裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

月曜日

カジモド龍太郎

ノートルダムのヤミ献金。朝、7時半起床。風邪ひいていないか心配していたがそういうこともないようでひと安心。

入浴して日記つけ、朝食。ポテトオニオンスープ、ミカン、イチゴ。トリノ五輪ニュースは除けてテレビ追う。確か冬季五輪が夏と違う開催年になったのはリレハンメルからだったと思うが、リレハンメルオリンピックというのはいつだったか、そもそもリレハンメルってどこだったか。聞いたときに“源氏物語みたいな都市名だな”と思ったのは覚えているが。
「みやびなる女御のりれはんめる」。

日記つけてアップし、すぐに渋谷へ。カフェ・ミヤマで『創』対談、岡田斗司夫氏と。テーマは岡田さんの提案で『オタクと金』。ちょうど高須クリニック院長を間近で見たばかりだったのでいろいろ話す。

考えてみれば、大金を手にしたら何をしたいと言われると返答に窮する。映画つくりたいとか舞台をやりたいというのはビジネスとして他人(スポンサー)の金を使うのでないとイヤだし。高須先生みたいに高級ホテルを回って暮らす、というのはやってみたい気もするが一年で飽きるだろう。自家用車もベンツとかキャデラックはあまり好きではない。

フォルクスワーゲンの旧型のバンの、あの使い勝手が悪そうなのが好きなのだ(WAHAHAの省吾さんが持っていて、非常にうらやましい)。意外だったが金が人生のモチベーションではないのだな、私は。もちろん、貧乏はイヤだが。
対談、一時間予定が一時間15分。急いで仕事場に行き、弁当(シャケのカマのところ。美味)使いつつ、オノと打ち合わせ。NTTドコモPR誌からインタビュー依頼。ギャラのいいのに驚く。さすがドコモ、とオノと感心。こういう程度の金の方がどうしても実感がわく。

12時15分、WAHAHAの顔合わせに出る。
「昨夜の寒さは尋常でなかった」
とオノに言うと、
「ダマールの下着とか買ってはいたらどうですか」
「キミね、私だっていつなんどき、美女と急遽ホテルへ行くことになるか知れないんだから、そのときのこと考えるとダマールなんかはけますか」
「……大丈夫、先生、男性って必ずそういうけど、そんなになることって、ねえから」
 マネージャーと話しているのかおさんと話しているのかわからない。

 青山学院裏、WAHAHA本舗稽古場。清水さん、演出の喰さん、それと共演の省吾さん(ポカスカジャン)など。最初の佐藤祐一さんは今日仕事なので昨日プロンプについてくれた人が代演でやるが、漫才師コンビの人情もの。次が私でちょっとシュールなミステリ調小津安二郎もの(?)。そして最後の省吾さんとの、これが凄いインパクト。笑いが炸裂という感じ。このパワーに負けない“奇妙な感じ”をどう出すか。とはいえ、どうも何もまだ一場しか台本が出来てない。今週の土曜が初日というのに。驚きはしないが、省吾さんのを見たあとではちょっとジレる。

清水さんが脚本のSさんに電話をかけ、
「……あ、Sさん? 台本どうでしょう。出来たところだけでも送ってもらえれば……え? 一枚も?」
と話しているのを聞いて省吾さんと爆笑。
「コントの台本みたいだ」
と。喰さんも苦笑しながら、とにかく事務所に来て、ここで書くように、と指示。誰も怒ったりせず“ま、よくあること”と思っているのが頼もしい。夜にはアガるはず、と。さてあるべきでもないので仕事場に帰る。

遅れていた水谷紹さんの東京中低域『十一種』オビ文、三つほど考えて書いて送る。どれも急場で間に合わせたにしてはいい出来、と自賛。これは元々の演奏の出来がいいからである。繰り返し聞いているがこの『十一種』、これまでの東京中低域のCDの中でも間違いなくベスト演奏と思える。この盤に推薦文が寄せられるのは幸せである。

5時、時間割。ねがっち、おぐりと週プレ『名もニュー』対談。S石くんは今日は別件でパス。ちょっとリニューアルの練習版みたいな感じで。その後、おぐりと二人店に残って、ソウルフード本赤入れ。本文、それから対談部分。対談部分はかなり二人でああだこうだと赤を入れあって、真っ赤になってしまった。さらにその後、猫三味線企画に関しても説明し、サイト開設の件、イベントの件、スケジュールの件などいろいろ。資料渡し、とうとう時間割のカンバンで店を出される。長年時間割に通っているがカンバンまでねばったのは初めて。

時間はもう8時を回っており、チャーリーハウスもカンバン時間なので、久しぶりに、とおぐり誘って東北沢『和の○寅』。サントリーの人たち(この店はサントリーの瓶入りウイスキーのアンテナショップなのである)など来ていてにぎやか。身のぎっしりつまった生ガキにウイスキーをちょっとたらして食べてみる。あとお造りが寒ブリ、ウニなど、それにホタルイカのごく小ぶりなのとワケギのぬた。このホタルイカが美味この上なし。それにイクラ焼き、ブリのカマ焼き、鯛茶漬け。サントリー社員の美人さんにおぐりを女優と紹介したら
「わー、生女優さんは初めてー!」
と握手求めていた。宣伝部員なのにずいぶんとミーハーなことである。おぐりの一々の反応に○寅のお母さんが下を向いて笑いをこらえていた。

おぐりにバレンタインの義理チョコをもらう。そのくせおぐり、明日がバレンタインデーとは知らなかった。ここの常連客の御夫人にワインをおごられる。新宿駅までおぐりを送り、そこからタクシー。帰宅してすぐメール見たら、台本は無事、上がったようである。まずは安心、か?

Copyright 2006 Shunichi Karasawa