裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

月曜日

アザラクおじさん

作者の古賀新一先生のこと。

※ゲラチェックいくつも 朝日書評 DVDデラックスコラム

朝9時起床。旅先の朝は早いことが多いので、
この時間まで寝られるのは嬉しい。
しかし、この歳になると寝られなくなるはずだが?

入浴して、9時20分朝食。
モンキーバナナと柿。
日記をつける。シューベルトの『ザ・グレート』を聞きつつ。
“グレート”という名は同じハ長調の交響楽がもうひとつある
(第6)ので、そっちを“小ハ長調”、こっち(第8)を
“大ハ長調”と呼んだに過ぎない、のだそうだが、何か聞いていると
確かに“グレート”の名にふさわしく聞こえる。

K子と打ち合わせ、某社が“簿記1級合格したら本を出しませんか”
と言っていたよ、と言うと
「日商1級の前に全経上級受かったら税理士試験受けられるんで、
日商1級には用がなくなるんだけど、そういう話なら仕方ない、
日商も受かってやるか」
と。この態度も“ザ・グレート”であるな。

オノから電話、TBSのオタクなテーマの特番から出演打診とか。
去年の暮れに撮ったような番組だろう。あまりそのテーマには
くわしくないので、保留。

中洲通信のインタビューゲラ、手を入れて帰す。
昼はかきあげ弁当。湿気らせないため蓋を開けっ放しにして
おいたので、いいにおいが部屋中に充満。
あふあふ食べる。美味この上なし。
電話、某社と某社。どちらも催促。今週末に、と答える。
地獄だなあ、これは。

同人誌原稿書き出すが時間切れで出かける。
バスで渋谷。ぼんやりと今後のスケジュール考えていて、
NHKセンター前で降りそびれかけて、あわてて飛び降りる。
事務所でチェック原稿いくつか。
『幽』チェック、『東京人』チェック。

朝日新聞書評原稿。800wなので、一気に読み下しが
出来るよう、書いたものをぶつぶつと音読しながら、
調子整えて書く。
8時過ぎ、完成させてメール。
書庫にもぐって、DVDデラックスのネタ本(雑誌)を探す。

8時半、バスで帰宅。満席。いつもは幡ヶ谷のあたりでみんな
降りてガラガラになるのだが、今日は終点近くまでみんな
乗っていた。車椅子の老人一人、NHK前で乗り込んでくる。
車椅子を固定させる仕掛けを、子供たちが興味深そうに
のぞき込んでいた。携帯でゲーム出来ることに何の不思議も
抱かない子も、車椅子固定の“メカニズム”には興味津々。

9時半、帰宅。夕食のシコミをしてから、DVDデラックス原稿
1600w書き出す。ネタは実に面白いものなので、この中から
原稿用紙4枚におさまるものを選択するのが難しい。
昭和43年の雑誌だが、そこに載っているコラムの中に引用されて
いる本に興味を持ち、ネット古書店で検索したらすぐ見つかった。
さっそく注文。何という便利な時代に生きていることか、と思う。
と、いうより、35年前の文章の中に出てきた本が、キー操作
いくつかですぐ見つかって買えてしまうというこの事実は、
人(古書マニア)の意識を確実に変化させると思う。

11時10分、完成させてK子と担当Kくんにメール。
ふう、と息をついて、仕込んでおいた煮物で酒。
塩釜港で買ったクジラのカワを繊に切って、これでダシをとった煮物。
具はセレベス芋、ハス、アワビタケ、はんぺん。
クジラのダシ濃厚にして、具に染み渡る。
ハス最も美味く、芋、アワビタケ、それに次ぐ。はんぺんは
クジラに合わないことがわかった。
しかし、何より細切りにしたカワ自体が美味しとも美味し。
噛むとじんわりと味が口中に広がる。

ビール、ホッピーと共にDVDでコロンボ『毒のある花』。
女性が犯人だとコロンボの追求がどうも執拗になり、逃げ場の
ないワナに追い込んでいくスタイルが顕著になるような気がする。
ビンセント・プライスがわざわざ出演しているのだが、どうも
しどころのない役でもったいない。むしろ、冒頭のシーンで
女性の顔にメスを立てるマーチソン博士の役の方が適役だと
思うのだが、それだとあまりにもあざといキャスティングに
なってしまうか。
http://jp.youtube.com/watch?v=NMmpPcW_3wc
↑この00:45からのシーン。

実際のマーチソン博士役のフレッド・ドレイパーは
70年代の俳優活動がほぼ、コロンボシリーズの、それもチョイ役だけ、
という変な役者である。たぶん、本業は他にあったのだろうと思う。
『5時30分の目撃者』のラストで雑誌を朗読する証人の役、
とかで出ているが、このマーチソン博士役が2番目に大きい役、か。
一番大きい役はネタバレになるのでここでは書けないが、
『×××××』の×××である。
まあ、コロンボでネタバレ禁止っていったらあの話しかないけど。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa