27日
月曜日
なにが彼女をニール・セダカ
タイトルに意味はない。朝が涼しくなってきた。明け方にグッスリ眠れるのがその証拠で、エアコンを停めて寝たのだが、8時過ぎまで寝坊をした。深夜に地下コミケが行われている、といった夢を見ながら寝ていたようだ。朝食、ゆうべのポトフをあため直して。SMAPの稲垣メンバー(この呼称があちこちで話題)、もう出てきてしまったのか。やはり、警視庁のHPにファンの子たちからの脅迫まがいのメールが殺到したりしたんだろうか。
仕事いくつか、どれもやりかけるが途中で放棄。昼ごろから気圧がメチャクチャに上下し、全身が重油につかったように重い。昼は昨日のトウモロコシごはんの残り。これを余った分(K子の弁当にもした)全部片付けるため、二ハイおかわりして腹がくちくなり、さらに体が重くなる。カットハウス予約して、2時に店へ。髪を洗ってくれた兄ちゃんが、肩をマッサージしてくれながら“背中が硬いですねえ”という。“ずっと仕事でパソコンいじっているからね”“ああ、パソコン使えるんですか。いいッすねえ。オレなんか、まるで無縁ですよ”と言う。最近の若い人には珍しいね、と言うと、“キカイはあるんですよ。友達からもらったんスけど、動かそうと思ったら、かなモードをローマ字モードにしなくちゃいけないんスよ。それのやりかたがわからなくって、未だに放ってあるんです”とのこと。何か、こういう若者がいるというのがタノモシく感じるのは何故か。
まだ2時なのに、夕方のような薄暗さになり、カット終えた頃にはどしゃぶり。タクシーを呼び止めて、新宿までやってもらう。新宿方面はまだ、降っておらず。かなり局地的な降りであるらしい。タクシー溜まりにだけ、ヨソで濡れたしずくで水たまりが出来ているのが面白い。銀行に寄って記帳し、ヴァージンでCDなど冷やかし、帰宅。5時半くらいまで昼寝をするが、心臓がバクバクするような、イヤーな眠り。鈴木“淳”史『クラシック批評こてんぱん』再読。ネットなどの無記名批評に日本人の特性が出る、と分析し、その上で“しかし名前がない批評は批評ではない。いくら正しい批評であっても、独創的であろうと、論理がしっかりしていようと、断じて批評ではないのだ。(中略)批評には自意識(それをたとえ拒絶しようと)が必要だからだ。個人であることをハナっから放棄する世界に批評はまったく必要ではないからだ”と妙にアツく強調するあたりに、この著者の、軽薄体文章の裏に隠された生真面目さがうかがえて面白い。そして、“批評ってやっぱ日本人の舌に合わないものだったのだろうかねえ”という慨嘆には、フィールドこそ異なれ、考えさせられるところがあった。昨日のゲイパレードの時に考えた問題にも直結するが、基本的に批評行為とは“個”の意識を拡張するものであり、一般論への敷衍が目的ではないはずなのだが、それを取り違えている者の方がはるかに多いだろう。“個”の境界のあいまいな日本には、確かに批評は舌に合わないものかもしれない。
6時、芝崎くん来。イツマデモ彼がネット環境にならんので、出版社やと学会内部からもジレた声があがっている。朝、その件で連絡したら、今日、これからエンターブレインにその件で行きますので、と、途中立ち寄っていろいろ話す。エンターブレインのNくんからもらったモバイルパソコンが調子悪く、一度Nくんの元へ戻して、いろいろ調整しているらしい。Nくんも情けないが、芝崎くんももう少しと学会がらみでのネット環境の重要さを認識してもらいたい。と、いうか、今日びライター仕事をネットなしでやっていられるのか? と思うのだが、こういうもの、ハナから使っていないと、それほど不便にも思わないものらしい。こっちがネット中毒者になっているということか。サハサリナガラ、と学会メンバーのほとんどはネット中毒者なのだから、その用を足すためにはやはりネット環境に習熟してもらわないといけない。別の意味でタノモシイとはそりゃ、思うけどさ。
まあ、今夜Nくんといろいろ算段しますので、ということで、と学会事務運営の急務をいろいろと打ち合わせ。なにより、次回例会の日取り決定だの冬コミ(当選すれば、であるが)の売り物などのこと、あと、来年の十周年記念企画などのこと。運営委員会で決定せねばならぬこと多々あり。
彼が帰って、ふと気がつくともう7時。今日は一日がやたら早く過ぎてしまったように感じる。神経までが水気を吸って重くなったようだ。麻布十番で食事する約束なのでタクシー飛ばすが、何か見当違いの方角に降ろされてしまい、しばらく麻布界隈を放浪する。仕方なく六本木まで出て、大江戸線でもう一度麻布十番まで。いや、この六本木駅の深いこと深いこと、えんえんとエスカレーターで降りていく。地獄まで降りるかと思った。麻布までのひと駅間の距離より、地表まで出る方が長いんじゃないか。しかもその途中の寒々しいこと。
K子を結局30分近く待たせて、麻布十番のフレンチレストラン『オオイシ』で夕食。ソースが最近には珍しくこってり甘酸っぱ系。かなり血糖値が上がり、おまけに盛りがやたらいい。相当に満腹してしまった。カードが使えないというのは、最近のこういうレストランでは珍しい。帰りは大雨、ビニール傘を貸してもらい、タクシーで帰る。芝崎くんからは連絡ナシ。パティオに入れたのか?