4日
水曜日
「何言うてんねん」「そんなアホな」「吉野屋サイト!」
ただいま吉野屋サイトでは牛丼漫才をネット配信中です。朝7時45分起床。朝食はいつもの豆サラダ。モンキーバナナにコーヒー。メールで某社編集部に、トンデモ落語会へのお誘い。すぐ返事が来た。喜んでとのこと。もひとつ、ネットで見つけて興味があったので注文した珍味食品の代金振込先を問合わせ。これも速攻で返事が来る。終末は反応が早くなるのか。
先日撤去されたカラスの巣、なんと同じ木の同じ場所に、また夫婦カラスが巣作りをはじめた。根気比べのつもりだろうか。もっとも、カラスの人相というのはわからないから、こないだのつがいとは異なるカップルかも知れず。また撤去ということになるのではあろうが。確かに、税務署のビルとこんなに近くでさえなければ、ちょうど巣作りに適した形の枝振り(木のてっぺんの枝が手のひらを上に向けた形で広がっ ており、ちょうどすっぽりと巣がおさまる)である。
郵便局に、珍味代金を振り込みに行く。普通の振込用紙に書いて出したら、番号が1で始まるのは電信振込用紙に書くのだ、と言われる。これが振込手数料が高い。お試しサイズで注文しているので、よりその割高感が感じられる。帰宅しようと通りを渡ったら、ちょうど通りの角に新宿西口行きのバスの姿が見えたので飛び乗る。代々木公園通りの桜並木を眺めながら、しばしぼんやりとした時間。春や春、ではあるが 思えば春には、切ないような思い出ばかりしかない。
こないだ食いそびれたアカシヤのロールキャベツ。はっきり言ってそんなうまいものであるとは思えないのだが、最近、どんどんこういう個性あるメシの食える店が少なくなってきている。今のうちに行っておかなければ。出て、東口名物のビデオ屋、ラムタラへ。ここは鶴岡法斎曰く“エロビデオのピラミッド構造”で、一階からどんどん、階段を上がって上階に行けば行くほどマニアックで変梃なビデオのコーナーになる。行ったからには当然、という感じでてっぺんの階まで。やはり中心はアロマ企画のものである。いろいろ凄いものがあるが、あまり克明に描写すると、毎朝食事前にこの日記を読んでいるという人もいらっしゃるそうなので割愛。特撮ヒロイン風ものビデオのコーナーも以前よりさらに充実。オタクと性、の最前線を越えて敵陣にまで迷い込んでしまったような代物。上記テーマで最近は論文書いたりする人がいるようだが、ならばそういう方々はここらまできちんと押さえているんでしょうな、当然のこととして。
帰宅、今日は深夜から雨だそうで、気圧がやはり乱調気味。エッセイネタを拾うための読書しばし。猫がやたらニャーニャーと大きくないているのは、すでに子宮を除去して十数年になるにも関わらず、いまだ、春の季節が体にモヤモヤを感じさせるためであるらしい。足のシビレは完全に治ったらしく、K子が言うにはまた洗面台に飛び乗れるまでになったとか。
6時半、渋谷駅前でK子と待ち合わせ。恵比寿ガーデンプレイスにて、ダイヤモンド社長井氏の退職祝いの席。オシャレなスポットとかにはとにかく、行かぬよう行かぬようとしているもので、見事に道に迷ってしまう。もう一度、易まで引き返して、なんとかたどり着く。遠い! 動く歩道に乗っていたら、やはり恵比寿駅からの所要時間を読み間違えたらしいサラリーマン二人連れが、“まだあんのかよ”“いや、ここまで来れば……”と話し合っていた。着いてみると、ちょっとした高台にしつらえられている場所なもので、東京の真ん中にありながら、夕暮れの周囲に、高層ビルの影がほとんど見えず。わずかに、東京タワーが上半分だけのぞいているというシチュエーションで、郊外っぽい。以前、まだ出来たばかりの頃、親父とお袋を迎えに行っ たっきりだな、考えてみれば。
会場、すでに50人くらいの人が来ている。岩本久則さんなどという子供の頃から名前を知っている人の顔も。K子は並べられている料理を見て、シャーッ、と蛇みたいな声を立てて怒りを表明していた。宮台真司と五、六年前に鼎談した飯沢耕太郎氏にも久しぶりに会う。それ以外は、知った顔なし。ササキバラゴウ氏と三人、“さすが長井さんの会で、一見して変、ではないけれどよく見ると、社会の中心から微妙にずれている趣味の人たちが集まってますねえ”と。途中で、文庫本雑学ノートの岡崎武志氏もやってきて、話に加わる。“相変わらず凄い刊行ペースですねえ”と言われる。長井氏に挨拶したら、長井氏にも言われた。長井氏は『古本マニア雑学ノート』のとき、私のマンションに日参して原稿取りに来て、当時農林水産大臣だった大原一三が私のマンションの住人なもので、玄関に警備員がついており、それに誰何されて“毎朝このマンションを訪れるようだが、何の用がおありになるのですか”と尋問され、“いや、原稿の遅い作家さんがいるのです”と答えたという。警備記録に“××号室、原稿の遅い作家”と記録されたかと思うといささか憂鬱なのである。
しばらくいたが、K子が“どこかへ食事しに行きましょう!”とせかすので、早々ではあるが退出。ササキバラさんと、参宮橋くりくりへ。タクシーの中で聞いた、リチャード・クーの話(ササキバラさんとはカメラマニア仲間。重度のオタク〜桑田次郎フェチ〜であるらしい)に笑う。ベジタリアンのササキバラ氏にはクリクリはいい店で、焼き野菜やサラダ類が豊富。『新現実』の裏話などを聞きながらワインとビール。やはり福田和也はスゴイ、と、ササキバラさん、やたらリスペクトしていた。聞いているに、やはりああいう業界は私には異界、である。戦争論とか書いて、あのイチマキの物真似と見られるのはイヤだなあ、と、少し沈んだ気になる。K子は、この夏、東放学園の講師になって漫画家コースの授業をするとか。どういう教え方をするんだか。ササキバラ氏も大塚英志も、ここの講師であったとのこと。K子は履歴提出とかが面倒臭い、とブツブツ言っている。11時半ころ、店を出ようとしてみたらもう、雨がかなり降り出していた。