7日
月曜日
カサノバさーらさら
軒端で濡れて 情欲ぎらぎら 金銀砂子
※『週刊現代』原稿 フィギュア王原稿 NHK打ち合わせ 『週刊昭和』原稿
ホテルのロビーで某女性歌手(私がいろいろ売り出しを
レクチャーすることになった)のマネージャーと
待ち合わせる。
そのマネージャー、まだ若いが、ロビーに、青い背広に
真っ赤な陣羽織、赤茶に染めたアフロへアー、派手なサングラス
という格好で現れる。
こっちが仰天すると、
「マネージャーは目立ってナンボ。どこのスタジオでも
“あ、○○のマネージャーだ”と一目で覚えてもらえますから」
という。
話を聞くと、長いことAV関係の仕事をしていて、
「もう女性の裏も表も知り尽くしてしまって、ロマンを感じ
られなくなった」
という。
「じゃ、歌手には?」
と訊ねると、
「実は歌手にもあまり感じない」
と悩んでいるように言う。それを聞いていた歌手が泣きだす。
私は
「まあ、マネージャーに必要なのはロマンよりビジネス感覚だから」
となぐさめる。
以上、今朝の夢だが、歌手にはあきらかにモデルとなる
現実の知り合いがいた。
マネージャー役は顔も、もちろん性格も、これまでに会ったことも
ない人物。私の脳はどこからこういう人物を作りだすのだろうか。
朝、8時30起床。その10分前くらいに目をさましてはいたが
枕元のデジタル時計をにらみながら、
「あと3分……あと2分……あと1分30秒」
と、カウントダウンしてギリギリまでベッドにいようとする。
気圧が変調しているといつもこう。
9時朝食。パッションフルーツ半個、メロン小一切れ。
弁当作ってもらって部屋に帰り、入浴してから原稿仕事。
まずは講談社『週刊現代』マンガ評。さきごろ完結して
単行本最終巻が出た『ハレンチ学園〜ザ・カンパニー〜』
だが、今年は元祖ハレンチ学園の連載開始40周年
だったということに気がついて、感慨無量。
その当時すでに私は親たちの読んでいた『漫画読本』など
でセックスのなんたるやは知っていたので、性描写にそれほど
驚きはしなかった。ただ、何となくイヤだったのは、
「子ども漫画にセックスを持ち込むのは禁じ手だろう」
という、ズルい手を使うことに関してだった。
ところが、あまりにそれがPTAで問題になり、
何の番組だったか、昼のワイドショーで、永井豪ひとりを
全国のお父さんお母さんに取り囲ませて(あるいはスタジオと
会場を結んで、だったかもしれないが)糾弾させるという
ひどい企画があった。永井豪は手塚治虫や赤塚不二夫の
ように人前でパフォーマンスが出来る性格でなく、
何を言われても罵倒されても、ただ小声で
「時代が違いますから」
というだけだったが、よくまあこういう番組に出演をした
ものだ、と感心し、それからは積極的に『ハレンチ学園』を
読むようになったものである。
それにしても、あの頃の子どもにとって、親たちが目を吊り上げて
“読んではいけない”と禁止するものをこっそり読む、ということの
いかに快感だったことかを思うと、子どもにとっての娯楽が
どういうものか、がよくわかる。
たまたま、ネットニュースでジブリの『ポニョ』発表記者会見
で、宮崎駿監督が、“試写会で子どもの反応が悪かった”と
落ち込んでいるという記事があったが
http://www.varietyjapan.com/news/movie_dom/2k1u7d000005h3xp.html
まあ、あのアニメにはそういう“いけない楽しみ”ってのが
皆無だからねえ。それが悪いとはいわないが。
書き上げて担当N氏にメール、それからすぐ、続けてフィギュア王
原稿にかかる。最初予定していたネタを構成途中で破棄。
新に資料引っかき回して集めたネタをつなぎあわせていったら、
これはなかなか新鮮なネタになった。
途中、弁当(焼きタラコとサヤインゲンの炒め物がお菜)を
使い、3時45分に400字詰め原稿用紙換算6枚強、
書き上げてメール。
mixiのトップページが7日に変わる、という予告があったが
朝になっても変わってないので、あれ、と思っていたのが
昼過ぎころにいきなり変わった。ふつう7日といったら7日の午前零時
から切り替わる、とかしないか。
……とはいえ、この前のデザイン変更でmixi退会しようかと
思ったくらい不便になっていたのが、今回はやや、満足できる
改善だったのでよかった。自分の日記リンクがプロフ写真のすぐ下に
なり、かつ更新履歴がまた見られるようになったのが改善点か。
地下鉄で新宿。東口らんぶるでNHKのYくんと打ち合わせ。
このあいだの『熱中夜話・ヒーローソング』の件。
明日のラジオでYくんがその番宣をやるんである。
残念なことに、構成上60年代の部分がカットされたとか。
「ささきいさおさんをクローズアップしたかったのと、
70年代でのトークがクロストークになっていて抜群に面白かった」
せいだというが、やはり惜しい。
これは別にイベントやります、と言ったらYくんも混ぜてください、と。
あと、別の番組のこといろいろ。
絶対オフレコという某件のことも聞く。いよいよか、という気持ちと
遅きに失した、という気持ち半々。しかし、なるほどそうきたか、
という思いもあり。
またまた別の件で、ちょっと褒められていい気分。
これからラジオ打ち合わせというYくんと別れて、紀伊國屋を
冷やかし、帰宅。サントクで買い物。
原稿三本目、朝日新聞出版『週刊昭和』、昭和46年号の、
『仮面ライダー』の項目を書く。
書けば一冊にもなろうかというものを僅々400字詰め3枚に
収めるというからには、切り口をどこに持って行くか、
が決め手になる。10年ほど前にも一回、仮面ライダーについて
似たような週刊百科の項目を担当したことがあり、
このときは平山亨と東映の関係を通して解説した。
今回は石森章太郎の面から切り込んでみる。
当然はみだすものを、あっちを切りこっちを削り、で
10時までかかって完成させ、フーと息をつく。
仕事仕事の連続だなあ、と思っていたら、思いがけないご褒美が
メールで来た。うれしくなる。
夜食、冷凍庫にもういつ入れたんだというような鶏肉とラムチョップ
があったので、それとソーセージでポトフ。ジャガイモ、人参、
ネギ、タマネギなどを入れてコンソメスープで煮るだけ。
味があっさりすぎるかな、と思ったので、醤油、おろしニンニク、
豆板醤、ゴマ油でつけだれを作ってつけて食べたら一気に
粗野な料理になってうまい。
DVDでユニバーサルレガシーボックス『狼男』。
1941年の、ユニバーサルの狼男映画としては第二弾だが
決定版になった一編。狼男の弱点が銀の弾丸という“定説”は
脚本家のカート・シオドマクの創作だが、この作品ではまだ
銃ではなく、銀の握りがついたステッキで殴り殺すという
乱暴な方法である。
狼男に変身したロン・チャニー・Jrが、爪先立ちで歩くのにも感心。
カカトを地面につけて歩く動物というのは人と、ある種のサルと熊
くらいで、後はみな爪先だけで歩いている。狼男に変身した主人公が
人間に戻るのを、爪先立ちの足跡が次第に人間の足跡に変化する
その様子で表したのは秀逸。この設定は後からは面倒くさいので
無くなってしまったようだが。
この映画を今の若いホラーファンに見せたら、たぶん
「狼男が弱くて(いきなり襲いかかれば人を殺せるが、武器を
持った相手にはまずかなわず、狼の罠に足をはさまれたり
ばかりしている)怖くない」
と感想を述べるのではないか。
この前作の『倫敦の人狼』もそうだったが、狼男映画というのは
基本的に、“怪物に変身する恐怖”を描くもので、
“凶悪な怪物が襲ってくる”映画ではないのである。