17日
月曜日
徹底してタコ
朝8時起き。雨、ザアザア。ここまで降るとかえって平気。朝食、コーンスープとモチ。午前中に『創』完成、イラスト指定含めてやっつける。調子がなんとか戻ってきましたな。その後でM社雑文集の原稿チェック続き。
G書房から電話、『カラサワ堂怪書目録』続編の件。5月あたりに、ということでスケジュール組む。そしたらK社からもFAX。『少年探偵の逆襲』、5月刊行と会議で決定とのこと。うーむ、いまのうちに体調を整えておかないとなあ。
例えば文章のうまさで行けば植木不等式氏とかの方がはるかに私よりうまいし、トンデモを論破する知識に関しては私など山本弘氏や志水一夫氏、永瀬唯氏、皆神龍太郎氏などの足元にも及ばない。情熱と取材力なら串間努氏が独壇場だし、ツッコミの技術にかけては専門家だけあって立川談之助氏にかなわない。オタク系の濃いネタならば中野貴雄氏や眠田直氏の方が数段上だろう。発想と分析力なら岡田斗司夫氏、批評眼の確かさならば柳下毅一郎氏に一歩も二歩も譲る。と、すると私の本領というのはどこにあるのか。案外、これらの人々のいいところを少しづつ、幕の内弁当のように詰め合わせているので飽きられない、というあたりなのかもしれない。
昼は昨日の残りの銀ダラを焼いて、レトルトの赤飯が賞味期限切れ近いのであわてて食べる。郵便局へ行き、G舎の出版契約書を郵送。3時、M社Tくんと打ち合わせに喫茶店。四冊分、いっぺんに進めるあわただしさ。現代思想系の著者たちの初版部数情報を聞いてゾッとなる。よくみんな、食べていけるものだ。このTくん、売れない人には“あなたの本は出しても売れませんから”とハッキリ言う人で、トラブルも多いが、逆に言うとこの人がこちらに食いついてきているうちは、自分もまだ売れている、というバロメーターになる。G舎のSくんもそういう人だ。出版氷河期には、こういう人材が貴重なのだろう。
打ち合わせ後、渋谷デンタルクリニックで歯の治療。前歯が差し歯だったのがユルくなり、左上の奥歯にかぶせてあった銀がとれた。いずれも前からなのだが、忙しさにかまけてなかなかいけなかったのである。レントゲンを撮るとき、鉛の入った重い防護着を着せられるが、前方の穴からちょこんと手を出し、せまい廊下をちょこちょこ歩いてレントゲン撮影室に入る。ガラモンになった気分である。差し歯を抜き仮歯を入れ、奥歯にはゴムをかぶせる。このゴムはすぐ取れてしまった。仮歯も薄っぺらいものであり、何か気になって仕方がない。
家に帰り仕事続き。なをきと電話。007映画とゴジラの比較論。またまたタコ円盤の話。どうせタコにするなら、口をやっぱりタコ口にしなきゃダメだよ、と大いに論ずる。“そうそう。チュチューッ、とか鳴く”“色は赤な”“口からスミを吹く”“酢をかけられると死ぬ”それくらいすれば、観客の方で“これは監督もよほどタコを出したかったに違いない”と思い知り、トヤコウ言う気もなくなるだろう。徹底こそ娯楽映画の基本。
8時、神山町の豆腐料理屋にK子と行くが満席。その姉妹店のおでんやに行く。白魚からあげ、マグロユッケ、おでん数種。生ビールと日本酒(吉乃川)。帰ってベッドに入ったらJUNE編集部から電話あったが、明日のことと思い、出ずに寝る。