裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

月曜日

邪魔したな、野田クルゼ

 どうせ来年も浪人さ。朝、8時起床。小雨パラつく、情けない天気。体調もかんばしからず、寒気がゾクゾクと背中あたりをかけあがる。朝食、豆サラダ、ブラッドオレンジ。山積している仕事にさっさとかからねば、と思うのだが、テンションがどう してもあがらぬ。自分で自分が歯がゆい。

 マイクロフィッシュの原稿、書き出しが気に食わず、何度か書き直す。すでに原稿枚数は規定の分量に達しているのに、ああでもないこうでもないと導入部分をいじくりまわしているうち、12時半を過ぎてしまい、放擲。家を出る。巣鴨の三和出版でベギちゃん、スカトロ嬢の内山沙千佳と対談というお仕事(ベギちゃんの処女単行本『乙女失格』のため)。途中で、新宿南口の立ち食いソバ屋(ここはまずいので有名なところ。繁盛しているが)で、“新宿冷麺”なるものを食す。500円と、立ち食いにしては結構なお値段であるが、麺はゴムのようであった。

 巣鴨駅に少し早めに到着。改札で待っていたら、アニドウの人に会う。あれ、これはこれはと挨拶していたら、なみきが懐かしい顔の×ちゃん伴ってやってくる。私の顔を見て驚き、たったいま電車の中で×ちゃんとアンタのこと話していたところだ、と言う。三百人劇場で知り合いの出るお芝居を見にいくところだそうな。×ちゃんは私の日記をなみきに言われて読んで、“あれ全部一人で書いてるんですか!”と驚愕 していたそうな。

 で、なみきと話していたら、アレアレという声。なんと永瀬氏が秋葉原の紙袋を手に改札から出てきたところ。パソコンがクラッシュしたのが、なんとかデータ復旧できそうだ、ということで、ソフトを買いに出たところだったそうな。ちょいと立ち話する。しかし、いったい待ち合わせ以外の知人に二組も出会うというのは、巣鴨というところは何であるか。

 で、その二組と別れたところで、やっとベギちゃん来る。編集局長のS氏も出社してくる。と、いうか、二時に鼎談予定していて二時に編集長が出社してくる会社というのもなかなか、とベギと会話。しばらく内山沙千佳さんを待つ。内山さん、ギャルショッカーのミルサチカであった。いつも中野監督のサイトでお姿拝見してます、と挨拶。小雨もよいなのでタクシーで行きましょう、と車止めに行こうとしたら、若い女性から“カラサワシュンイチさんですか! ファンです! 日記も見てます!”と握手求められた。巣鴨で若い女の子に握手を求められるというのも珍しい経験なのではないか。とにかく、巣鴨周辺には私になにか関連ある磁場みたいなものがうずまいているような感覚である。まあ、今日の私は鼎談撮影のためにと、帽子、メガネ、ワイシャツにネクタイ、スーツと、“唐沢俊一完全仕様”だったから、わかりやすかった、ということもあるだろう。

 三和出版ビル(ベギに言わせると“うんこで建てたうんこビル”)7Fの、撮影用フロアで鼎談プラスS編集長で。医療用ベッドやソファなど、『お尻倶楽部』でよく見かける小道具類があるのに苦笑。以前『美しき神々の賜』のオビを書いたときのWくんとも名刺交換。あれはどどいつ文庫伊藤氏の紹介という、意外な人脈でやったお仕事だった。スカトロばなしいろいろ。スカトロは実践派ではまったくないので(ベギちゃんも同様)、はずんだんだかなんだかよくわからないノリであったが、気がつくと三時間、ずーっとウンコのことをしゃべりっぱなしだった。なんだかスカトロというのが楽しい世界であるという気になってしまったのが実に妙。沙千佳嬢の話に、ウンコは商売なのだから、家でやってはいけない、と、脂汗流しながら、店まで我慢している、というのがあって、プロばなしの大好きな私としては大感動。彼女の勤めているフェチクラブが、私の家の近くにあることも判明。“お近くなんだからなにかのついでに寄ってくださいよ〜”と言う。そういう風にふらりと寄るものかね、ああいうところというのは?

 そこで別れて、三田線、半蔵門線を乗り継いで神田神保町。カスミ書房さんに行き挨拶。と学会東京大会の話しばらく。ポスター、関連のお店にも紹介して貼ってもらうようにしますよ、と、ありがたいお言葉。三十分ほど話して辞去。タクシーで新宿へ。紀伊國屋書店前で、北海道新聞Yさんと待ち合わせ。東京出張なので、一緒に食 事でも、ということで。

 K子と三人、鳥源で。さんなみの話などをK子、熱心に勧め、道新で取材に行こうとそそのかす。Yさんと私は同じ大通小学校出身なのだが、今度大通小は合併でなくなってしまうのだそうな。まあ、児童数は減少だろうなあ。焼き鳥、鍋。ビールと、焼酎の水割り。ワリカンで。タクシーの中でK子に“わかった? まだキミは、新聞社におごってももらえない身分なのよ。おごりたかぶっちゃダメよ”と言われる。へいへい、たかぶりません、とMチックに平身低頭。とにかく、天候と体調(それに鼎談の話題)のせいだったろうが、妙てけれんなテンションの一日であった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa