裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

月曜日

私たちのソドムものは

私たちの望むものは男のための女ではなく 私たちの望むものは男のための男なのだ
                        (岡林信康・歌)

※『ピンポン!』出演 『アキバアートフェス』打ち合せ 白夜原稿 『アストロ劇団ワールドエンド』稽古

朝、もっと早く目を覚まそうと思ったのに目が覚めたら7時半。
ダアである。
入浴し、8時半朝食にしてもらう。
柿、リンゴ等如例。
ジャガイモとタマネギのスープ。

それから、出かけるまでの30分でゆうべ(1時半)送った原稿の
残りをアゲられるかと思って書き出すが、やはり無理だった。
支度して9時半、迎えのハイヤーに。
TBS『ピンポン!』出演。
途中、渋谷の事務所に立寄ってもらう。
『アストロ劇団ワールドエンド』の宣伝をさせてもらえた場合の
ことを考えて、フライヤーを持っていこうという参段。

10分遅れで控室入り。
宮崎哲也さん、相変らず眠そうながら、
声は大きい。
坂出の祖母孫行方不明(ソボマゴというのは座りの悪い言い方だが
母子とか父子にあたる単語がない)につき、アレは言ってはダメ、
コレは言ってはダメという注意が入る。
実は……というような話も聞いてふーん、と。
そりゃ言えない。

迷宮入り(になりそうなもの含む)事件いろいろの話になり、
世田谷一家殺人事件の被害者と顔見知りだった、と言ったら宮崎さん、
「へー、そういう人に初めて会った」
「そういう人って滅多にいませんよ」
「そりゃそうだな」
とか。

で、本番、宮崎さん、席の後ろにコーヒーを忍ばせて、
半ば失神状態ながらカメラ向くと、大声で激高してみせたりする。
プロである。
服装も以前ディレクターの指示で、宮崎さんが地味系なので
並ぶときには明るめなのを、と言われるが私自身地味系の
スーツしか持っていない(いつぞやの台湾製のシャーベット・
グリーンのは例外中の例外)ので、ネクタイをイエローのもの
にしてアクセントをつける。

で、発言もアクセントを基調に、宮崎さんのストレートに対し
メタに話題をふる、という具合にする。
このコンビがいい組み合わせと思われているのはそれに
起因すると思う。ただし、坂出事件については
私もちょっとストレートに意見を言う。
後でスタッフに
「事件モノをカラサワさんに担当してもらうのは珍しいと
思うのですが、きちんと解説してくれたので驚きました」
と褒められ(?)た。

コメンテーター休息時間に、アストロのこと、オズオズと
言い出したら、いや、それは是非、と。福沢さん、
「えーっ、カラサワさん舞台に出るんですか、マジにですか?」
と盛大に驚かれる。
今日は自宅待機のオノにメール、ハッシーにそのこと言っておいて、
と伝える。オノはハッシーの命令で録画させられたようだ。

で、ラストの宣伝、
「ゴユウヨのあります方、いや、ゴヨウヨの、じゃない、ゴウヨ……」
とモヨって、スタジオ内大受け、安東アナが
「宣伝効果ばっちりですよ!」
とはしゃいでいた。

宮崎さんはこの頃毎回、終わるとすぐ大阪へ。
体力のほとんどをその移動で使い果たしている感じ。
東京・大阪かけもちの話、実は別件で私にもなくはないのだが、
やるものではないな、と心に決める。
プロデューサーから、では、また来週の水曜に、と言われて
エッと驚く。次は来月半ばだと思っていた。
オノから前後してのメールで、12月は2回出演になりました、と。
さらに追っかけでメール、しばらくごぶさたになっていた
某番組からも来年収録予定で依頼来ているとのこと。
来るときというのはどうしてこう集中するのやら。

寒さも今日は中休みの小春日和。
いい陽射しの中、渋谷に戻り、仕事場で着替え。
朝日新聞Kくんから電話、明後日の書評委員会のこと。
今日、そう言えば控室で宮崎さん、某K先生やT先生の
月旦を遠慮会釈無くしていたな、と思い出して苦笑す。
思い出したが『食通小説の記号学』書評、実は一ヶ所、
ちょっと剣呑な単語の差し替え依頼があったのだが、
私が“ここは差し替え要求あるかも”と予想していたのとは
まったく異なった箇所だったのは意外。

九州のしおやさんの遺品について、ぴんでんさんからメール。
なんとしおやさん、アニドウのFILM1/24のバックナンバーを
持っていたらしい。私が荻窪のアニドウに通っていたころの
ものである。驚いた。

2時、マンション下の喫茶『ベラミ』で、NHKエンタープライズ
と打ち合せ。12月のアキバアートフェスでのトーク打ち合せ
である。その前に更級ででも腹をつくろうと思って十分、早く
出たら今日は臨時休業。仕方なくベラミのポークジンジャー。

マンションを出るときすれ違った人が、私の顔を見て驚いた
ような表情になり、下を向いて“いいものを見た”ような表情に変わって
通り過ぎる。テレビでさっき見た顔に会った、という驚きと、
妙なお得感なんだろう。これにはいまだ慣れず。

トークライブ制作プロダクションのT氏、先に来て挨拶。
実はT氏のまこと正体はコミケで『高座の魂』を作っている人で
ある。“こういう形でお仕事一緒にさせていただくとは”と
ほぼ同時に口を切る。やがてあらわれたエンタープライズのA氏、
こないだの東洋館にも来ていたという落語マニアで、
談笑を司会にしてYouTubeの番組をBSでやっているとか。
今度のトークも、一緒に話すのが談之助だとか。
まるきりホーム感覚で出来るのでホッとする、というか、
落語で話が盛り上がり(最近の落語界の状況は、とか、
なんであの人は自分のニンに合わない話ばかりするのか、とか)
正味一時間の打ち合せ中、仕事の話は10分程度。
こういう人との仕事はうまくいく。
終わって帰るとき、ベラミのマスター夫婦にも
「TBSみました」
と言われる。
ここらへんの店はNHKしかテレビで映してないんじゃなかったっけ。

仕事場に戻り、4時まで原稿ひたすら。
何とか白夜の原稿、本文部分全部アゲて構成担当Uさんにメール。
ふう、と息をつく。
そしたらそれをまるで待ちかねていたかのようにD社、M社両社
から催促電話あり。

タクシーで新宿、中央線で荻窪、バスで清沓。
あぁルナティックシアター『アストロ劇団ワールドエンド』、
総稽古。今日がなんと稽古初参加。今回はなべかつさん、
稽古にしげく通っているそうで、劇団内では
「カラサワさんが稽古にみっちり参加している公演では
なべさんが来なくて、なべさんが稽古に通ってくる芝居では
カラサワさんが来ない。つながっているんじゃないか」(もやし・談)
とか話しているとか。

出番を減らしてくれていたので、台詞も二回目からはほぼ、入り、
問題なし。今回は、それがギャグになっている部分もあり、
逆においしいかも知れん、と思う。

WAHAHAの清水ひとみさん(初日ゲスト)も来て、
四方山話に花が咲く。楽日ゲストの久保広宣も来て、仕込んできた
ギャグにみんな爆笑。改めてコイツすげえな、と思う。
ハッシーに誘われて、清水さん、ブタカン早川さんと飲む。
今日のピンポン見たあゆちゃんから、
「全国放送で出ましたよ! いいんですか」
と電話がハッシーにあったとか。
好田タクトさん、某番組の出演をテリー佐々木と争った
中だと聞いて、世間のせまいのにまた一驚。

12時に出て、さて帰ろうと思ったら清水さんが
「もう一軒行きましょう!」
と言うので、酒飲みはしょうがないもの、ヨシ行こうと
次の店に入ったら、なんと若手たちが飲んでいた。
焼酎片手に、ナベちゃん(克巳の方ではなく、一哉の方。
それでも今回はシブヲさんがいないので、渡辺が一人少ない)
や圭介くん、岡っちなどと盛り上がる。

結局、帰ったのは2時。メールのみチェックして、
ベッドに潜り込む。
久しぶりの飲み方だった。
明日からはまた予定ギッシリ。
思うと憂鬱になるので考えないことにする。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa