9日
水曜日
摩訶般若ハラヘッタ心経
「いくら経文を唱えても腹はふくれんわい」
※『創』対談 『世界一受けたい授業』打ち合わせ 白夜原稿 角川原稿
整体を受けにいくが、いつものところではなく、
D医院という初めてのところにいく。
ところがそこで揉んでもらったところ、
首筋をひどく痛めてしまう。
改めていつものところ(実際は初めて)にいって
揉み直してもらうと、
「首筋がひどいことになってるねえ。……どこか他の
ところで揉んでもらった?」
と疑われ、そしらぬふりをするが、ずいぶん気まずい
雰囲気になり、気まずいわ首は痛いわでさんざんだな、と
思う夢。
いつものところ、という整体院も、夢の中だけの“いつも”
で、実際には行ったこともない。
夢で一番フシギなのは、この、“夢の中だけでの設定”を、
夢をみている私自身疑いもしないことである。
夢が昼間の記憶の整理だ、という説ではこれは説明できないのでは。
8時半起床、昨日の生ゴミがもう臭っている。
出しにいったら、マンションの清掃係のおじさんが
「あ、いいよ、出してきてあげる」
と引き取ってくれた。
このおじさん、無愛想を絵に描いたような人で、いつ挨拶しても
怒っているような対応をする人だったので、意外や意外。
朝食9時。
マンゴー、小メロン。
神田森莉氏の日記に、“北海道の葬式弁当や定食はかならず
メロンが付いている”とあったのを読んでちょっと笑った。
朝食がメロンなのも、北海道時代を今だひきずっているか。
10時、家を出て、バスで中野。駅までの途中にある
中央五丁目のロイホで、岡田斗司夫さんと対談。
テーマは“これからの日本の社会構造”というものであるが
そこはわれわれだから、凄いことになる。
「『創』って一応リベラル誌だと思うけど、そこでこんなこと
言っていいのかね?」
と。ある意味『社会派くん』より過激だ。
終って、構成担当のバーバラと、蕎麦屋で少し話す。
最近の高校生は、男子は本を読まないことをテンとして恥じないが
女子は一ヶ月に一冊でも、“自分は読書家”と一応、称するとか。
とにかく、本を読まない人間に読ませる本、というのを
考えていくことがこれからの文筆業の生き残りには必要。
とにかく、文筆で大もうけする人間が出ないと、業界そのものが
沈滞する。それは、ただでさえ存分に食えていけないことの多い
良心的文筆業(本当に本が好きな人たちのために本を書く文筆業)
たちの死滅を意味する。
良心的な人間だけでは業界は活性化しないのだ。
車の両輪、なのである。
帰宅のバスに乗ったら、間違えて堀越学園の方向のに
乗ってしまった。中野坂上から地下鉄で新中野まで。
無駄なこと。
昼食を使い(焼魚弁当)、原稿書き再開。
のつもりが、ベッドで横になってみたり、メールでちょっと
お願いごとをしてみたり。
どうも、いつものパターンが朝、狂うとなかなか仕事に入れず。
そうこうしているうちに3時、新宿に出て、らんぶるで
『世界一受けたい授業』打ち合わせ。
今回は日テレの制作会社アックスオンが担当。
ネタ出しいろいろ。
今回はこっちの“こういうネタがある”というところからでなく、
会議でまず“カラサワ先生を出す”ということありきだったと
いうので、なかなか合わせるのに苦労しましたとのこと。
このあいだの総集編で私の出番が多かったのも、その前フリか。
それでも、お笑い系のあのネタあり、トンデモにつながるこのネタ
あり。
終って、地下鉄で帰宅、サントクで前もって買い物して、
さて本格的原稿書き。
宅急便が宅配ボックス(留守の時にこのボックスに入っていて、
カードで開けるが、そのカードはK子しか持ってない)
に入っているが困ったな、と思っていたらジャストタイミングで
K子帰ってきた。
電話、また探偵ナイトスクープ。前と同じ人だと思ったら
全く違う制作会社の違う人。みんな大阪弁なんで電話では区別が
つかない。90歳のお祖母さんが老人ホームで唄っている英語入りの
歌なんですが、とちょっと電話口で聞いて、
「ああ、たぶんそれは」
と答えられる自分も自分。ただ、そういう俗謡って活字になった記録の
ないものが多いんで、推定の回答にしかならない。
原稿、まずパチスロネオの原稿。
懐かしい名前も出てきて、いろいろオタク的になりそうなところを
引き戻して作品紹介に。完成が6時半頃。
すぐにそのまま引き続いて、角川書店ムックの『ポニョ』原稿。
書いていてどんどん、自分の思惑と違う方向に行ってしまうのを
引き戻す。難航するだろうなと思っていたが2500字、
驚いたことに1時間半で書き上げる。約半分の文字数のパチスロ
原稿の方とほぼ、同時間である。
なんだろう、ポニョの魔法か。
と、いうわけで8時に珍しく体が空いた。
くたびれは溜まっているので、外とかには出ず、ゆっくりしましょう
と思い、夜食作り。オージービーフの安いのを買ってあったので
ボリート(茹で肉料理)を。
牛肉はニンニクとオリーブオイルでざっと表面を焼く。
鶏肉と一緒に酒を大目に入れた湯の中で、月桂樹の葉と
ニンニクとパセリの茎と一緒に30分ほどアクを取りながら茹でる。
30分茹でたら、カリフラワー、タマネギ、ニンジン、ヤングコーン
などとソーセージを入れ、15分ほど茹でる。
ソースを作る。パセリの葉を微塵切りにして、鉢の中ですり潰す。
そこにオリーブオイル、塩、胡椒、ライムの絞り汁、マスタード、
おろしニンニク少々を加え、ちょっとコクが足りない感じだったので
ショウユなども少したらす。
まったくの自己流ソースだったので(どこかでボリートにはパセリ
ソースだ、とか耳にしていたので)どうかと思っていたが、
かなりイケた。野菜にはニンニクマスタードソースを別に
作ったが、肉には牛も鶏も、このソースが抜群の相性。
DVDで『巨大アメーバの惑星』。
コウモリグモ、三つ目火星人、人食い植物、巨大一つ目アメーバと
怪物がいっぱい出てきて楽しい作品。
話は音信不通になっていた火星探検隊のロケットが突如帰還し、
生き残りの女性隊員の回想で始まる。最初はかなりリアルに
帰還するロケットの捕捉や放射能検査などを描いていたが、
ロケットから女性隊員が出てきたとたん、
「放射能があろうと何だろうと救助が先だ!」
と、みんながその回りに駆けつける(最初にかなり重装備の
放射能防御服を着た兵隊を配していたのは何なんだ)というあたりが、
昔のアメリカ映画の単純馬鹿な愛すべきところ。
以前、テレビで放映されたときには、この回想前の部分が全部
カットされていたような気が。
内容は例によってエロの冒険者さんのサイトを参照のこと。
http://homepage3.nifty.com/housei/theangryredplanet.htm
↑ここでも触れられているが、通信係のサム隊員がスペース・オペラの
雑誌を読んでいるシーンがある。
このサム隊員、顔がこないだ亡くなった野田昌宏氏そっくりで、
大伴昌司あたりがそれをからかい、野田氏自身も嬉しそうに
そのことを言っていたが、顔ばかりでなく、スペオペ雑誌まで
読んでいるとは、ちょっとシンクロしすぎである。
今回、初めて、そのサム隊員を演じていたのがジャック・クルーシェン
であることを知った。彼はジョージ・パルの『宇宙戦争』(53)
にも出演、隕石の番をしていて、中から現れたウォーマシーンの
最初の犠牲者になる農夫を演じている。今回の映画も含め、
宇宙人や宇宙生物に殺される役回りとしての大物であるな。
後にもっと太り、はげ上がってからの活躍の方が有名で、
日本人にもっともなじみなのは、刑事コロンボ『断たれた音』(73)
で、ロシアのチェス名人の被害者を演じた時の役だろう。
この時は地球人に殺されていたわけか。
もう一人、ゲテル博士役のレス・トレメインも『宇宙戦争』には
マン将軍役で特別出演。もう何度もこの日記には書いているが、
もともとはラジオ声優で、『禁断の惑星』(56)の冒頭の
ナレーション、さらには『007/ゴールドフィンガー』(64)の、
ボンドがジル・マスターソンと情事をしているときに流れる
ラジオのアナウンサーの声である。