朝の目覚めが気持ちよく感じられる。体が復調してきたようだ。布団があまり乱れていないのも、寝返りをそんなに打たなかったということで、熟睡できた証拠か。寝床の中で少し昨日の読書の続き。８時に起き出して、朝食作り。モチ入りコーンスープ、イチゴ数粒。

　Ｍ社から出る雑文集の、単行本未採録原稿の整理などする。単行本に入れるには量が足りなかったり内容がイマイチなものは、リニューアル後のこのホームページで読めるようにするつもり。

　昼は外でと思ったが、日曜で混雑していると思い、家で。豚バラ肉とネギ、豆腐で濃いめのミソ汁を作り、冷飯をぶちこんでおじやにする。豚肉の臭みを消すために、ショウガ一片を一緒に煮るのがコツ。食べながらＣＤで柳亭痴楽『幽霊タクシー』など聞く。

『創』原稿、下書きざっと。その件で資料をと思ってネット検索かけていたら、偶然読書日記系のサイトで『トンデモ本　女の世界』をケナしているのがみつかった。読んでみると、この人はこの本を“女性が書いたトンデモ本を批評するというコンセプト”で作られた本、と勝手に思い込み、そのコンセプトが守られてないからけしからん、と怒っているらしい。そう言われてもねえ。笑ったのは、執筆者の一人の立川談之助を“信用できない人物”と言っていることで、その理由が“共産党の集まりで司会をしたり落語をやっているくせに、赤尾敏のファンだという”コウモリのような男だから、というもの。こうシャレがわからなくっちゃどうしようもない（笑）。

　新聞に、先日交通事故で亡くなった００７映画の“Ｑ”役、デズモンド・リュウリエンのことが載っていた。Ｑがあまりのはまり役でイメージが強くなりすぎ、他の映画の出演依頼がとだえたため、新作の撮影期間以外は年金でつましく生活していたんだそうな。･･････これはわれわれにも言えることで、得意分野を持つのはいいが、あまりに“○○の××さん”などと言われてイメージが固定すると、その分野が流行遅れになったとき、仕事がパッタリ絶えることになる。以前、芸能プロダクションの先輩がナベプロの社長の言葉として、“プロダクションに（収入を支える）柱が一本しかないのは危険である。二本でも、一本が欠ければ屋台がグラつく。柱は三本、作っておきなさい”というのを繰り返し語っていた。フリーのモノカキで一生をまっとうしようとするなら、“それだけで食える”得意分野が三本は必要だろう。

　夕方、あまり家に閉じこもっていても、と思い、買い物がてら散歩に出る。青山近辺まで、少し強歩的に、汗ばむくらいの速さで歩いた。青山ブックセンターに立ち寄る。青弓社の本をセールスしていたので持ってなかったもの１万円ほど買い込む。

　年賀状のお年玉くじ、発表。切手セットだけだったが、十名の方のがあたってました。朝日新聞の小原さま、裏モノ会議室の傍見頼道さま、ライターの伊藤和弘さま、下川耿史さま、加藤礼次朗さま、藤倉珊さま、兎菊書房の鈴木清美さま、古本のじゃんくまうすさま、ライターの片瀬捨郎さま、桑沢正文（親戚）さま、今年はきっといいことがありますよ！

　９時、夕食。ラムチョップのゆず胡椒焼き、アナゴとカボチャの蒸しもの、銀ダラのミソバタ焼き。ＬＤで“アニ”。いよいよソロリティー廃止動議が薫の君から提出される。いままであんなにソロリティーソロリティーと騒いでいたのに、その動議が出たとたん、そうよそうよと付和雷同する生徒たち。大衆をその場その場でコロコロ意見を変える、徹底した衆愚に描くのは例えば梶原一騎の作品などに見られる特長であり、不思議なことに大衆受けする作品ほど、大衆をそのようなステロタイプに描いている傾向がある。

　見終わったあと、今度は片岡千恵蔵が大石をやっている『忠臣蔵』を見る。その前の『赤穂浪士』が原作大仏次郎、脚本新藤兼人というインテリだったのに比べると、今回の脚本は多羅尾伴内ものの原作者比佐芳武。ぐっと通俗になり、その分東映という会社の社風に合ったものとなった。吉良も前回の威厳ある月形龍之介から進藤英太郎の脂ぎった意地悪爺いに。脱落者の悲痛も、吉良方の小林平七の葛藤もナシ。そんなまだるっこしいエピソードは、高度経済成長のトバ口にあった日本の大衆には必要ないものだったのだろう。善人は全ていい男で、悪人はみなイカニモな悪人顔。これで通る時代というのが、実は黄金時代なのかもしれない。

・今日のお料理「銀ダラのミソバタ焼き」
　西京漬け（甘ミソ漬け）の魚とバタは実は非常に相性がいい。ことに、タラや、ムツ、キンメダイなど。フライパンにバタをひいて、ミソを適度に落とした魚を焼くだけ。フタをしないと、ミソがはぜて火傷をするので注意。お弁当のおかずにも。