裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

土曜日

アクィナスは嫁に食わすな

スコラ哲学などを噛ると嫁が理屈ぽくなる、ということ。

※08年度トンデモ本大賞キックオフミーティング

もちろん今朝も寝坊である。
朝食9時のところを9時半にしてもらい、結局、
半に入浴して45分に母の室へ。
青汁、ピオーネ、リンゴ、バナナ。
ブロッコリのスープ。
土曜なのに小倉智昭が出ていて驚く。
なんでそんなに働きたがるのか。

某件で河崎実監督とメールやりとり。
『ヅラ刑事』について、
「あれを地上波に流す苦労はやってみたものでないと
わからないでしょう」
と。バカをやるにはその裏に凄まじいまじめな努力が
必要なのだ。

郡司正勝『鶴屋南北 かぶきが生んだ無教養の表現主義』
(中公新書・絶版)読む。売れる歌舞伎作者の条件として
並木五瓶があげている五箇条。
一・気転(機転。アドリブ力)
二・気儘(流行に迎合せず自分の面白いと信ずることをやること)
三・上根(根気のいいこと。受けるまでしつこくやる)
四・大胆(目立ってナンボ。筋の破綻など気にせぬこと)
五・愛敬(お客や関係者に可愛がられる性格)
カッコ内は私の翻訳だが、まずこれは歌舞伎作者に限らぬ
人気商売全ての秘訣と言っていいだろう。
『ヅラ刑事』など、それで成功したようなものである。
世の中には上四つは満たしていても、最後の愛敬が足りないために
台無しにしている奴も多いなあ。

昼は味噌むすび。喉が渇いて、冷茶をがぶがぶ飲む。
ホッピーの会の店を選定したりなんだり。
トンデモ本大賞打ち合せ用の、構成案叩き台を作る。
で、カン違いしていて、今日の打ち合せは6時から、と
思い込んでいて、それまでに事務所に出て一本原稿を書いて、
と思っていたら、開始が16時、つまり4時。
気がついたときはもう3時半。
うわ、とあわてて新宿まで。

ルノアール区役所裏店会議室にて。
今回からの大会番長はしら〜さん。
出席者は主要大会メンバー15人ほど。
私が今回、頭を悩ましたのは開催テーマなのだが、
高橋のび太くんからグッドアイデア出て、即、採用。
と学会らしいシャレにもなり、大変結構。
私の中では“これで今回は成功!”になる。
まさにと学会のアドリブ力。

前回の反省点いろいろ出るが、ほとんどが
三回使ってホームとなっていた千代田区公会堂から
イイノホールに移って、ここがアウェーだったことによる。
いや、会場としては最高のところなのではあるが、
老舗の商業ホールスタッフのプライドの高さにはまったく呆れ、
驚いたものであった(会場付きの、ヌシみたいな音響・照明係員が、
“シロウトにゃオレんとこの機材は一切さわらせねえ”という
感じで頑張っていた)。

まあ、怪我の功名で、じゃあ仕方ない、プロを雇おうとなって
私の方の劇団つながりでOさん、Gさんお願いしたのだが、
やはりプロは大したもの、とブタカンのI矢くん大感心で、
今年もこの二つはO、Gのお二人に頼もう、ということになる。

あとは警備、物販、機材搬入、ゲストの扱い、招待席数、宣伝媒体、
入場料設定、チケット販売法、開催告知日、オープニングビデオ製作、
当日の弁当にいたるまで細々と打ち合せ。その他会員へのMLリストでの
通達徹底の必要など。

なにしろ800人近くの人を入れる会を素人集団が主催するのである。
勘案事項は無限に出てくる。司馬遼太郎が書いていた、幕末に
長州藩がイギリスから航海術の教師を雇おうとしたとき、
受け入れ準備の事務手続きが徹底しており、この教師に持たせる妾の
候補者まで上げていた、というエピソードを思いだす。

私の方から構成と出演者につき要望いくつか。
開催記念出版物についてもいい案が出て、即決採用。
下見に関してはすぐS井さんが会場に電話。
日取り候補を出す。植木不等式さん曰く、
「なんだか凄いシスティマティックになりましたね」
と。これは会員にサラリーマンが多いという余得か。
こういう手際のよさと、五瓶の言う大胆、愛敬をどう
コンボさせていくかが成功のカギであろう。

時間になり、そこから上海小吃に向かう。
向かうと言ってもすぐ近く。
別館のテーブル用意されていて、青島ビールで乾杯。
グラスとかの配膳、ワタワタしていて気が休まる。
さっきまでの打ち合せで細かいことまで論議した反動か。
世の中にはシスティマティックでいいところと、
それがいらないところの区別が厳然としてあって、
飲み会でまであまりにきちんと気をきかせられると、
こっちの気が休まらないという部分がある。
酒の席はある程度いいかげんくらいがちょうどよろし。

私はその前に眠田さんとちょっと打ち合わせ。
料理の注文は植木さんに一任する。
湯葉と豚肉と卵の煮付け、ナタマメ(インゲンだったが)の
炒めもの、ハマグリの炒めものなどなど。
それぞれの汁にひたす揚げパンが人気で、追加々々。

食べてうん? と思ったが、ここの料理、以前はおいしさより
物珍しさ、本場直送といった感じが先に立っていたが、
味がかなり上がっているような気がする。
しら〜さんにも確認したが、彼もそう言っていた。
ひえださんに日記のタイトルを褒められる。

FKJさんからタイの映画ポスター本見せてもらう。
まだABCに一冊あるという。強烈に欲しいが、蔵書を減らすと
いうのが最近の私のテーマなので我慢する。
IPPANさんがさいとうさんを呼んできて、
昨日の打ち合わせの続き。

人数多いので話に加われなかったが、テーブルの向こう側では
みんなかなりメートルが上がっていて(死語)、
植木、原田、I矢の三人が向こう岸の船を呼ぶような
声でしゃべりあっており(しまいに歌いだした)、
トライアングルの中にいた開田あやさんが
「耳がキンキンした」
と言っていた。呵々。
途中で部屋をのぞきこんでいた二人組あり、何かと思ったら
ミリオン出版の編集さんとライターさんで、私がいることを
知って表敬訪問してきてくれたらしい。名刺交換。

早くに始まったので終るのも早い。
9時にはみんな撤収。IPPANさん、さいとうさんと
地下鉄の駅まで。
帰宅して一旦アルコール抜きのために寝る。
いやな夢ばかり見た。
11時、起きだして録画しておいた番組類をザッピング
しながらホッピー。上海小吃ではお腹にたまるものを
食わなかったので、冷蔵庫の中のウドン玉を
冷凍庫の隅でカンカチになっていた鶏肉の小片と
干し椎茸一個を茹でもどした出汁の中で温め(鶏肉と椎茸は
食わずに捨てる)、釜揚げ風にして出汁醤油で食べる。
2時、再度就寝。
今度は面白い夢いろいろ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa