裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

金曜日

潮気たつ荒磯にはあれどスク水の

過ぎにし妹が形見とぞ来し(柿本人麿)……万葉時代にも妹萌えのスク水萌えが
いたということ。

※『オールドフランケンシュタイン』三日目!

朝9時起床。
ベッドの中で連絡事項、携帯を使って。
起き出して入浴、母の室から照明音響さんへのお弁当を
受け取り、家を出る。

下北沢楽園、今日はなんと(初日以外)一日だけの、ソワレのみ日。
とはいえ、照明のヨッシー(吉田さん)が今日は他の仕事で
休みなのでニッシー(西尾さん)が入り、彼女のために
照明を当たらないとならぬ。

ハッシーは12月の準備があって遅れるということだが、
他のメンバーに
「今回は私の初演出ですが、昨日の出来で最後までいくと、
これが最後の演出になりかねません。今日は面目を一新させて
いただきたい」
と申し渡し。
とはいえ、まだ風邪が抜けない人も多く、ついに風邪っぴきの
人数がひいてない人数を上回った。
岡田は蹴られるシーンで腰をやった模様で、大丈夫か、と不安満載。

照明当たりしながら演技も細かに直す。
わかりにくいセリフを前もって仕込んだり。
テンポを半秒ずつ早めるよう指示したり。
ゲネが出来たようなもので、この照明代行は非常にいい結果を
もたらしたと思う。

昼はコンビニで京風うどんを買い、それに肉巻おにぎりを
買って添える。肉巻、何か秘かにブームである。
京風うそんに割り箸がついてなかったので、小道具(使ってないが)
のフォークですする。

さて、いよいよ開場。今日は予約が極めて少なく不安だったが
意外や入ってくれて、恥ずかしくないくらいに客席が埋まった。
ホッと安堵する。

7時半開演。冒頭はうんと押さえさせる。
尻上がりに笑いは増えていく計算はできているので、
役者さんたちにはあせらせないように。
主役の別府明華ちゃんの声が戻った!
やはり主役の声が通るかどうかで反応、まるで違う。
きちんと笑いが来るし、反応がビンビン伝わってくる。
調光室でヤタッ、と親指を立てた。
もやしがハッシーの頭を殴るところ、SE見事で、
客席から
「凄い音がしたぞ、大丈夫か」
という声があがった。

ハッシーやっとセリフが入り、本来の力を発揮。
麻見さん、“ギャグは縮めますか?”と聞いてきたので、
「ギャグは逆に延ばしてください。テンポは速く、ギャグはしつこく」
と指示。佐々木輝之はどんどん動きが軽くなる。明日あたり
軽くなりすぎないよう指示必要か。
由賀ちゃんと麻見さんのところ、キーワードを最初に言うように
指示したら俄然、笑いがどんとくるようになった。
芝居って不思議だ。そして面白い。人の心を自在に操縦するんだから。

もやしにつけた二次元フェチというキャラ(まあ本人自身真性なんだが)
鉄板で受ける。こんなに笑いとれるとは思わなかった、という
くらい。

後半さすがにちょっと息切れ感あったが、まずは
「やっと初日が来た」
という感を深く持って、最後の挨拶も気持ちよくできた。
そうなると、褒め言葉ばかりが耳に届く。
「サイボーグ009を連想しました」
という意外なもの、
「よくまあ、ここまでルナの特性をわかって脚本を書けましたね」
という古いファンの方の言、
「あのキャラ(もやし)は反則でしょう!」
という、と学会員のお客様の声もあり。
アンケートにも
「フランケンシュタインものでこのアイデアは初めて見ました」
の感想がいくつもあった。

新田五郎さん、クララ・キインさん、QPさん、大友恵理ちゃん、
中村容子ちゃんなど知りあいもたくさん。
ノーコンタクツの茗原さん、集団as ifの藤丸さんたちも。
as ifさんたちには、まずまずまとまったものを見せることが
出来てホッとした。

劇場出口で本多慎一郎さんに会う。
初日見て、衝撃を受けたという。
「脚本の完成度が凄い。逆に、これほどキチンと作ってしまって
大丈夫なのかと思った」
と、岡っちには言ってくれていたらしい。
来月が徹底したバカ劇なので、今月はキチンとしたものを
敢て作ろうと思ったのです。

ニッシーを飲みに誘おうとしたら佐々木にさらわれる。
後ろ姿にみんなで
「毒牙にかかるなー」
と声援(笑)を。

またまた『八分目』で、はれつ氏、岡田と。岡田、口ひげが
色事師の役にピッタリ。後からas ifの面々も加わって、話はずむ。
藤丸氏を今度は役者で私の舞台に使いたい。
このアンファン・テリブルなキャラは貴重ですよ。

八分目閉店で追い出され、ちょっと舞台のことで、と岡田が
言うので藤丸さんたちも一緒に、坐へ行き、また話す。
なんと帰宅4時過ぎ。

*主要登場人物たち(笑)

Copyright 2006 Shunichi Karasawa