裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

木曜日

名バイブレーター

夜の生活にかかせぬ脇役として……(談笑さんとの打ち合わせで出たシャレ)。朝8時半起床。昨日は飲みすぎで、夜中かなりイビキをかいたらしい。K子が“うるさい!”と不機嫌だった。少し二日酔い気味。マオタイのホッピー割りがいけなかったか。

ウイスキードリームならぬマオタイドリームで、いろいろ変な夢を見る。私が産婦人科の医者(ニセ医者)で、メスを持っている前で美女が股を開く夢とか。そのときのぞきこんだ、その中にあるものが、キラキラと透明に光るクリスタルや赤いガラス玉で出来た女性器で、本物を見たことがないわけでもなし、なぜこんな中学生が想像するようなモノが出てきたのだかわからず。

あと、巨大なビルの中で何故か志加吾と話していたりだとか、マニアックな古書オタクと佳声先生(夢の中では貸本漫画家)の本を出す話をしていたりとか。夢の中で社領系明なんて名前が出てくるとは(注・貸本漫画家。ペンネームが難読なことで有名。“しゃりょう・けいめい”と読む。名前とも思えない)。

入浴してスッキリ。9時、朝食。パンプキンスープと自家製スイートポテト。どちらもちょっと朝には甘すぎか。あと、イチゴ。12時半まで自宅で仕事。経理事務所の人が来るというのでそこらで仕事場に移る。タクシーで宇田川町。

今日は所用でオノマネいないので暖房入っておらず、寒い。ラジオライフ原稿書く。ミリオン出版から催促電話くる。これについて、ちょっとややこしいお願い事あるのだが書くのもめんどくさいので略す。

一人で弁当使う。ノリ弁なれどうまし。電話、何本か。どれも私が出ると「あれ、今日はオノさんおいでにならないんですか」「オノさんにお伝えしようと思ったのですが」とか言うので苦笑。私は信用されていないらしい。

4時半、時間割で打ち合わせ。ラジライ原稿、あとホンの数行が間に合わず、出る。幻冬舎T・Yさん。彼女も私が一人なのを見て「あら、今日はオノさんは?」と言う。次からはオノだけをよこそうかと思う。

Yさん、髪を上げていて、イメージが違う。やがて談笑とフワリさん来たので席を彼女の並びに移したので、耳からうなじにかけてをじっくり観察する(しかしエロ親父だなあ)。いやいやいや、お仕事の打ち合わせだったのだ。彼女の作った叩き台に私と談笑で修正入れつつ。6月に談笑、家元との会をやるというので、それに刊行を合わせれば、と提案。そうすれば小説の方を余裕持って進められる。

雑談もいろいろ。某氏が風邪ひいてるという話で「鳥インフルエンザですかね」「だったら命が危ないかな」「そう言やあいつ、昨日鶏ぶるさげてやがったよ」「滅多にインフルエンザなんか当たるもんじゃねえ、こっちの方から当ててやらあなんて言っていたが、あんな野郎でも鳥インフルエンザにはかなわねえ」「えらいねえ、鳥インフルエンザ。ニワトリの銅像かなんか立ってやりてえくれえのもんだ」などとブラックな話を。

打ち合わせ終わり、大急ぎで仕事場に戻って原稿書き上げ、三才ブックスTくんにメール。ついでに近況も。書き終えて出て、渋谷駅。東横線急行で横浜、そこから各駅で新高島。

横浜BLITZで『トクシック・オーディオ』コンサートに行くのである。http://www.tbs.co.jp/event/toxicaudio.html要するに“口三味線”、“人間カラオケ”である。喉とマイクだけであらゆる音を表現する、と言えば寄席芸にも類似のものはあるし、観客を舞台に上げていじる演じ方にも共通項はあるが、これはその技術とスケールを極限にまで高めたもの。

『あぁルナティックシアター』の若手が前座に出ているというので橋沢進一さんに誘われて、横浜まで足を運んだ。前座と言ってもマイクのかぶりものを頭にかぶって誰が誰だかわからないのだが、体形に特長があるのですぐ区別がつくのが可笑しい。
そしていよいよメンバー5人が登場。一言で言うと、“マイク芸の極致”。ドラムセット(ドラムじゃない、シンバルまで含めたドラムセットなのだ)、ベース、シンセサイザーなどを全て声帯とマイクで表現し、ロック、ジャズ、ポップスからアニソン(ルパン三世!)までを“演奏”しまくる。とても人間業とは思えない。

聞いていて惜しいとすら思った。たぶん、こういう広い会場で聞くと、きっと客の多くは「何かあのマイクに細工があるに違いない」「口パクなだけで裏で本物の演奏をしているんじゃないか」と思ってしまうと思うのだ。桜井長一郎(声帯模写の大御所だった人)がやはり弦楽器の口真似をしながら客席に「お婆ちゃん、上見てたってダメですよ、全部あたしが口でやってるんだから」とやっていたが、あれがネタでなくマジに心配されてしまう。

たぶん、その疑いを晴らす(?)ために、何度も客席に降りて、“近くで”見せていたのだろう。もちろん、ミキシングとエコーにだいぶ助けられた芸ではあるのだが。
あと、日本の観客向けに丁寧に演出が工夫されているのにも感心した。ルパン三世のコスプレはやりすぎではないかと思ったが、日本語の歌詞の歌も見事にカバー、テレビネタではさっきのルパンの他、“笑点”“アコムのCM”“ウルトラマン”などをやる。アコムはこの公演のスポンサーだからまあいいとしてウルトラマンの他は他局だけどいいのか、TBS。

終わってプロデューサーのNさんと挨拶。私が来ていると知って、すぐTBS事業部の人間を呼んで名刺交換させられ、明日のブジオでこの公演のこと宣伝してくれと頼まれた。まあ、本当に面白い公演なのでやぶさかではないが。

東横線で渋谷まで行き、タクシーで東新宿『幸永』。猫三味線の件や夏のイベントのことなど話しながら、ホルモンとホッピー。あと演劇論、いいマネージャーとはどういうものかという話など。気がついたら2時になっていた。タクシーで帰宅、さすがにここのところ夫婦バラバラでの食事ばかりでK子おかんむり。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa