知らない人がいきなり“トイレを貸してくれ”と上がり込んで。朝６時半起床、入浴して朝食。ラ・フランス一切れ、バナナ半本、カボチャ一片、冷ポタカップ半杯。いろんな種類のものをごく少量づつ摂ることで満足感を得ようという魂胆。８時１５分のバスに乗り込む。車中ではいろいろメモ。アイデアとかが浮かぶのも、昨日のことを思い出して日記メモがつけられるのも、バス車中が一番なのだが、欠点は揺れる ので、あとでメモ帳の文字の判読が難しいこと。

　今日は出仕事多々。メール類に返信するくらいで午前中つぶれる。『漢字天国』の新担当さんからメールで、あの雑誌、編集部門が移動したことに合わせ、刊行サイクルが月刊から隔月になるという。昼は早めに、オニギリ一個。シャケ昆布。それに納豆。納豆を毎日とっているせいか、それと朝の酒粕ドリンクの相乗効果か、便通極めてよし。１２時、東武ホテルで待ち合わせ、そこから時間割に移行して、『週刊プレイボーイ』インタビューを受ける。編集のＭさんはミクシィで私の名前を見つけたので、今度マイミク登録お願いします、とか。凄いものである、ミクシィ普及率。

　このインタビューは竹書房からの新刊『怪奇トリビア』の紹介。取り上げてくれるだけで有り難いが、ああいうマニアックというよりは好き者オタク的な本の主張に、全面的に賛同してくれるというのは、むしろ驚き。要するに私が常々言っている、娯楽、ことに性と恐怖に関する娯楽は人間の根元的情動、言い換えれば進化していない原始的情動に訴えかけるもの故に、決して高級なものになってはいけない、質が向上してはいけない一面を持っている、というもの。聞くといま、ＰＢ編集部でも“原点に帰る”が編集テーマとして議題に上がっているところからの、この本の紹介であるらしい。一通り話した末に、ちょっと次の企画の話も上がる。『漢字天国』が一ト月おきになるのは寂しいな、と思っていたのだが、寂しいどころではなくなるかも。

『煙草と塩の博物館』脇で写真撮影して帰宅、日テレから電話、日テレの番組出演がいま二つダブりで来ているので、最初ちょっと話がまごつく。打ち合わせ日程などの件。それで数回電話やりとりしていたら、もう次の打ち合わせ時間。あわてて家を出て、また時間割。河出書房Ｓくん。今日は予定している本で取り上げるブツのリストを渡すだけの用事だったので、ほとんど雑談になる。……で、その雑談でちょっと、本格的な人物論のようなものをしゃべったら、Ｓくん、途中からメモ取り始める。そうするとこちらもノッて次々にしゃべる。一通り話し終えた後でＳくん、メモを眺めながら、
「……どうです、これ、この本（いま進行しているやつ）より先に一冊、語り下ろし で出しませんか？」
　と。スケジュール合わせで行けば……とこっちも身を乗り出す。いや、私にとっては最初の本もこの本も、どちらも意欲に大差はないのだが、企画というものは、基本的に、こういうノリを大事にすべきなのだ。苦労して動かぬものを動かそうとしても滅多に動いてくれないが、いったん動き出すものは、エ、こんな簡単に？　とこちら で呆れるくらい安直に出来上がってしまう、そういうものなのである。

　また仕事場に帰る。雑用いくつか済まし、また時間割。なにか自分が機械仕掛けの人形みたいに思える。村崎百郎氏との社会派くん対談。鬼畜な事件はいろいろと多いのだが、地震と台風で覆い隠されてしまっている感。天災相手に毒づけもしないし。しかし、いい味の対話にはなった。途中で周囲の客が数人帰っていったが、あれはわれわれの鬼畜ばなしを聞くのに堪えられなかったとかいうのだろうか。いつ、ここの喫茶店から“いいかげんにせえよ、営業妨害だ”と言われるか、ドキドキである。

　結局、一番盛り上がったのが、ネットでの『デビルマン』祭りが凄い、という件。明日、観に行く予定なので、それの感想もオマケで付け加えましょうか、と担当Ｋ田さんと話す。あと、年末（か年始）発行の『社会派くんがゆく！』新刊のゲラも渡される。年中行事になりつつある。今年はあまりにサイトに載せた原稿量が多かったので、全部掲載して上下巻で出そうという話もあったのだが、営業の方からさすがにストップがかかり、またどこをカットするかなどという作業で手間がかかることになった。ファンは“全部読みたいから上下巻で出せ”とアスペクトにお手紙を出そう。

　終わってまた仕事場へ。さすがに草臥れ果てて、これ以上は何も出来ず。アヴェ・プレヴォー『マノン・レスコー』など読んで過ごす。８時、タクシーで帰宅。今日は恒例、あのつくんからの仙台野菜の会。Ｓ山、Ｓ井、Ｉ矢、植木のメンバー。大豆になる直前のエダマメ（甘い甘い）から始まって、セロリとハムの春巻、カリフラワーとシメジダケのフライ、サトイモとタケノコの筑前煮、聖護院蕪と鯛の煮物、豚角煮とブロッコリ、野菜ピザ、そしてメインディッシュがドライカレー。いずれも美味、最近おにぎりダイエットがあまり効果ないのは、いくら朝昼を減らしても夜にその分 をとってしまうからではないか。

　話題ウンヌン。Ｉ矢くん、“一時、ネットでは声ちゃんはカラサワシュンイチの愛人だ、という説がかなり長期に流れていた”と教えてくれる。愛人たって、声ちゃんとはほとんどトンデモ本大賞の司会でしか接点がない。それだけで愛人になるのか、と言うとＫ子が“じゃ、今の愛人はおぐりゆかね”と、凄いことをツラリという。女房の言うセリフではない。全員がまた、それを凍りつきもせずに聞いてゲラゲラ笑っているという構図は一体なんだ。信用がありすぎるというのもつまらんもんです。