裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

木曜日

長野で鯉、の記

朝7時起床。日記つけ、9時朝食。

いろいろと旅支度、10時家を出て新宿西口京王バスターミナル。ちょっと早く着いたので小田急で買い物し、バスターミナルへ。雨もよいの天気だったが、ここらあたりから晴れてきた。声ちゃんと落ち合う。

待合室前に談之助さんが人数チェック、ユキさん、開田さん夫妻、ミクシィ社会見学コミュのピロリ、さん。やがてIPPANさん。

今回はこのメンバーで長野伊賀良花火見学ツアー。久しぶりに平日のツアーなので参加者がやや少ないが、その分(というわけでもないが)高速などはすいていてスイスイと渋滞なく走り、気分がいい。

雑談いろいろで盛り上がっているうちに、4時になるやならずやという時点でもう、伊賀良に到着してしまう。いかに秋深まりゆく季節とはいえまだ日の高い中、おなじみの料理屋『見晴(みはらし)』へ。ここでの楽しみは鯉の塩焼き、そしてマツタケ。今年はマツタケが記録的不作という話であったが、どうしてどうして、立派な形のものが続々と。それに鯉の洗いがたっぷり。

これらの味の描写はもう何度も日記には書いた。
重複を避けるためにここでは詳しく書かない。
http://www.tobunken.com/olddiary/old2002_10.html
↑ここの5日の記述を参考にしてもらいたい。
とにかく今年も大当たりで、これさえあれば他に何もいらない! ・・・・・・と言いたいところだが、今回は他の料理もなかなか。

正直言ってもう6回は訪れていながらこれまで他の料理はほとんど記憶に残っていなかったのだが、今回は違った。田舎料理は素材が勝負、なわけだが、ここの料理は長野の豊富な山の幸、川の幸に、ひと手間かけて凝った料理にしている。

料理人が変わったのか、腕が上がったのか?柿の実をくりぬいて、中に柿なますとカッテージチーズを合わせたものを詰めたもの、とか、“吸い汁”と称する、冷やしたオクラとトマトのスープの上に刻んだトロロ芋を乗せたものとか。

いつもおしまいに出てほとんど手をつけないキノコすき焼きも、今日は日本酒がすすみ(ほとんど飲んでいるのは私だけ)おいしく食べたし、終盤に出てきた中華風のキノコスープが大変においしく清涼で、これで口中、腹中を洗えばまた一からコースが食べられるような気になる、そんな味だった。

色紙にサインを求められる。2度目である。ヒコク氏こと木下さんが迎えに来てくれて、そのバンに乗ってこの伊賀良での定宿である久米川ホテル。なんと門などが造られ、6年目にしていくばくかの(ささやかな)改装が行われていた。田中康夫知事来館! と写真がエレベーターの中などに貼られていたから(去年来たとき、私たちと入れ替わりという形で支持者ご一行とやってきたらしい)それ記念しての改装か、と思う。

夫婦ものは夫婦もので部屋を取り、声ちゃんは一人で、残り男三人で一部屋という暑苦しいことになる。原稿締め切り催促電話まだあるが、ここはモバイルが届かないので原稿、書いても送れないし、と自分で納得して(編集さんごめん)、花火々々。

身支度して出かける。開田さん夫妻も談之助さんもヘルメットを着用しているが、今年の花火は上清内路で、ここは観客は火を浴びることができない。

以前加藤礼次朗夫妻などと行った下殿岡村などは誰でもどうぞという感じで気負わせて(火花を浴びること)くれたものだが。開催場所でそれぞれ違うのである。

ヒコク氏が場所とりをしていてくれたのでそこに陣取る。酒を、長野名物おたぐり(馬のモツの味噌煮)などを肴にビールと酒。暗くなってくると、もう満点の星空。IPPANさんが感動していた。

この上清内路の花火は仕掛け花火。手作り感が他の村の花火に比して強く、仕掛けの失敗がよくある。うまくいけば十いくつの仕掛けがすべて連動して次から次へと火が移っていくのであるが、今回はほぼ、すべて失敗していた(いや、それも愛嬌だが)。打ち上げ花火はもう、すぐ頭の上、というあたりで炸裂。その振動と硝煙のにおい、あと頭上にパラパラ降ってくる紙製の花火玉の破片などが醍醐味。2時間強、たっぷり楽しませてもらって文句言うのは贅沢だが、やはり花火は見るだけでなく、自分たちもその中に飛び込んでみたいね。

たっぷりケム臭くなった体のまま、みなホテルへ戻る。風呂入り(ここの浴場は気に入っていたので改装されていないよう祈っていたが無事だった)、部屋でまたビール、見晴の五平餅などつまみながら1時過ぎまでワイワイ。

ああ、最近忙しすぎてこういうことしていなかったなあ。それにしても、今日は元気に酒もこの一座の中で一番飲み、ものも喰うことである。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa