5日
土曜日
カリエスの赤ちゃんなぜ泣くの
そりゃカリエスなら泣くよな。昨日、寝たのが早かったので、明け方前に目を覚ますかな、と思っていたが、6時までグッスリと眠ってしまった。体が疲れているのかも知れない。ここ数日は自分でも満足するくらいの快調だったのだが。7時半、毎度定時に朝食。共働きで通勤していた両親の家らしい。黒豆とスナックエンドウのサラ ダ、カボチャの濃厚なスープ、スイカ。
20分のバスで通勤。土曜なので弁当ナシ。そうなると、さて何を食べようかと、いろいろ迷う。仕事場に着いてまず、昨日の座談会のテープを確認。これで録音されていない、などということになったら与太郎である。ちゃんと録音されていた。あと と学会MLでパンフレット等に関しての質問に答える。
12時、家を出て半蔵門線で神保町へ。もちろん目的は古書展だが、腹が減ってはと思い、まず白山通りの“いもや”で天丼を食べる。学生の5人連れという五月蠅い連中が前に並んでいた。“今の彼女とうまく行っていないので別れたい”という一人の相談に、他の奴が“それなら××山行くといいよ。あそこの神社はご神体が女神なんで、カップルで行くと神様が嫉妬して、別れるんだって言うから”などと、若者とも思えぬ会話をしている。しかも、他の会話を聞くでもなく聞いていると、工学科の学生でコンピューターの研究とかをしているらしい。コンピューターと、彼女と別れる神社の御利益(と、言うのも変だが)の話が何の違和感もなく一人の頭脳のうちに 同居しているのが何かいい感じである。
今日のいもやは、何故か女性の二人連れが多い。どこかの女性雑誌に紹介されたのかも知れぬ。女性が天丼食べてもそりゃ全くかまわないが、この類の二人連れは、食べながらぺちゃぺちゃとしゃべってばかりで、さっぱり箸が進まないのが困る。行列している方は、次はどこが空くのか、と、目を皿のようにしているのである。こういう店には一人で入って黙って座り、注文の品が来たらザッザッと掻き込んで、“ごッそうさん、うまかった”とだけ言って代金ポイと支払い、サッと出ていくのが定法な のである。それが出来ないヤツは入ってくるな、と言いたい。
食べ終わってから改めて神保町古書会館、城南古書会。この会らしく雑本多く、それほどオオ、という品はないが、適度にいい本が適度に安いのが嬉しい。今回、一番高い買い物だったのは昭和8年『令女界』付録『新描写辞典』5000円。出て、先週トークをやった三省堂書店で月刊少年ジャンプを買い、みずしな孝之『うわの空注意報』を読む。マンガの中でのうわの空メンバー初登場は(本人を除くと)なんと牧沙織。これは意外。もっとも、マンガ家仲間だった彼女に誘われて、彼女の初出場であるうわの空の公演『ハッピーバースデー』を観に行ったのがみずしなさんのうわの空に入るキッカケだったというのだからムリもない。立川流が『風とマンダラ』で世間に名を知られたように、うわの空もこの作品で認知度を上げてもらいたいものであるが、しかし、ファンタジー漫画ばかりのこの月刊ジャンプでこういう作品、どういう読者が読むのだろうか? 読んで一人でもうわの空の公演に来てくれる人が出てく れば万歳なのだが。
それにしても、私などいくらうわの空が好きでも外野応援団しか出来ずにもどかしく思っているのに(こないだチラシ折りが手伝えただけで本当にうれしかったのである)、いきなりそこの役者になって、同じ舞台に立ててしまうみずしな孝之が本当にうらやましい。うらやましすぎて憎らしい。まあ、立つくらいなら許すが、これで女優に手でも出したら殺してやりたい。いや、男優にでもだ。いかに宮垣雄樹がモチ肌であろうと……(想像したら気味が悪くなったのでやめる)。
地下鉄で帰宅、みずしなさんがやるならオレだって、と、島優子さんとの朗読会の算段を立てる。島さんは朗読を前からやりたかったそうで、この申し出を喜んでくれているようだ。ロフトではすでに、村木座長とのトークを企画しているので、別クチでちょっとアテを探す。他のメンバーともいろいろやりたいなあ。……趣味はそれとして、仕事にかかる。FRIDAYの四コマ原作三本、編集部からのお題で仕立ててメール。それはまあ、何とか出来たが、それに添える600文字コラムを書き出したあたりで、背中が板のようになり、肩がゴム球のようになり、頭がおぼろ豆腐のようになって、モニターの前でパタッとオチそうになる。400字までナントカ書いて、残り200字がどうしても書けず、仕方なく自分のアドレスにメールして(後で自宅で続きが書けるように)、新宿に出、サウナに飛び込む。
サウナでは私は、いつもほぼ45分(25分+10分+10分の三セット)で汗を絞る。これで体重一キロ分の水を絞って、水代謝を活発にさせる。その時間を、膝のタオルの上に落ちる顔からの汗の滴の数でだいたい計る。1000滴落ちるのに20分、500滴で10分なのだが、今回はそれに一時間以上かかった。よほど体の代謝力が落ちているな、と感じる。マッサージの先生、弁慶の泣き所あたりを揉んでくれて“どうですか?”と訊く。ピリピリ痺れるように痛むのでそう言うと、これは胃の 荒れている証拠だ、と言う。胃なのか?
揉み終わって、新中野へ。今日はと学会の例会のためにK城さんが宇都宮から上京しているので、S井、S山の二人と歓迎でわが家での食事会。趣味人のK城さんは、母の料理のレシピをいろいろ質問していた。アスパラとハムの炒めもの、フィッシュフライ春巻風、ローストビーフマッシュポテト添え、それと中華風ソーメン、最後に釜飯。釜飯はK子のリクエストで、蒸らさず、熱いうちに茶碗に盛る。ホンの少し芯が残った方が釜飯らしい、というわけ。パイデザ平塚くんから、大会パンフのゲラを今夜持っていく、というメールがあったが、どうも夜中になるらしい。郵便受けに入れておいてもらうように頼む。