裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

土曜日

ジョルジュの顔もサンド

 タイトルに意味はなし。8時起き。朝食、キノコのコンソメ煮とバタロールのホットドッグ。少し食いすぎだが、冷蔵庫の中を片付けなくてはいけない。

 週アス一本、書き上げ。前に捨てエッセイで書いたものを手直しして、と思っていたのだが、どうも気に入らず、頭から新しく書く。日記つけて、その後ネット回り。24日に書いた女性編集者のサイト、またまたどうしようもないことに。彼もどうしようもないが、彼女の方も“自分だけがピュアなんだ”的思い込みに酔っていて、ダメ。被害者意識の強すぎるものは、自分が無意識の加害者だということに気がつこうともせぬもの。こういうのが一番タチが悪い。だいたい、マスコミにいる人間が、ゴシップに群がる連中を下劣な野次馬、と決めつけてどうする。相手の迷惑を考えない野次馬精神こそ取材の基本じゃないか。その根性のない記事など、ただのヨイショに過ぎない。

 K子に弁当作る。オカズは牛肉とセロリの炒めもの。自分の昼はあまった牛肉とセロリをニンニクと一緒にご飯と炒めて。岐阜の薬剤師会HPに、以前の業界誌コラム原稿を転載するために送る。もう十年近く書き続けている業界誌原稿、初めて初期のものからのものを通して読む。まったく進歩がないようにも思えるし、少しはうまくなっているじゃないか、とも思う。何にせよ、あまり古いものは時事ネタではなくても、原稿全体の雰囲気がやはりカビくさくなってしまっていて、使えない。

『FRIDAY』に、知り合いのレディースコミック作家のセミヌードが載っていて驚く。彼女、おとついの夜に電話してきたばかり。K子と話していたが、そういう話題は出なかったようだ。見たかどうか、サグりを入れてきたのかも知れない。K子が例によって人をくった応答をしたので、口に出せなかったか。しかし、数年前に三人で飲んだとき、いろんな出版社がヌード撮れ撮れとうるさくて困っちゃう、とウレシそうに言っていたときから時間がかなりかかったな。ヌード自体はまったく露出度の低い実用性のないもので、“開田あやのツメのアカでも煎じてのめ!”と怒る。怒ることもないか。

 桶川の女子大生殺し事件容疑者、屈斜路湖で自殺。かと思うと九歳のときから十年の間、男に部屋の中に閉じ込められていた女性、保護。男は親と同居にも関わらず、親は息子にオドされて十年間、二階に誰がいたのかも知らなかったという、珍事中夭言語道断な事件。その他、オウムは依然としてゴタゴタしているし、加江田塾のミイラも、復活の儀式を行っていたとかいう猟奇的様相だし、最近のニュースのカルト化には、すでにこれまでの一般常識では立ち向かえなくなっている。裏モノの重要性、いやますばかりという感。ニフティでも、FMISTYのUFO会議室ののよちよちとげピー改めCASSIUS改めコアラ茶改めGeogian(快楽亭ブラックなみの改名記録である)が大ブレイク。あちこち見物に飛んで回るだけで大変だが、こういう末世に生まれ合わせたからにはそれを楽しまねばソンというもの。

 昨日ゲラ刷りが届いたK子のダイヤモンド社の本、同時発売予定の『腕時計雑学ノート』とかいう本の著者がさっぱり原稿書かないので本が出来ず、おかげでK子の本までが4月に発売延期となったという。この著者の本が出たら名指しでこのことを言い触らしてやろうか、と夫婦で相談。こちらの受けた経済的被害だけでも、この著者の印税から差っぴいてもらいたいものである。担当編集の長井氏(K子の指示により伏字ナシで書く)が電話でこのことを伝えて、K子にどうノノシラレたかと想像すると、つくづく、私ゃ編集者でなくてよかったと思う。

 8時、『寿司処すがわら』で夕食。白身、赤貝、イカつまみ、あなご、ウニ。いいちこスーパー梅干入りお湯割り4ハイ。店長とわれわれ夫婦、いずれも同世代なもので、体のガタの話、若いもんとの考え方の相違の話など、はずむこと。

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