裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

土曜日

昼夜公演ラスト、の記

朝、枕元の窓から雨音しきり。8時半起床、アボカドとブドーで朝食。ネットでメールをチェックする。既知の人、未知の人からひよパジャ感想来ている。

絶賛から徹底否定(演劇の態をなしていない、とまで)に至るまでさまざま。確かに演劇的仕掛けや演技の高揚感に関してはうわの空の舞台にそれを望むのは木に縁りて魚を求むるようなものだろう。

間違ってそれを期待してきた方にはお気の毒さま、としか言い様がない。そういう“事故”を防ぐために、も少しチラシ等にそのこと(うわの空という劇団の特性)は明記してもいいかもしれないしこれからうわの空が評価のステージを一段上がるためには、そういうものも取り入れていく変革をする必要もあるのかもしれない。ただ、怒る客に対しては、世の中、まったく嗜好と異なったものに出会ってハマる、という経験もできるハズなのだが、とも言いたい気がある。

11時半、家を出て池袋。
雨しげく、トイレの天窓が開いていて、そこからトイレ内に雨が振り込むので、劇場の係の人を呼んで閉めてもらっていた。排煙用の取っ手を起こすとハンドルになり、それをギリギリと回すと窓が閉まる。この仕掛けを見てヨシノブ役の久保田くんが
「すげえ、ハイテクですね!」
というので、
「手でハンドル回して閉めるののどこがハイテクだ。ローテクの極みじゃないか!」
と突っ込んでおく。

昨日の談四楼師匠の差し入れのカレーパンが山のようにあまっているので何個か袋に入れて明日の朝食用に持ち帰る。2時マチネ。

客入りやはり雨に食われたか、7.5分くらい。ただしウケはよし。ギャグのひとつひとつがハマる。やはりこの劇団、“世間への認知”が今後の大きなテーマ。講談社I上くんが来てくれたのに驚く。

あと二村ヒトシさん、IPPANさん、イットリウムさん。神田陽司さんはこの回だったか?
「また二人会を」
と言って、本を買ってくれた。雨、やや小振り。外へ出て今日は甚六亭の油めん。胸焼けしそうだが味はよし。さすが池袋、ラーメン激選区。窪塚洋介がテレビで来ていた写真が飾ってあったが、飛び下りる前か?スープを別添えで頼んで、激辛トウガラシというのを入れてすする。

ソワレ、ほぼ満席の入り。それにしてもこの劇の舞台の深沢家というのは何で食べているのだろう。教師であった父の遺族年金か。長年教師を勤めていたのだから恩給もかなりついたろう。定年退職後は悠々自適で好きなギャラリーを開き、地元でかつての教え子たちに囲まれて、人格者として尊敬を受けながら、暮らしていた。そう思えばいい身分である。

娘、息子たちが誰一人として向上心などもたぬオトナに育ち、みずしなさんの円法や金沢くんの西山さんなど、“大平の逸民”が周囲に集ってきていたのも無理はない。しかし、地下室の中には、愛人たちとの思い出が秘かに取り置かれていた。しかも親友には、自分に何かあったら、そこを開けて自分の本当の姿を家族や教え子たちに見せてやってくれと依頼していたというのは……。ここらへんのキャラクターを肯定するにせよ否定するにせよその謎めいた感情をもう少し浮き彫りにしていけば“賞ねらい”ができる気がする。

実際には舞台上では深みや穿ちなどはクスリにもするものかという感じでのアドリブの連発。座長、おぐり、久保田の体技ギャグ(要するにどつきあい)が次第にエスカレートしていてお客さん大喜び。

確かに演劇的高揚感というようなものとは対極にある劇団だなあ、と、やや複雑な思いを抱きつつも袖で大笑い。

朝青龍ネタを座長がアドリブで入れていたので、こっちもアドリブで朝青龍雑学ネタを入れてみる。自分的にはうまくハマったつもり。お客出し、志らくさんと挨拶。
開田さん夫妻、O内さん夫妻を打ち上げに誘う。池袋駅近くの居酒屋『刻』でプチ飲み会。川瀬さんと近くになる。

いろいろ話して川瀬さん、御機嫌だった。開田さん夫妻とタクシー相乗り。先日の猫三味線撮影の件など。

あやさんに貰ったアロマオイル垂らして半身浴。就寝2時。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa