆け足で走りきった”
ような原稿、という傑作な感想。
その後すぐ追っかけで、やはり地雷も少しは踏もうという
ような訂正依頼。苦笑して書きたし。
終って、事務所のオノ、バーバラと雑談。

某件で代案立てる必要出来、
カリカリ来ながらいろいろと頭をひねる。
一方で気楽な一泊旅行の打ち合せもあり。
同地の観光スポットをネットで検索したり。
いずくにもトンデモ観光地ってのはあるもんですなあ。
その旅行目的地の住人さんからマイミク申請あり。
軽い西手新九郎。
……これでマイミクさんが501人。業務連絡用にマイミクに
入った人とかでもうおつきあいが切れている人などを
数人、削除。しおやさんのマイミクはさすがに切れず。

7時半、バスで新中野まで帰宅。
サントクで買い物。魚が続いたので、今日は肉。
安い厚切り肉買って、炒めたガーリックライスの上に乗せ、
ペッパーランチ風ビーフライス。
それに豆サラダ。
食べる前に原稿書き。
某社原稿、やはり書きたし部分がわかりにくくなった
というので、文章改めてスッキリさせる。どう書き直しても
行数、字数がピッタリ合うのが奇妙。
書き上げて送る。

黒ビールと黒ホッピー。
NHKニュースで赤福問題見る。
“三つ売るより一つ残すな”という前社長(現会長)の指示は、まさに
伊勢商人のカガミ、である。“近江泥棒、伊勢乞食”
(近江商人は目端がきき、伊勢商人はケチ)とはよく言った
ものである(ちなみに、“丹波かわいや人殺し”と続く。
怒ってはいけない、商才のなかった江戸っ子が彼らの商売の
うまさに舌をまいて作ったことわざである)。

それにしてもまるで赤福が国民食であったか、と思えるような騒ぎ。
『魂食』の中で赤福を取り上げたのは、正しかったのだな。
しかし、いかに会社の体質とかに問題があるとはいえ、
少し大袈裟に騒ぎすぎじゃないのか。
人死にが出たわけでもあるまいし。
あまり食べ物に潔癖症すぎると、いざというとき生きていけない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa