20日
月曜日
料理日記・6『牛肉の旨煮かけご飯チャーリーハウス風』
食通で有名な伊丹十三が絶賛した渋谷の中華料理店、チャーリーハウス
が閉店して、はや数年。
今や幻となった『チャーリーハウス』の、中でもさらに幻の
メニュー(BSE騒動のとき他の物に代わり、閉店するまでついに
復活しなかった)を再現すべく頑張っているのだが、なかなかあの域には
達しない。まあ、それでもちょいとイケるレベルまでにはなってきました。
タマネギ、ショウガ、リンゴを小片に切って、ごま油で炒める。
焼肉用の牛ロース肉もそこに投入、色が変わるまで炒める。
水と酒を注ぎ、中華スープの素、オイスターソース、胡椒、醤油少々を足す。
好みで砂糖またはみりんだが、私はリンゴを入れて煮て甘みを出す。これは
私オリジナル。リンゴがなければリンゴジュース(100%の)でもいいかも。
20分ほど煮る。煮詰まってとろりとしてきたら、さらに片栗粉を入れて
とろりとさせる。
ご飯を皿に盛る。真ん中にくぼみを作っておく。上から旨煮をかけるが、
真ん中にはあまり入れないようにする。
その、くぼみのところに生卵を割って落とす。
チャーリーハウスは香港料理の店ということだったが、中国に生卵を食する
習慣はないので、このやり方は日本オリジナルだろう。が、私はこれを以て
この料理の主眼とする。牛丼に卵をかけるところから発想したのだろうか?
卵はあまり掻き混ぜず、スプーンでくずして、白身のところ、黄身のところ、
混じったところと、それぞれの味と食感の違いを楽しむがよい。
本家チャーリーハウスではこの上にグリンピースが数粒、乗るが家庭では
省略。本家のはもう、最初の二〜三口の間は周囲の音がいっさい聞こえなく
なるほどうまかったなあ。
この旨煮かけご飯定食は月曜日のランチであった。夜、酒を飲みに入って、
定食がまだ残っていると聞いたときの嬉しさ!
チャーリーハウスも新楽飯店も時間割もレストランハチローもない渋谷は、
私にとり、もはや渋谷ではないのであります。