子どものころからの大好物にレバーペーストがある。
アオハタのものが小学校の頃は定番だったが、
これは入院・手術を繰り返し血を多く失ったわが子の
ために、親が積極的に食べさせてくれていたものらしい。

最近は母の手づくりチキンレバーペーストが家に訪ねてくる
役者さんやスタッフに大好評だが、しかしいくらおいしくても
やはりレバーペーストは作成段階の加熱で味がかなり変化
してしまう。新鮮なレバーが手に入ったら、出来るだけ
その新鮮さを味覚にして楽しみたいのが人情だろう。
かといって、生はやはり専門店でないとちょっと危険だ。
そこで、火の通し方がレバー料理の場合、まさしくキモとなる。

精肉店で鶏レバーを買い求めて来たら、少なくとも翌日までには
消費したい。私が定番にしているのは、朝食に食べるチキンレバー
のサンドイッチだ。

フライパンに火を入れる前に、レバーを乗せて、しかるのち、
極々の弱火で熱する。一分くらいたってやっと、ジュウジュウ
と音がしてくるくらいがいい。一〜二分でレバーの半ばくらい
まで色が変わったら、ひっくり返して一分くらい。くれぐれも
火を通し過ぎないように。キッチンボードの上にとって包丁を
入れると、中にちゃんと熱が通っていながら固まっておらず、
トロリと中身がとろけでるくらいの柔らかさがベストである。
これは何度も試して、自分なりのコツをつかんでほしい。

これに塩胡椒する。私は好みでシーズンオールをふる。

で、トーストしたパンにバターを塗って（匂いが気にならな
ければガーリックバターがおいしい）、カットしたこのレバー
を並べ、はさんで供す。

かぶりついたときの、このトロリとしたレバーの味は、まさに
栄養がそのまま舌に染み込んでいく状態を実感させてくれる
だろう。

タマネギやレタスなどの野菜を一緒にはさむ人もいるようだが、
私はチキンレバーの風味を純粋に味わいたいのでこれオンリー
にしている。栄養価の面を考える人は、トマトジュースなどと
一緒に摂るとベストマッチになる。