裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

火曜日

光あるところ裕二がある

『爆笑問題外伝』オープニング。

※『週刊現代』原稿 資料探し 立川談笑『銀座夜話』

遅寝(6日)、遅寝(7日)、ときて早寝(昨日)だった
もので、やたら早く5時とかに目が覚めてしまう。
『陰陽道の神々』(思文閣出版)など読んで眠くなると
また寝、また目が覚めると読んでまた寝、と繰り返して
8時45分ころしぶしぶ起床。

入浴して朝食。コーンスープ、バナナ一本、ブドー数粒。
メール、いろいろ。原稿催促もいろいろ。
東京ボーイズのリーダー、旭五郎氏死去。63とは
意外なまでに若かった。
http://bo-vara.com/000pro-tokyoboys.html

鯉朝さんの真打披露興業で新宿末廣に出演していたとき
見たのが最後だったか。ギャグは昔ながらで爆笑したが、
五郎氏の足もとおぼつかなく、見ていて心配になった。
ダーリン先生によれば、この歩き方のせいで楽屋の階段を
踏み外して大腿骨複雑骨折で入院し、それから体の
あちこちにいきなり不調が出始めて長期入院になったとのこと。
私も階段を踏み外して骨折した経験(軽微だったが)あり、
気をつけねば。
学生時代、寄席で数えきれないくらい東京ボーイズの
芸を見た。たぶん、一生これを見続けるんだろうなと
根拠なく思い込んでいた。ある日突然、見られなくなるのだ。
悲しいなあ。

2時、渋谷の事務所で待ち合わせて、NHKのYくんと
食事、今度再開する某番組などの件を聞く。
それと平行して上がっている企画の話なども聞くが、
最近の私はソウイウのはもういいや、になっている。
Yくんのところではないが、便利屋みたいに急に出演依頼が
あって、それに何とか合わせてしまう自分の小器用さに
ちょっと嫌気もさしている。
そろそろ“次”のことも考えていて、Yくんにそのことなど
熱く(まだ微熱だが)話す。

帰宅、催促のあった講談社週刊現代の原稿。
書き上げて、ふうと一息。文化放送の来週の収録につき、
そう言えば浜美枝さんの昔の写真があったっけ、と
書庫に潜り込む。数年前(まだ神保町の古書会館が
改装前だった頃だからかなり前だな)、古書展で、
昭和20年代、30年代の映画スターのピンナップやら
雑誌に載った写真やらを切り張りしたスクラップブックを
十数冊まとめ買いしたことがあり、それに浜美枝さんのも
あったはず、と探す。ページを繰っていくのが楽しくて
つい、時間を忘れる。

そうこうしているうち、ふと見るともう6時。
急いで事務所を出て、銀座八丁目の博品館劇場、
立川談笑『銀座夜話』。エレベーターの中で、
常連さんたちに挨拶され、ロビーに入るとK田くんが
『超落語』を販売している。他にも山口A二郎さん、夏さん、
rikiさんなどいつもの顔だが、しかし勉強会などに
比べると、一般客の率がはるかに高い。しかも大したもので
8割方、席が埋まっている。
ゲストもなし、どんな噺を演ずるかも前もって発表していない
独演会でこれだけの客が入るのは、これはもう本物だろう。
あとは満席立ち見、前売り券即完売でプラチナカードになる、
までもう少しなのだが、逆に言うとそこまでにはならない、
まだなっていないあたりが談笑ファンにはゾクゾクする
ところではないか。

で、そんな大規模の会ながら、楽屋を訪ねたら談笑さん
とフワリさん、息子のRくんしかいないのに笑った。
前座さんさえいないというガラーンという空っぽさ。
つくづく、演劇に比べて落語は身軽だなあ、と思う。

『All night long』をBGM(出囃子じゃないですね、
と談笑の談)で出てきて、
「今日は録音がありませんから」
と開口一番に言うと、マニアからは拍手がわき、
一般客の表情が不安になる。

前半はまず十八番の『東北弁の金明竹』。
自爆ギャグひとつあって、悪いが大反応してしまった。
終ってそのまま下がらず次の噺に入る(袖で水は飲んだようだが)
のは月例会のパターンだが、さあそれからが凄かった。
まず『堀の内』からなぜか『巌柳島』になり、
『鮫講釈』に行くか、と思わせて行かずにまた『堀の内』に
なって『粗忽の釘』になり、最後は最初の金明竹の中の
クスグリ(だと思ったが違うかな?)で落とすという荒技。
体育会系の談笑の体力なればこそ出来た噺だろうが、
ついていくだけでヘトヘトになったお客も多いのでは。
休息時間中、博品館らしい上品な声のアナウンスが
「ただいま、ロビーでは立川談笑のCD『ラクダ、ぼげゲェ』
を販売しております……」
というのに吹き出す。

後半、『黄金餅』。
前半で時間が無くなったか、かなり飛ばし気味。
それでもグロ描写もあって、銀座ではショッキングなネタ
だったのではなかろうか。
それでも、普通ならこういうネタで引くだろうと思われる
年配の婦人客が大笑いしていたのに感心。
さすが三回目になると客も濃くなる!
終えたあとの挨拶で、何か吹っ切れた、と談笑さん、
言っていた。K田くんに聞くと、独演会などではかなり
迷った会もこのあいだあたり、あったらしい。
イッセー尾形が毎回、そんなことを終演後の挨拶で言って
いたのを思いだす。

終って、ロビーでサインをしている談笑さんを
写真に撮る。もう出版からかなり経っているにも関わらず
『超落語!』を買ってくださる方がいるのが嬉しい。
最近になってもファンが増え続けている、ということである。
私もサインを求められて、数冊、サイン、あと、
女性ファンに写真撮影いいですか、と頼まれて三人で。

打ち上げ、近くのやる気茶屋で。
夏さん、K田くん、談笑一家、博品館の人。
何か楽しくて、つい話し過ぎてしまった。
自分の会じゃないんだから、とちょっと反省するが、
しゃべりだすと止まらなくなってしまうんである。
談笑さんの聞き上手もある。さすがリポーター。

次の落語会での私のネタ、やはり地噺系のリクエスト多く、
『鉄拐』、『源平』などが出る。『盃の殿様』『阿武の松』
なんかも面白いかもしれない。
明日が『特ダネ!』のオンエア(岡田さんのダイエット)
で早いはずなのに、カンバンまでいて、タクシーで帰宅、
途中までK田くんと乗り合い。次の本、予定より早く出すように
と会議で言われたとK田くん。うひゃあ。

※写真はサインする談笑、混乱がよく出ている根多書き。
マネージャーが録ってくれた7日の高座。
これはしばらくmixiのトップ画像にしよう。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa