25日
金曜日
快楽亭ベルダンディ
凄い早口で十回言うとブラ談次、に聞こえます。朝7時半起床。夢で今日のタイトルのダジャレが思い浮かんだ。朝食はソーセージに黒五パン、リンゴ(富士)。田中外務大臣と鈴木宗男のドロ試合、いい感じですねえ。ある意味でもっとも国民の期待に応えてくれている国会議院サンたちである。もちろん、“ある意味”は“悪意ある意味”であるが。
毎朝、このところ膨大な量のMLが来ている。と学会の次回例会の二次会会場を決めるやりとりである。予算、時間、収容人数などの点でなかなかココゾといった場所がないようで、ああだこうだしている。それぞれ提案者が頭のいい人たちなので、どの発言も一理あり、なかなか意見の一致を見ない。衆愚政治というのはあるがこれは衆賢政治の弊害であろう。前二次会担当者として言わせてもらえば、要は決定権をダレが持つか、である。多少の不満は、決定した人が手続きなどを代行してくれるということで吹っ飛ぶのである。それでも文句をタレるやつはただのろくでなしである。放っとけばよろしい。
こないだから催促されていたアスペクトの単行本タイトル案を、7〜8本まとめてメールする。それから、昨日来ていたWeb現代の原稿の、紹介先サイトの注文によるリンク先ナオシなど。昼は雑用で六本木に出て、マグロの刺身が安かったので買って帰り、まぐろ茶漬けにして食べる。
3時、時間割にて村崎百郎氏との社会派くん対談。対談そのものはいつも通り、雪印のことをはじめいろいろだったが、その後の業界いろいろばなしが非常にオモシロイ。もちろんオフレコであるが、ただいま業界で話題の人物たちについての裏ばなしなどをいろいろ聞き、またこっちも話して、情報交換。なるほど、アイツは悪いやっちゃとか困ったやっちゃと大笑いする。なお、村崎さんとの社会派くん対談は下記のサイトで読める。まだ第一回だが、すでになかなかの人気サイトになっているとか。
http://www.fugra.tv/shakaiha/
『社会派くんがゆく! RETURNS』
雑談終わって、その足で中野に向かう。快楽亭ブラック独演会。途中で酒屋に寄り差し入れの焼酎など買う。IPPANさん、鶴岡、ヲッカなどが列に並んでいた。鶴岡原作、ヲッカ画という作品を見せられる。なかなか描くじゃないの。快楽亭のおかみさんに挨拶、差し入れを渡す。集客がどうなるかと心配していたのだが、さすがマニアックな会で、みなさんどうぞこうぞ情報を仕入れてやってきたようで、満席とまではいかずともほぼ、埋まる。芸能小劇場のウツギさんにも挨拶。三月はここでトンデモがとれたとか。ひと安心。
他にはいつもの開田夫妻、怪獣ファンのお医者さままるぼうさん、珍しや新感線の逆木圭一郎さん。逆木さんは開田さんに誘われて、今日が初めての落語鑑賞らしい。御愁傷様である。それから扶桑社Oさんとくらたますみさんもやってきていた。アロマ企画の社長(美女を一緒に連れていたが、これがアロマ企画の広報担当と聞いて仰天する)、新文芸座Y氏などにも挨拶。いろいろ忙しい。
高座の方は開口一番からブラック師で『味噌蔵』、これはまあ奉行人の料理の注文の中に女王様の聖水ラーメンなどというのが入っていたくらいで後はマトモだったが次の『××のたらちね』が凄まじい。昨日、打ち上げでちょっと内容を耳にしていたが、それを上回るヤバさであった。この人以外にはとてもかけられないネタだろう。で、次が山本竜二で、蜷川幸雄の『四谷怪談』裏話。広末涼子との共演ネタ。こちらの方でもっとヤバい展開になるかと思ったらさすがにそこはサラリと流して、主に蜷川演出について。竜二さんの怒りに、笑うというより大いにうなづいてしまう。
竜二さんは言うまでもなくアラカンの甥である。アラカンはそして、最後まで大衆派であった。“お客さまに楽しんで帰っていただく”のが俳優の使命、と教えられて育ってきたのが山本竜二である。その彼から見れば、観客も出演者も、全てがひたすら演出家の足下にひれふす蜷川の芝居というものは、理解の外にあっただろう。ポンポンと飛び出す過激なセリフは、ただ演劇ばかりでない、昨今のエラソー小説や、エラソー映画、エラソー音楽などにも十分に届く(届かせるべき)内容を持っていたと思う。竜二さんの凄いのは、それを語るのに、蜷川組の人をこの会場に呼んでいたことである。語ることがあれば、本人に伝わるカタチでしっかり語る。これはエラい。
もちろん、そこは山本竜二のこと、それだけではすまない。それにからめて、チャンと自分の演出したスカトロビデオ『ボボ・アフリカーナ』の宣伝もする。なんと某国大使館務めのニグロの熟女とやった体験談に、K子が息がつまるほど笑っていた。そのあとが快楽亭との漫才、トリで快楽亭が大ネタ『真景累ケ淵』発端の宗悦殺しをたっぷりと語る。正蔵の250石の旗本の品、圓生の鬼気迫る殺しの迫力にはさすがに及ばなかったが、宗悦の屍骸をめぐる長家の欲のからんだ人間模様は、圓朝の原作以上にグロテスクに描写されていて、快楽亭の手の内のものになっていたと思う。
中入り時に談之助さんと立川流同人誌を売る。三十部があっという間にはけた。終演後、Oくんにと学会本、そろそろ具体的打ち合わせをと注文つける。打ち上げはえん屋。竜二さん、新文芸座Yさんと話す。竜二さんのアラカン・右太衛門・勝新らの御大ばなし、何度も聞いた話だがやはりオモシロイ。もちろん、蜷川ばなしもたっぷり。蜷川の口マネで繰り返される“かわいなー”(小仏小平の役者の演技に対し)に爆笑。“観客を楽しませるのが本物の娯楽”という意味では、私は蜷川演出もアリなのだろうとは思う。そこに来る主要観客層は、蜷川演出の涎をなめることを何よりも好む客層だからである。問題は、蜷川マニアたちが、蜷川の観客軽視を是としてしまう風潮にあることだ。Yさんと、その話からいつしか金子ゴジラの話になる。ハム太郎を見た観客がゴジラで帰る、という現象にYさんが“あれは映画のコンセプトが間違っている”と明解に断じていた。鶴岡はブラッCと話している。なんと彼はSF大会参加経験者で、鶴岡と私のトークも聞いているとか。12時お開き、さすが花金で中野駅のタクシー乗り場、ちょっと列が出来ている。竜二さんと列に並んで帰る。と 学会のMLを確認したら十数通あった。ちょっと呆れる。