裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

月曜日

自ギャグ史観

 これが陛下の前ですが大笑い。朝7時起床。肩がパンパンに張っている。朝食、イチジクとヨーグルト、サラダスパ小皿一パイ。今日は朝刊なし。昨日いただいた同人誌類を読む。畸人研究会のもの、暗黒星雲賞本、リビドー鈴之助の2丁目体験本などなど。小泉サンが今日、前倒しで参拝。強行をうながしたのは中国の唐サンの“やめなさい”発言であることは明白である。あそこまで言われて、その通り中止すれば、軟弱外交のイメージがつきまとうことは当然で、決断と実行を謳い文句にしている小泉サンにとっては政治生命にかかわる。参拝賛成派はよろしく中国外相に感謝すべきであろう。

 お盆休みとはいえ、仕事が案外ある。とりあえず、北海道新聞の星取り五番勝負の原稿用の本五冊に、もう一度ざっと目を通す。『オカルト探偵ニッケル氏の不思議事件簿』(東京書籍)は良書だと思うが、佐藤雅彦氏の訳がどうも上滑りしているというか、はしゃぎ過ぎの感(本当に佐藤氏の訳か?)。水晶のドクロの眼の部分を“めんたま”と訳す必然性がどこにあるのか。また、“オッカムの剃刀”の語源を哲学者ウィリアム・オッカムから、などとしてあるのも情けない。ウィリアムはフランシスコ派の修道僧であり、オッカムというのは出身地であるサリー州の地名なのだから、“オッカムのウィリアム”と訳すのが常識であろう。その他、ロバート・リプレーの『Believe It or Not!』を、『ぜんぶマジな話』などと訳している意味もわからない。あれは一般に『信じようと信じまいと』という日本語訳が定着しているはずだ。ひょっとして、そのタイトルで邦訳が出ているのかとも思ったが、ネットで検索しても見つからなかった。まあ、フォルケ・ヘンシェンの著書を『ドクロの文化史』と訳しているが、これは既に『頭骨の文化史』という訳題で築地書館からすでに発行されているし、ビアスの『こんなことがありうるのか?』は創土社から『完訳・ビアス怪異譚』という題で翻訳が出ている、などなどのマイナーすぎる指摘は天にツバする恐れが多分にあるのでしないでおく。

 鶴岡から電話。コミケのいろいろな報告。竹熊健太郎氏は岡田さんと私のブースが並んでいるのを見て、あわてて方向転換して立ち去ったそうな。金成さんたちとそれを見ていて、“あの人もオーラがなくなったなあ”と感慨無量であったとか。と、いうより、こういう風に誰が見ているかわからないのだから、たとえシマッタと思ったところで、堂々と前を通りすぎていくがよかろう。人間、見栄が大切である。

 道新原稿書いてる最中、肩の腫れがずーんと重くなり(同じ姿勢をずっととっていたのが悪かったらしい)息が苦しくなるが、少し休んで回復。完成させて送り、昨日のと学会の売上高を計算。パティオに会計報告をアップする。まずまずの黒字であった。睦月さんも官能倶楽部パティオに会計報告をしてきたが、こちらはトントンなのは、同人誌の作りに金をかけているため。考えてみればと学会の会誌というのは十年前から紙質も並クラスで印刷は一色、まことにもってソッケない。

 昼は3時近くに、シオカラでお茶漬けを一杯流し込んだのみ。原稿書きをちょこっとやってはやめ、資料室にもぐりこんだりなんだり。明日の朝飯の材料を仕入れに、青山まで行って買い物。寝転がって『トゥーン大好き!』を読み返す。もう少しこれに手を入れて商業出版に出来ないだろうか。

 今日は何にせよ疲れているので、早めにメシ食って寝てしまおう、と、K子とうちあわせ、7時に東新宿『幸永』。メシ時で混んでおり、30分待ち。何かここの肉には人間性に訴えかけるものがあり、食いながらウナリ出したくなる快感がある。そう言えば昨日のお客で、この日記読んでさっそく幸永に出かけたが一人だったので断られた、という人がいた。繁盛なので、混む時間帯は一人客はお断りなのである。今日食べている最中にも、片手に東京うまい店ガイドのようなものを持った若い男性が自転車でやってきて、断られていた。この店、ガイドに載ったのか。これはまた、ちとヤバいですな。スライステール、コメカミ、極ホルモン、豚骨タタキに豚足、テールスープ、サンチュ(おかわり)。最後は冷麺を二人で分けて食べて。ホッピー2本。“日本一の御機嫌にて候”的な、満ち足りた気持で帰路につく。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa