25日
土曜日
コメンテーター
朝薬局新聞一本。BOOKTVのコメンテーターで天王洲アイルのスタジオに一時入りのスケジュール。案外ドタバタして、昼飯食う時間を見損ね、駅で5分でトン天(豚の天ぷら)定食を書き込み、15分遅れでスタジオ入り。
今日から司会の女の子、新しい子(3代目)になった。しかも今日が初出演とのこと。声はいいしトチリも少ない子なのだが、異常に緊張していて、なんべんも原稿に書き込みし、カチカチになっている。スタッフがみんな
「唐沢さんがコメンテーターだから、大丈夫だからね」
とハゲマシている。なんか、もうこの番組では私ゃ大ベテラン。ベテランらしさを見せようと、いつもよりラフにしゃべる。こっちの方が私らしくていい感じ。
スタッフが言っていたけど、せっかくコメンテーターとして呼んでも、全くしゃべらぬ人がいるんだとか。しゃべるのが苦手だというなら、何のために引き受けたのか。
サクサク進み、スタッフが“久しぶりに土曜らしく半ドンだ”と喜ぶ。言ったのがカメラクルーの20代の若い子だったのがうれしかった。彼は語源は知らないだろうけど、半ドンという言葉が残っているのはいい。
夜、メシ食いながらビデオで蜷川幸雄の『王女メディア』。新宿花園公園で屋外演劇として演じられたもの。辻村ジュサブローデザインの異様な衣装とメイク、平幹二郎の女形(!)演技、三上寛の歌を主題歌にし、語りを津軽三味線が担当するといういつものケレンの蜷川風演出、どれもイクところまでイッちゃって、濃すぎてどうかと思ったのだが、ギリシア悲劇の荘重さはその濃い外側の化粧を通してもちゃんと伝わってきて、最後までじっくり堪能することが出来た。金田龍之介や、私の好きな悪役俳優菅野菜保之も出ているし。しかし、母による子殺しというテーマ、現実がすでにギリシア悲劇を追い抜いてしまっている。
ビデオの最後にちょっと出てきたギリシア文化省大臣のメルナ・メルクーリ、あの『日曜はダメよ』の主演女優が、クラウス・キンスキーみたいな、怪奇映画のメイクみたいな婆さんになっていたのに仰天した。エーゲ海あたりの女性は老けるとこうなるのか。