4日
月曜日
泣く子とビトーにはかなわぬ
なにしろゴッドファーザーだしねえ。朝7時半に起きる。朝食、カフェオレとポテトサンドイッチ。サンドイッチに使おうと思って買ったピタパンがチーズ入りのだったので落ち込む。落ち込むこともない。それと二十世紀。新聞で金嬉老が手製の竹槍で知人夫婦を脅し、逮捕との記事。竹槍、がツボ。奥崎謙三となんとなくダブるな、この人物。一行知識掲示板、えらい書き込み数でパンク状態。やはり『トンデモ一行知識の逆襲』でアドレスを書いたのが効いているようだ。と、思ったら大和書房Iくんから電話。売れ行きかなり好調、品切れ店も出ているとの由、まあ、売れるべく書いた本なので、売れないとちょっと困ることでもあるので、とにかく安堵。
原稿書き出すが、なかなかスムーズにいかず。雑用もいろいろ多い。1時、駅前まで出て回転寿司で軽く昼食。パルコブックセンター回る。2時、時間割で角川春樹事務所Nくん。オタクアミーゴス本のスケジュール確認、会社のHP開設についての相談、それと、ハルキ文庫での書き下ろしのことも少し。オタアミ本、よく企画通 りましたね、と言うと、やはり社長、執筆者名を見て“と学会の連中かあ!”とつぶやいたとか。しかし、そこは商売人、売れると判断したものは出します、とのことで、さすが。書き下ろしはこれから企画出さねばならないが、メドはあり。しばらく雑談、出版関係者のいろんな裏ばなし。
帰ってまた仕事してると、なんだか知らぬがロンドンのテレビ局から、日本の3Dバーチャアイドルばやりについてコメントしろ、と国際電話がかかる。そういうことなら専門のCGアーティストに聞けばよかろうと言うと、いや、オタク文化の中における3Dアニメの受容の実態について訊ねたいので貴兄に電話シタノダと言うので、いいかげんなことを三○分ほど話す。その話の内容があちらのディレクターのお気に入れば十月に撮影に行く、ということなんだが、こういう海外メディアの仕事って、やってもまず金にならないし、なんやかやトラブルが起きて不愉快な目にあうことが少なくない(以前、佐川一政氏がらみでドイツのTV局のインタビューに答えたときや、唐沢兄弟の作品を英訳したい、という話が来たときもそうだった)。海外メディアに日本のオタク文化を紹介した、というのが勲章になった時代はとうに昔話だし。ただ、まあどういうルートから私のところに話がきたか(オタキングに電話して断られた、というような事情だとは思うが)という点が興味のあるところである。
鶴岡から電話。椎名林檎の話。彼女は“ヒトラー”と名付けた(名付けるなよ)自分のベンツを、PVの撮影でまっぷたつに切ってしまったそうだ。“ギャオスみたいな女だね”と言うと“そうですよ、絶対に夜中にビデオで『ガメラ対ギャオス』見ていたですよ! いや、ルパン三世かも知れない。きっと、あれやりたかったですよ、で、まっぷたつになっても車は走ると思い込んでいたですよ!”と興奮気味。
「次の曲はもう、『五右衛門ストリップ』とか、ギプスでなく『ギャオス』で決まりですよ!」
7時まで原稿。なんとかメンズプライス一本アゲ。しかし、二日間延びてこれでは予定通り明日出発だったら、いかなる修羅場となっていたか。北海道新聞書評原稿、こちらの書評の形式に従って少し文章を変えました、とチェック原稿がくる。ハイハイどうにでもお変えください、というのが私のポリシー。直されて文章がよくなればめっけもん、気に食わねば単行本に入れる際に元へともどせば結構。ただし、今回のこの原稿は直したことで前後のつながりがオカシクなってしまっていた。そこのみ、訂正。こういうところで“文章はモノカキの命だ、それを変えるな”などとゴネて、やらでものケンカをするようなことは致しませぬ。そもそも、言い回しを少し変えられたくらいでニュアンスが伝わらなくなってしまうようなヘボな文は書いておらん、くらいの自負はある(ココゾというときの言い回しはちゃんと残すよう、編集者に前以て伝えてある)。
9時、NHK西門前の焼鳥屋『ママズアンドパパサン』。親子でやっているしゃれた焼鳥屋なのだが、盆からこっち、ずっと店を閉めていた。親父も息子もサーファーあがりの道楽好き一家なので、どこか海外へでも旅行しているんだろう、と思っていたら、親父さんがサーフィンでコケて頚椎損傷、ずっと寝たきりだったんだそうである。やっと先日、自宅療養になったばかり、ということである。奥さんと入院ばなしで大盛り上り。チンチンにクダ通したものを抜くときのつらさ、などという話を微に入り細をうがって話していたら、隣のカウンターにいた、クールな感じでタバコふかしていた女性が吹き出した。