裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

土曜日

鉄砲美人

『ガンスリンガーガール』日本語版タイトル(いや、日本の作品だが)。朝6時45分起床、入浴し、朝食(ブロッコリのスープ、リンゴ)。開田さんの同人誌『特撮が来た!9』ぱらぱら読む。氷川竜介さんの『どこへ行くのか?「特撮」よ……』に泣く。特撮に関してはわざと露悪的なB級賛美、隠居爺さんを演じている私でなく、氷川竜介さんの口から(文章だから指から、だが)
「最近、何が心安らぐって、寝る前にデタラメな特撮作品(唐沢注・『キャプテン・ウルトラ』とか)を見ることなんだ」
 というセリフが出てきたことに膝を打ち、大いに意を強くし、ほーらみろとホクソ笑み、同志的連帯感を感じて涙ぐむ。……ところで氷川さんは数日前に忘年会の帰りのタクシーが追突事故起こしたそうな。その後の経過報告では大事ないようだが、し かし災難。

 タクシーで仕事場、雑用メール数通。本日の入り(うわの空クリスマス忘年会@ロフト)時間についてツチダマさんからミクシィメッセージ。また関口誠人さんからも 本日の件。あ、忙しくて連絡怠っていたところがいくつもある。反省。

『鈴木タイムラー』四コマネタ出し。以前は携帯サイト用にストックしてあったものを使っていたが、それがそろそろ切れてきたので描きおろしが必要なのである。テレビしばりの中でやるネタ出しはなかなかの苦労。雑学原稿でこんなに苦労したのは初 めてではないか?

 昼はマンション下の蕎麦屋で天ざる一枚。大声で店のおばさんと有馬記念の話している男あり。うざったいが、
「競争馬の食費(かいば代)は一ヶ月25万円」
  というのが“へぇ”。本当だかどうだかは知らない。

 戻ってまたネタ出し続き。いいのが四本揃った、と思ったら全部動物ネタで、やはりこれはちょっとこれはまずいだろうと差し替えのものを考えたり、そうすると今度はコントの腹案とつながらなくなったり、いや、たかだか四コマでこんなに手間取る とは思わなかった。思えばFRIDAYは自由なのだな。

 やっと完成して製作会社にメールしたのが3時半、4時ロフト入りなので急いで飛ばす。ちょうどビンゴの景品を作っている最中。唐沢賞に韓国製の巨大昆虫フィギュアセット(以前『キッチュの花園』用に買ったもの)などを提出。あと、みずしなさんんが水島新司の単行本にサインしたりするシャレ企画があり、私も唐沢寿明の『ふ たり』に唐沢俊一とサイン、“白い巨塔”などと添え書きする。

『コミビアコーナー』があるので、そのときに使うフリップ用の画用紙を買いにドン キに行く。なにしろ例の放火事件後だけに
「防火点検重点対策中」
 などというビラが下がり、店頭に消火器などを売っていた。だがここには画用紙ナシ。仕方なくマイシティの画材用品売り場まで歩いて行って買う。少し汗かいた。斉 藤さんにロフトトリビアなど聞いて書き付ける。

 関口誠人さん入り、また旭堂南湖さんも六時過ぎ入り。南湖さんと下の楽屋で少し話す。来年の南湖東京進出計画など。七時開演、サンタ姿の小栗由加、島優子、土田 真巳の挨拶のあと、村木座長の音頭で乾杯、そしてうわの空カルトクイズ。

 終わってコミビアコーナー、白衣を着ておぐりと。マキで、ということなので、ややお客さんいじりが不足気味、おぐりともノーリハだったので、やる方もノリ切れていない感じだったが、ネタ的にはウケたのでよしとしよう。そのあと一人残って南湖さんを紹介、紙芝居『原子怪物ガニラ』を口演。うわの空のお客さんに関西のしゃべり芸が果たして受け入れられるか、ちと心配ではあったが、見事に乗せていてホッとする。そう、これくらいロフトの客というのはいじらないとなあ。楽屋で座長、島さんも“面白い!”と絶賛、なかでもマンガ家のみずしな孝之さんがちょっと興奮気味だった。大成功。もっとも南湖さんを見たがっていた芦辺拓さんも開田裕治さんも、時間がハッキリせず終わってからの会場入りだったのは惜しい。

 その後休息入れてクイズコーナーとなるが、“カラサワさん、出ます?”と、急遽私も参加することに。しかも、役が(うわの空のクイズコーナーは必ず誰かに扮して登場する)“Char”。それに関口さんももちろん関口誠人役で参加、ちとドキドキだったが、『闘牛士』にあわせてセクシー(風)に腰をふる。46になってこうい うことをやるとは思わなかった。私もノる男なるかな。

 司会はもちろんおぐりゆか、ノリっぷりよく、やはり天井低い会場はテンションが上がるなあと改めて実感。島さんが最後は宅八郎から蛍に見事に変身して〆た。みけの“ぷい”もたっぷり聞けたし、やはりロフトは壇上に上がらないとダメなことを実 感する。最後はビンゴ。みずしなさんの司会で手際よく終わって一本締め。

 斉藤さんがチャーにやたらウケてくれて“唐沢さんとつきあって七年にして初めてみた”と興奮気味。そりゃ私も生まれて初めてだ。あと、うっかり『コミビア』のときに忘れていた一月八日の『オタク大賞2004』の告知も最後にあわててするが、 すでに一〇〇人ほどの定員で、七〇枚以上チケットがハケているそうで、この二、三 日じゅうに販売締め切るとか。

 南湖さんにご祝儀包むが、ご祝儀袋を買い忘れていて、ロフト事務所にあった文書封筒に入れて渡す。ちと無風流だが仕方なし。11時から上の居酒屋で打ち上げ。当然のことながら終電時間過ぎるが、座長はじめ劇団のみんなは始発までここで過ごす 予定らしい。 私もつきあい、(Taka@モナぽ(略)さんやしら〜さんと話す。

 あと、来年のうわの空外部露出計画も。ここでいつもジレンマに陥るのだが、当然のことながら、いかに個人的大ファンとはいえ、お仕事や業界に関しての認識は、お互い別個に長くこの業界にいた人間として、村木さんと私ではいくぶん、その考え方や接し方に差がある。一ファンとしてつきあえばうわの空のメンツは最高に楽しい人々だが、プロデュースしようという目でみると劇団自体の個性を壊さずにどう売っていくかが非常に難しく、私自身のやり方で押し通そうとするとこないだのように暴走してしまう可能性あり、またうわの空の皆さんもとまどうだけで本領を発揮できない だろう。ここをもう一度考え直さねばならず、ファンだけに難しいところ。

 最初はパーパーしゃべっていたが、三時過ぎるあたりから急に鬱が襲ってきて、押し黙るようになった。四時あたりで最高潮に達し、もう少しで始発というところでたまらず辞去、しら〜さんと相乗りで新中野に帰宅、ベッドに潜り込んだとたんに凄まじい悪夢に立て続けに襲われて、一時呼吸困難に陥る。仕事疲れの中、むやみにテン ション上げたせいだろう。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa