裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

火曜日

カメ、絶対。

私は絶対ゴジラよりガメラ派。朝8時起床。入浴、日記つけ、9時朝食と変わり映えなし。朝食はトマトとポテトのスープ、半熟卵、ミカン。オリンピック、新聞やネットで記事を拾っているがテレビはあくまで見ない。意地で見ない。

そもそも、国民がテレビでスポーツに一喜一憂するというのはショービニズム(好戦的盲目的愛国主義)の訓練以外のナニモノでもない、とチョムスキーも言っている。社民党もまた非武装中立主義を復活させたそうであるが、ならばまずワールドカップだとかオリンピックとかこそ戦争への心理的準備、として反対しなければいかんだろう。

自室で原稿、『アニメ夜話』単行本のカリ城インタビュー。かなり手を入れて、すっきり読める内容にしたてる。と、言うか、もう少し話したまんまが原稿になりやすい、そんな話が出来ないものかとイヤになるくらい冗漫かつ饒舌すぎ、である。
12時までやって、なんとか完成。大急ぎで弁当(今日もシャケのカマ)使い、タクシーで渋谷へ。1時にバーバラと事務所でゲラチェック原稿受け渡しの約束をしていたのだが、ちょっと遅れて半に彼女、来訪。赤入れゲラ渡して、コミケ関係の話など。彼女の知りあいで週刊PBに書いているライターがいるのだがいま書いている原稿で私のコメントを貰えるかと打診があった、という話。

こうでんさんから能登でやったトークのDVDいただく。電話ひっきりなし。水木しげるが、仕事がどんどん舞い込むようになってきて最初は電話が鳴るたびに福の神の声に聞こえたが、やがて自分を追いかける怖い存在になってきて、電話が鳴るたびに隠れたくなるようになってきた、と書いていた(と記憶する)。最近は私もそんな感じ。

事務所でとっている新聞でマンガ家・古城武司氏の死去を知る。8日、舌ガンで死去、67歳。67歳という若さに驚く。私の小学生時代から、『ぼくら』『少年ブック』『少年マガジン』等でおなじみの人で、SFから時代物、アクション物とほぼ、なんでもござれという万能作家であった(まあ、当時のマンガ家にはこういう人が多かったが)。石森章太郎から松本あきら(零士)、桑田次郎、白土三平など当時の若手・実力派を揃えた連作忍者もの『忍法十番勝負』(1966)でも第四番勝負を担当、手堅く作品をまとめていた。その当時からデッサンのしっかりした、ベテランの域を感じさせる描線だったので、現在は当然ながらもう70代半ばくらいだろう、と思っていたのである。

……ということはつまり、あの当時から、あまり斬新性はなかった人ということになる。『ウルトラQ』のコミック化などの仕事をよくやっていたのも腕はしっかりしていて何でも描ける、しかし作品をぶち壊しにするほどの個性もないから安心してこういう仕事をまかせられる、という位置にいたということだろう。コトバを変えて言えばプロ、だ。

『ウルトラQ』では、とらえられたゴメスと、その飼育係を命じられた動物園勤めの老人との情愛の話をオリジナルで描いていて、なかなか当時印象的だった。その後、立風書房の怪奇ものなどを描いたり、学習漫画、歴史漫画などを描いたり、最後までマンガ家として仕事をされていたようで、訃報欄にも“集英社の学習漫画シリーズの作者”と書かれていた。
http://www.ne.jp/asahi/mili/surva/1stgame/nazi/nazi.html
↑あ、こんなところでこんな紹介が。

WAHAHAから送られてきた脚本、まだ2場まで。4場まであるのにホントに大丈夫かと思う。2時、時間割にてプロント・プロントのSくんと。家を出て、オノと時間割に行く途中にバーバラから紹介受けたライターさんから携帯に電話、“アイドルの高齢化現象”についてコメントを。歩きながらやってちょうど時間割の入り口で終える。仕事とすれば何たる能率のよさ!パイロット版兼ねた第一号が何とか校了したので、第二号以降のちょっとした打ち合わせ。

Sくんのところの社長、小野寺ピロパキの話もする。肩がえらく凝ったのでマッサージに行き、一時間揉んでもらう。“今までの凝りとは全然違いますね”と言われてちょっと心配になる。
「一日二十分でも昼寝するといいですよ」
とアドバイス受ける。

帰宅して4時から原稿、アサ芸『こんニュー』、何度もK元さんから催促電話貰いながらやっと7時に完成、メール。その合間にNHKのUさん来て、金曜収録の『週刊お宝TV』の台本打ち合わせ、日テレ『世界一受けたい授業』からは打ち合わせ日取りの打ち合わせ電話。バーバラからはチェック原稿への問い合わせ。試写会の誘いも来る。頭がグルグル。

『ブジオ』は半ば冗談で言っていた、わがマンションの住人代表(前)、熊倉一雄さんも出演OKとなったそうでそうなるとまた他の出演者の予定もズラさねばならない。8時、参宮橋まで出てタクシー。博多のぴんでんさん迎えてくりくりで夕食会。ぴんでんさんの他、K子、I矢くん、のび太くん。ぴんでんさんの見合いの話、オタクの結婚の話、その他いろいろで盛り上がる。

タルタル、野菜オーブン焼き、子羊ロースト、自家製パスタ。変わらぬうまさ。ワインは“ジゴンダス”と“モンテュス”という、なにやら音だけ聞くとギリシア神話の地獄の怪物ぽい名前のもの。飲んでちょっと回る。あきらかに体調のせい。帰宅して半身浴もネットチェックも出来ず沈没。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa