裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

水曜日

私は夢見るマンソン人形・・・・・・

いや、わが家にホントウにあるのです、チャールズ・マンソン人形(写真)。

※『我慢美顔』観賞 書評原稿 朝日書評委員会

今朝の夢。
もろにゆうべの『殺しのダンディー』の影響下で
冷戦時代の話が出てくる。
とはいえ場所は純日本風な湯治場みたいな場所。
老人が
「冷戦時代の建物には必ずスパイが潜む秘密の空間が備えられて
いるものだ」
という。その話を聞いている私も実はここで機密の受け渡しを
する任務を帯びているスパイである。
同僚のアイデアで、湯治場のテレビで力道山のプロレスに
彩色してカラーにしたものを流す。
湯治客たちが大興奮して、隣の人につかみかかったりしている
うちに、脱衣箱の中に浴衣とかと一緒に入った機密書類を
受け渡す。

朝8時半起床。
いろいろとめんどくさい案件いくつかあり。
マイミク切れた相手方とメール交換したり。

9時朝食、メロン、トマト。
カブの冷製スープ、おしゃれにカクテルグラスで。
仕事場に戻り、入浴、日記つけなど。

芥川賞、直木賞発表。芥川賞は中国人作家の楊逸が受賞。
中国人に受賞させるのはどうか、文章の質がどうか、という
ネット意見がいくつか見受けられる。
私はこの作品の日本語表現のたどたどしさは、
逆に効果的に文章を印象づけていると思った。
「芥川賞は話題作りに走った!」
と嘆いている人がいたが、もともと創設者の菊池寛自身が
「雑誌の宣伝のためにやっている」
と明言しているのだから当然のことなのである。

それにしてもいつも思うのだが、芥川龍之介のネームバリューに
比べ、直木三十五の知名度というのはどれくらいなのか。
昨今の直木賞受賞者の中で、『南国太平記』とか(私もそれくらい
しか読んでいない)読んだ人はどれくらいいるのだろう。
実は『水戸黄門』の原型を作った人でもあるし、
映画にも関わっていて、監督デビュー作(共同)がなんと
江戸川乱歩の『一寸法師』。
人間的には芥川などよりかなり面白いタイプであったらしい。

書評原稿500字一本、書く。
総ページ数400ページ以上の本の内容を500字にまとめると
いうのも、またこれは難事である。
あたりさわりない内容のものが出来上がってしまったので、
いささか手を入れて、表現の中にあたりさわりありげなものを
入れておく。

弁当(掻き揚げ丼)使って、二時、家を出て下北沢へ。
劇団ショーGEKI!の公演『我慢美顔』観に小劇場『劇』。
松原由賀ちゃんの出演している舞台である。
まだ公演中なのでネタバレに類することは描けないが、
どうにも意味不明だったタイトル、観終ってアア、こういうことか、と。
ド派手と超地味なそれぞれ三人組の女性たちが対比されながら
描かれていくが、地味派の方の三人組のキャラが全員すさまじい。
由賀ちゃんはその中の一人を演じているが、コントなみに
体当たりの演技をやっている、というかやらされている。
女捨ててる役柄もそうだし、扱いも水鉄砲引っかけられるなんてのは
序の口で・・・・・・。いや、役者って大変だねえ。

とはいえ、まじめに描けば無茶苦茶に重いテーマを、コメディで
描くという姿勢がいいし、また、コメディでさんざ笑わせながら
そのテーマがぼけていないのも結構。
芝居にはありとあらゆる型があっていいと思うが、いわゆる
小劇場のお芝居として、小劇場らしさを求める者には
サイコーの芝居だった。
出口で由賀ちゃんに挨拶。いい仕事しているねえ、と。

一旦家に帰る。
暑いのでシャワー浴び、服を着替えて、
また出て、新宿までバス。そこから大江戸線使い、
築地市場前、朝日新聞社。
通路でたまたまK元さんに会う。
今度札幌出張の由。いい店を教えてくださいと
言われる。

書評委員会。
今日は委員の出席率あまりよくなく、また候補本もいつもより
少なめなので、おだやかな抽選になるかと思いきや、
花丸、二重丸がいくつも並ぶ本続出の乱戦となる。
最初から
「これは唐沢さん向きでしょう」
という本があって・・・・・・いやはや凄いもの。それは花丸で
落とせたが、二重丸はふたつの割当の両方、持っていかれた。

終えてアラスカで雑談。奥泉光さんと二人で猫の話から
寄生虫の話までやたらしゃべりまくった。
ハイヤーで送られ、帰宅。
DVDで『白い巨塔』前半、ウルトラQ『ガラモンの逆襲』、
吉田茂のドキュメントなど見散らかしつつ
焼酎。冷蔵庫に茄子があったので、鮭缶の小さいのを開けて
即席で茄子かやきを作って肴にする。
うまくてついつい、深酒。
いかんなあ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa