20日
月曜日
料理日記・7『スペアリブのバルサルミコ煮』
煮込み料理がなぜ楽しいかというと、途中で何度も鍋をのぞいて
その料理の進行具合を確認できるからである。
鍋の蓋をとると味が落ちるからとってはいけない、という
人がいるが、冗談じゃない。そんなことでは料理を作る楽しみの
半分が奪われるようなものである。
私は、米を炊くのもガラス製の鍋でやるのを好む。
炊き具合が外から観察できるからである。
このバルサルミコ煮も、1時間半ほど時間をかけて煮ている
間に、肉が柔らかくなり、一緒に煮ている野菜類が次第に形をなくして
いく様子が如実に観察でき、それと同時に心が浮き立ってくるのが、
ネット用語で言えばwktkという感じで体感できる。料理するものの
特権の快感であろう。
鍋に湯をわかし、豚スペアリブを15分ほど茹でこぼす。
肉に付着したアクなどを水洗いし、新たに水・酒を鍋にわかして、
スペアリブ、ショウガ一片、リンゴ一片のみじん切り、青ネギみじん切り、
醤油、みりん、そしてバルサルミコ酢を注ぐ。
あとは蓋をして、1時間半ぐつぐつ煮込むだけ。いや、ときどきのぞいて
みるだけ(笑)。私はバルサルミコだけだとマイルドすぎるので、少し
穀物酢を混ぜるが、これは好みでよろしい。黒酢でやっても結構である。
例によって、酒のつまみにするときは1時間ほど煮たあたりで骨を箸で
外して食べやすくし、ディナーのご馳走にするときは骨ごと供して
かぶりつくようにする。
肉を皿にとってから、残り汁をさらにちょっと煮詰め、肉の上に
かけて供する。ネギやリンゴは1時間半も煮詰めるとすっかり原型を
滅してソースと化すが、ショウガだけは煮とけないので取り出しておかねば
ならぬ。毎回、可愛げのない奴め、という感じがして仕方ない。