東文研日記

唐沢俊一の“今”がわかる! オノマネの裏モノ日記ウラ日記

15日

月曜日

東文研・本日のおやつ@赤坂・青野

緑色じゃない「うぐいすもち」と
これも季節もんですね、「花びらもち」。

ことの始まりは先週の金曜日。
ラジオ収録後、事務所まで戻るタクシーの車中。

「あ、あそこのうぐいすもちが旨いんだよ」

とボスが。
あわてて見ると、飲食店や商店が途切れたあたりにぽつりと
歴史のありそうな菓子舗が。その名も青野。
乃木神社の近くでした(たぶん)。
車でしか通ったことがないので、どのくらい地下鉄駅から
離れているかはわからなかったものの、「なんか遠そう」と
いうことだけはわかる(笑)。

”旨いんだよ”発言の後、きなこ本来の味がする、「豆!」と
いう感じのうぐいすもちだ、と説明してくれたのですが、

「センセー、そんな美味しそうな解説してくれても、あんな
とこどうやってたどりつくんですか。田舎モンのオデには
無理です」
と泣くしか。

そうしたらですね!
月曜日の今日、打合せの帰りに買ってきてくれたのです!
この日はバーバラさんは出ていなかったので2人しかいない
のに、うぐいす、花びら各5ヶずつ! 1人5ヶあて(笑)!
なんたるオトナ買いか!
まあ、ひとつふたつ買うのは恥ずかしい、というのはあります
けれども。

さっそくいそいそとお茶を淹れ、上首尾に終わった打合せの
もようなど聞きつつ、ありがたくいただいたのでした。

もー、お上品で旨いっ。(語彙が少なくてすみません)
ぎゅうひ、白玉、もち、生麩、すあまなどなど、もっちり
したものが何より好きなワタクシ、感動です。
たっぷりかかったきなこを、出来る限り落とさずに食べようと
しゃかりきになりつつ、はむっ、とすると、みょ〜ん、と
伸びるんですわ! 最初はあんこの甘さや餅部に気をとられ
ますが、我に返ると鼻先に香ってくるお豆さんのい〜い香り!
確かに、「豆の味がきちんとするきなこ」でございました。

もうひとつの花びら餅。和菓子といえば桜餅(道明寺)と
大福しか食べたことの無かった、老舗和菓子舗不毛地帯出身の
オノマネ、花びら餅はこちらへ来てから初めて味わったものの
うちのひとつ。
今シーズンは、既に「吉祥寺 虎屋」の花びら餅を食べています。

いきおい、その味と比べることになるのですが。
花びら餅というのは、ぎゅうひのような生地に、味噌餡と牛蒡
がくるまっている、というお菓子なので(田舎モンのワタクシ
には「菓子に牛蒡」というだけで衝撃的)、牛蒡の扱い方にその
店の個性が表れるのではないか、と思うのです。

虎屋のも、他のこれまで食べたものも、できるだけ「牛蒡を菓子
に近づける」工夫がしてありました。
なんというか、悪くいうと牛蒡の個性を消す方向っていうか。
ところがっ!
青野のは、「牛蒡が牛蒡の味」なのですな。
ほんのり甘いけど、牛蒡の味はきちんと主張してるの。
なのに、きちんとお菓子として成立しているという…。
餡に秘密があるのかな〜。

それにしても、「舌に経験値を積ませる」というのは大事だと
思うなぁ。東京に出て来たことで未経験、未知の味をたっくさん
味わいましたよ。北海道は味の大地、といわれるし、ひとつひとつ
の素材の味は、そりゃー東京で食うよりは美味しいんですよ。
でも、やっぱ「他人のふんどしで相撲を取る」歴史が長い東京
って土地は、侮れないんですよね〜〜〜。
「餡と牛蒡」って、思いつかないよ、自分には。
素材重視で煮るだけ、焼くだけ、炒めるだけ、あるいは生で、
だった舌の経験値が、東京来てぐが〜んと上がりましたね〜。
まあ、今は輸送手段も整ったし、北海道も大分変わったと思い
ますが。なんせ出てきてから干支一回りだし。

地味に驚いたことを思いつくままに羅列。
雑煮や煮物に入れるイモは里芋が主流だとか、コンビニのあんまん
はこしあんのみ(北海道はほぼ100%つぶあん)、だとか、「豚
汁」は「ぶたじる」ではなく「とんじる」と読む、だとか。
薬味の豊富さ、というのもまた新鮮でしたねえ。
あ、「葬式まんじゅう」ってワードが通じないとか(笑)。
通じても、想像してるものが違うということもあった。

自分の育った味が一番、というのは私もそう思うのだけど、
違う地平線(というか常識というか)もあるのだと理解する、
知ることは、ものすごく自分のためになったと思います。

何を言いたいかわからなくなってきたぞ。
「餡に牛蒡」ってだけでこんなに語らなくても>オレ

てなわけで、ウチのセンセーは優しいなあ、誰か愛人になって
あげてください、という日記でした。
「ちょっと性悪」くらいがご希望です(笑)。

2007年1月
SMTWTFS
123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031
<<prev next>>

東文研日記バックナンバー

2006年

2007年

Copyright 2006 Shunichi Karasawa