裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

水曜日

金初日

演出家は独裁者であらねばならぬニダ。

※『オールド・フランケンシュタイン』初日

朝8時起床。
急いでクラシック音楽のCDの山をひっくり返し、
版権切れの録音の中から、昨日つけ忘れていたブリッジ音楽の
いいのを見つける。
それから、足りなかった小道具のうち、古い研究ノートの
モトになるもの。これはダブりで買った古洋書で、始末していなかった
ものがあったのでそれで。
私がかぶる帽子のみ、いいものがないので行きがけに買うことにする。

某誌からある依頼。金になることではないが、こっちの思惑通りの
企画依頼で、思わずヤッタねとほくそ笑む。

豆乳とソーセージエッグマフィンで朝食。
入浴し、10時出。途中で帽子、女性向けのものだがボンボンを切り取れば
何とか使えるものを見つけて、即購入。ちょうど安売りで1200円で
買えた。

11時、下北沢着。昨日、1時から詰めてもらっていて結局自分の出の
ところ出来なかったプレトリウス博士役の麻見さんのところからやり、
そのあと、ゲネの時間ないので、通しで場当たりしてそれに替える。
今回はみなルナに出演経験にある人ばかりなので、リズム等は慣れて
くれているだろう、と期待。

問題まだいろいろあり、知恵をみんなから出してもらってクリア。
とはいえクリアできない問題はみんなの健康状態。
声が出なくなっている人、何度もトイレで吐く人など続出。
疲れもピークなのだろう。心配になる。
ともかく、それやこれやでやっと公演準備整ったところで、もう開場
30分前。新しく開店した“肉巻おにぎり”屋(日本料理屋『橙』が、今の
下北沢では流行らないだろうなと思っていたらついに閉店、その場所に
入った)で肉巻おにぎり二ヶ買って腹ごしらえ。

やがて開演。ここまで来るとさほどのドキドキもないまま、舞台上に
出て挨拶、スポンサーの高須クリニックのCMを流したスクリーンを
片づけ、仕込み(芝居の中で使う小道具をお客さんに持っていてもらう
というお遊び)をし、諸注意をし、引込む。

すぐ表を回って(劇場の構造上、裏口から外に回ると表玄関を通って
劇場入り口から入れる)調光室に行き、そこから芝居を見る。
ハッシー、冒頭こそ多少ウロだったが見事にセリフ入っていて、
さすがと思う。本番に強いな。

順調に話、進んでいき、初日にありがちな大失敗ほとんどなし。
小ミスあっても、みんなフォローがさすが。岡っちや純子など、
それで逆に笑いをとっていた。小道具の本花の花が舞台上に落っこちた
まま、という小アクシデントあったが、琴ちゃんがハケのときさっと
拾ってくれた。

初日ゆえのテンポの悪さは、これは致し方なし。
由賀ちゃんももやしも、ちゃんと笑いとっている。
別府ちゃんも頑張った!
エリック、自分の一番おいしいところを何と抜かした。
すっかり頭からスッポ抜けていたそうである。
ミスってものは一番あるべきはずのないところで起る。
後で自分でも呆然としていた。
私の出演シーンは無事!(自分の中ではカンペキに、と言いたいが
我慢する)笑いもとれて終了。

終って挨拶。
客席にいつもの常連さんたちに混じり、と学会の桐生さん、芦辺拓さん、
阿部能丸さんなどの姿あり。藤田由美子ちゃん、髪が黒くなって
見違えた。山口A二郎さんから
「このアイデアはこれまでのフランケンシュタイン映画にもないもの
なんじゃありませんか?」
と言われてやや、鼻を高くする。実際はマンガ家のM・Y先生が
昭和30年代に(たぶん無意識で)やってしまっているのだが。
さらに12月ご一緒する(こないだ会ったばかりの)鳥越有幾子さんも。
こないだアーバンで鳥越さんの隣の席にいた女性が佐藤歩という名前
(字は違うかもしれないが読みは同じ)だそうなので、ちょっと混乱。

初日打ち上げ、八剣伝にて。
芦辺さん、山口さん、鳥越さんなどとワイワイ。
今日は初日ゆえに早めに散会、山口さん、ハッシーと〆にラーメン。
スープは健康のため啜らず。

*麻見さんを囲んで、純子とあゆみ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa