裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

月曜日

アッポー領土

呼び返そう、馬場の築いたアッポー領土

※『週刊現代』原稿 ヘアカット 『フィギュア王』原稿

『幕末・明治奇譚集』みたいな本を読む夢。
“犬、猫となりし譚”というタイトルで、
「太秦の××寺に飼われ居し斑の赤犬、此頃の政情不穏に
感応せしにや次第にその形状顔付猫の如くなりて昨今にては
毛並も三毛となり猫の大なるに見分けもつかずなりぬ。人間様とても
今日の佐幕が明日の勤王に豹変する折から犬が猫になるとて
不思議なからんと周辺の者噂せりとぞ」
などと、その文体まで記憶にはっきり残る。

9時起床。昨日に引き続き、形態をマナーモードのままにして
おいたので朝食のベルに気がつかず。17分、やっと連絡。
先に入浴を済ませる。

9時半、朝食。ミカンと小トースト一片。
小沢騒ぎをニュースで見ていろいろ考える。
どちらが先に持ちかけたか(あるいはナベツネか、森か)、
とかかまびすしいが、私はそれよりも、
“大連立”という大仰な単語がどっちから出たのか、という方に興味がわく。
これが、“自民・民主連立政権構想”とかいう言い方だったら、
小沢もフラつかなかったと思う。
“大”連立という、あたかも平成政権史に残りそうなコピーだったから
自分の健康状態や、万年野党状態に内心イラついている小沢一郎、
「これで一発逆転、自分も政治史の中で名を残せるか」
と、大勝負をかける気になったのではないか。
人は主義主張・思想では基本的に動かない。欲望で動く。
小沢の名誉欲を刺激すればあいつはグラつく、と画策したのは、
果たして誰か?

弁当受け取って自室に戻る。
某マイミクさんからメールの返事が来ているのにちょっと驚く。
そのメール、出した記憶がない。
ゆうべ、酔ってか、寝ぼけてか、就寝寸前に出した
ものらしい。もっとも、読んでみるに恥ずかしいこととか
支離滅裂なこととかはあまり書いてないのでちょっと安心。
と、いうか冷静に某件を分析していたりする。
生酔い本性違わず?
それとも普段から酔っ払いのタワゴトみたいなことしか言ってない?

日記つけるが、イベントが二つもある日の日記は
長くなる。私は基本的に日記は書きなぐりで、メモもとらない
主義だから、かなり主観的な記述になるが、日記とはそういうものだ。
途中で、よごれまくっているベランダの窓をブラシで洗う。
天気がいいうちにと。

ガスの配管などの点検。
坊主頭の、陽気な係員で、まるで落語の前座。
「三年に一度、点検が義務づけられているんですが、
点検のとき選んで壊れるってところも滅多にないんでヒマな仕事で」
とか言いながらあちこち見て回る。
「では、三年後にまたお会いしましょう」
と帰る。本当に前座がバイトでやっているんじゃないか。

昼は弁当、サバと卵焼き。卵焼きはうまいが、いい年をした
男がモソモソと食っているのを見られて格好のつく食い物
ではない。

3時ころまで家でモタモタし、急いで事務所へ出る。
バスで新宿、ちょっと用足しをしてさらにバスで渋谷。
コミケ当選通知来ていた。
講談社週刊現代原稿書き、メール。
さらにテレ朝出演用アンケート。
何をさせられるものか。

コミケ当選。オノといくつかスケジュール打ち合せして、
代官山エド・エドへ。水曜のテレビ収録のためのヘアカット。
こないだビッグ錠先生に浮浪者と思われた、という話、
S先生や女の子に大ウケ。

7時半、代官山の“SEIJOISHII Select”で買い物。
まあ、いかにも成城石井(高級輸入食品中心のハイソなスーパー)
の支店らしく、スカした品揃え。昔は東京住まいというのはこういう
店で買い物をすること、とイメージしていたが、実際に
暮してみるとこんな店、高級すぎて不便このうえない。

東横線で渋谷まで戻り、それからバスで新中野に戻る。
帰宅して、すぐ原稿。
『フィギュア王』、今回は実相寺昭雄監督一周忌記念号で、
コラム類を実相寺監督ゆかりのネタにしてほしいという注文。
それで雑学的な内容でなくてはいけない。
いろいろ考えて書き出す。6枚弱、書き上げてイラストのK子と
編集部にメールしたのが11時29分。31分差で何とか本日〆切
という責を果たしたか。

ふう、と息をついて夕食、というより夜食。
“SEIJOISHII Select”で買った焼き豆腐とコンニャク、それに
冷蔵庫の中に一個残っていた里芋を茹でて、これを切ってフライパンを
から焼きにして焼く。そこに田楽味噌、買ったものは水飴が
入っていて甘すぎるので(そもそもおしゃれな成城石井にゃ
田楽味噌なんぞ売ってない)、自家製。味噌と白みそを合わせ、
煮切った酒でゆるめ、砂糖、ごま油を加えてかき混ぜて好みの甘さに。
上に白ゴマをふりかける(あればシソの葉を刻んで混ぜてもいい)。
こないだ読んだ『本所七不思議捕物帳』で、登場人物たちが
石焼き田楽を食うシーンがあったので、急に食いたくなったもの。
これで茶碗酒。

メール書いたり、ネットで拾った写真を壁紙にしてみたり。
いろいろ雑用しながら、2時過ぎまで起きている。
明日は朝食が10時、という電話が代官山の駅で電車待っている
ときにあったし、宵っぱり。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa