裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

月曜日

(無題)

朝7時起床。入浴、ミクシィ。8時朝食。青汁、ミカン、バナナ。食事終わったあと、まだ妙に眠たく、30分ほど二度寝。おかげでクリーニングの日だったが出し忘れ。11時出勤、快晴で暖かい。

FRIDAYコラム執筆。下世話な話題にちょっと“へぇ”を混ぜて、ほのかに知的な話題へと変換することに成功、したつもり(自分では)。昼食はオニギリ(シャケ)、黒豆納豆(あずま食品)、カップ味噌汁。出したつもりで送られていなかった『隣人13号』のコメント急いで再送。それから、今日の週プレ対談のネタ打ち出し。毎回、新聞・ネットで拾ったバカニュースを私とおぐりゆかとで紹介(&ツッコミ)、みずしな孝之にイラストを描いてもらうという趣向の連載。

2時半、渋谷を出て代官山へ。スカしたビルのあいま々々に、昔まだここらがなんの変哲もない住宅街だった頃のなごりの、物干し台のある家などが残っていて、これが独特の雰囲気。おぐりと待ち合わせ、近くのいかにも代官山ぽいスカしたカフェテリアでネタのチェック。店のおばさんが
「すいません、お客さん立て込んできたんで、テーブル二つ使ってらっしゃるの、一つ分けていただけます? 本当にすいません」
と言ってくる。このおばさんがまず代官山ぽくない、赤羽の喫茶店あたりにいるおばちゃんなんで、腹も立たない。たぶん、さっきみた物干し台のあるような家のおばちゃんのアルバイトなんだろう。

それから菅原先生のエド・エドに行き、撮影用に髪をセットしてもらい、神保町へ地下鉄乗り継いで。岩波ホールの前でみずしなさんと落ち合い、集英社へ。相変わらずセキュリティきびしい。
「宅八郎のせいです」と編集Mくん。
Nさんはじめ、編集部の人たちと挨拶、思えば週プレはこれまで何度も連載の話があってはツブれていたところ。台割を打ち合わせ、それから別館の会議室で撮影、さらにネタ前にして対談。第一回でまだ形をつかめていないが、おぐりとのやりとりに、まとめてくれるライターさんがときおり吹き出していた。いいコラボが出来るように環境を整えていこう。

それからMくんとみずしな、おぐりで近くのうまいという焼肉屋。今日のネタで一番話題になったものの一つに、
「新年会でセクハラを上司に注意され、ビビンバの石鍋で二回殴って負傷させた男」
というのがあり、果たして石鍋というのはそう簡単につかんで人を殴れるものか、実際に試して(殴るのではなく、つかんで持ち上げられるか)みようということで。その実験用石鍋にヒビが入っているので
「これがその凶器か?」
とか大ウケ。

その店で、打ち合わせしている関西弁の人あり、みずしなさんがさすがに一目で
「マンガの打ち合わせぽいですね!」
と言うとMくん曰く
「『ワンピース』のもと担当ですよ」
と。同期なんだそうだ。もっとも打ち合わせているのはこれから売り出そうとしている新人さん。ああ、それでも焼肉おごってもらった経験なんか、私の新人時代にはなかったなあ。

その編集Aさん、こっちにいるのがみずしなさんとわかってちょっと興奮気味。あとは身内で今後の打ち合わせしようと二件目に移動を誘ったら、後から追いかけるようにしてやってきた。みずしなさん相手に、酔いもあるのだろうが熱弁ふるう。やはりいま天下を取ってるという意識のある人は多少テンションが通常ではないな、と観察。

おぐりと“あれだね、誰かに似ていると思ったら立川キウイに似ているねえ”“あ、あたしもそう思ってました”と。
「カラサワさんは批評家ですか。どうですか、最近のマンガ批評というのは。ボクはあんな役に立たないものが批評とか言っていてはいかんと思うんですがねえ」
と気炎をあげるので、
「それは今度、シラフのときに話しましょうよ」
と苦笑しつつ遮る。

そこで11時半、Mくんにごちそうさまと挨拶、神保町の駅まで歩く間を利用して、今後のこと少し話す。おぐりとは九段下まで、みずしなさんとは赤坂見附まで。
丸の内線で新中野、少しメールチェック。明日は『アニメ夜話』収録だが、何時入りだか、確認連絡ないのでよくわからん。

一時半ころ就寝。いま日本で一番か二番に売れているマンガの編集者が、酔言とはいえ
「マンガ批評なんてものはナンの役にも立たぬ」
と考えているという事実を、ベッドでもう一度反復してみる。結論自体は私の考えとまったく一致しているわけだが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa