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2013年4月26日投稿

つぶやき日記4月21日〜24日

4月
21日(日)ウィーを向いて歩こう

「いつかはスタン・ハンセンのような偉大なレスラーになるんだ」(レスラー志願者)

4時半起床、551蓬莱の豚まんと缶コーヒーで朝食代わり。シャワー浴びて荷造りする。思ったほどつらくないのは老人性早起きのおかげ?

外は雨降りしぶく荒天。タクシーで雨中をついて羽田まで。昨日、羽田〜中野コースのタクシーの中では、ラジオから子門真人の『スター・ウォーズ』が流れており、何か、雨の夜に奇妙な取り合わせだった。

6時45分、羽田でアンドナウの会Tくん、氷川竜介さんと落ちあい、飛行機へ。男三人、四国・松山の特撮博物館見学へ。上野でやっていたときは、あまりの評判に、人ごみの中でえんえん並ぶのに嫌気がさして、遠慮していた。とはいえ、内容が充実していることは聞いていたのでモヤモヤしていたときにこの旅行の誘いを受けて、ちょうど公演終ってヒマになる時期だし、と参加表明した。まさか、その前後にテレビ収録が入るとは。

飛行機の中は塩野七生『カエサル戦記』でつぶし、四国に9時半着。人生二度目(ただし最初は講演で、日帰り)の松山である。見ると、前回来たときはなかった『坂の上の雲』のポスター、グッズ、菓子などがたくさん。なるほど、これはいいご当地名物が出来たわけだ。松山は少し風が強いがピーカンの好天。東京は雨、さらには雪の地方もあるそうな。ニッポン、広いアルよという感じ(なぜアルよ、なのかわからんが)。

空港のすぐ近くに藤村石油なる会社のコンビナートがある。いかにも昭和らしいというか、いい感じに古びたコンビナートで、三人口を揃えて「ミニチュアみたいだ」。また、特徴的な雲が出ていたのを見て「ホリゾントみたいだ」と。特撮博物館を見学するというテンションが、周囲を全て特撮に見せる。三人、写真をバチバチ。やはりコンビナートを撮っていた女の子たちもいた。

そこからバスでホテルへ。まだチェックイン時間でないので荷物のみ預け、特撮博物館会場の県美術館へ。途中で『懐かしの怪獣映画ポスター展』というのがあるのでこれにも入ってみる。松山で飲食店を経営するマニアのコレクション展示で、26日までがメジャー篇でゴジラ、ガメラ等中心。5月の9日からマニアック篇になるとのこと。マニアックなものにはどんなものがあるのか気になる。

で、特撮博物館。まだ時間が早かったからでもあろうが、東京では考えられないゆったりとした空間で展示物を眺められる。氷川さんに聞いたところでは、今後の展示では、たとえ大都市であろうとも、展示場の関係で縮小されたものになるであろうとのこと。今回間に合ってよかったと思う。『巨神兵東京に現る』も、メイキング共に見る。終末感ただよう滅亡の話と、メイキングの楽しげな雰囲気の落差にちょっと笑ってしまう。メカゴジラ2のぬいぐるみ(スーツという言い方よりここはやはりぬいぐるみ)、迫力あり。

三時間ほど見回って、会場隣にあるレストラン&喫茶でカツカレー。ちょっと寂しい味だが、まあこれはこれでよし。松山城に登ろうか、という話も出たが、まずはホテル出休もうということになって、歩いて(歩ける距離なのである)ホテルに戻り、朝早かったこともあり、男三人ベッド並べて昼寝。

ホテルのガイドブックから私が店を選んで、ホテルからこれも歩いていける距離の『郷土料理五志喜』へ。鯛の兜煮、野菜炉端焼き、タコのてんぷらなどを肴に酒、氷川さんもかなりのペースで飲んで、今日の興奮を語り合う。〆は鯛めし。鯛の刺身をとろろ汁につけて、ご飯にかけて食べる。

ホテルに戻り、コンビニ(松山市内のコンビニはほぼローソンオンリー)で買ったビール、焼酎などでさらに飲み、Tくん(われわれより10歳下)先に寝た後、酔っぱらったおじさん2人、パソコンで動画流して特ソン大会。いや、盛り上がった。角部屋で、周囲に迷惑はかけなかったと思うが、Tくんはかなりベッドの中でハラハラしていたそうだ(笑)。

食べたもの。朝:551蓬莱の豚まん一個。松山空港で肉きつねうどん。特撮博物館脇の三越レストランでカツカレー。夜:松山料理『五志喜』で刺身、鯛兜煮、野菜焼き、鯛飯。ビール、焼酎ロック。

22日(月)au色を好む
このだいだい色が好き!

朝9時ころまで寝る。テレビのニュースで、田島優成の「時間の大幅な勘違い」による舞台スッポカシ事件の報道。うわーっ、これは恐い。舞台を主宰している者すべての、「いつあってもおかしくない悪夢」。みんな、「たぶんないだろう、そんなこと」という、あまり根拠のない保証によって公演を行っているのである。私のような小劇場でならまだしも、きちんと進行スタッフも揃っている商業演劇でなお、実際にこういうことがある、という実例を見せられて、全ての舞台主催者たちは背中につめたいものが走ったであろう。

Tくんは風邪だそうで、朝ご飯は氷川さんと2人で(話がはずんで長引いていたらTくんも来た)。ここのホテルには納豆あり。愛媛は納豆消費量で47都道府県中35位、大阪は46位である(ちなみに47位は和歌山県)。歴然ということか。

今日は自由行動ということにし、お茶券あるのでロビーでアイスティー飲みつつ電話で、公演事務の入矢くん、TBSのAディレクターなどと連絡をとる。旅行はいいものだが、旅行途中で仕事の話をすると、何とも不安な精神状態になる。現場から外されているというもどかしさから強迫観念的な不安に襲われるからだろう。仕事中毒世代の宿痾、已矣乎。

それからホテルを11時に出て、市電の『道後温泉行き』に飛び乗って、坊っちゃんで有名な道後温泉(今は『千と千尋の・・・・・・』のモデルで有名な、でもあるか)へ。・・・・・・しかし、小学生のころから思っているが、松山の人間というのは、あれだけ作中で罵られていながら、よくこれだけ『坊っちゃん』をリスペクトできるものである。あらゆるものに“坊っちゃんナントカ”という名称がつけられているように思える。

電車の窓から、骨董屋『坊っちゃん』という店が見えた。坊っちゃんで骨董だったら“いか銀”ではないかと思うのだが。あれも作中でミソクソに言われているし、骨董屋なんてのはうさんくさい連中という風に書かれていたはずだが、よくまあ骨董屋を開くときに坊っちゃんという店名にしようと思ったものだ。

道後温泉、ちょっと高いが個室をとって浴衣に着替え、霊(たま)の湯という湯に入る。湯質はさすがによし。それから地下の大衆向けの神の湯というのにも入る。入っていたら、修学旅行生か、高校生の一団が全裸で(当たり前だ)入ってきて、ひとしきりはしゃぎまくっていた。ノンケ趣味のホモの人だったら天国であったろう。

個室でしばらく休んで坊っちゃん団子のサービス。生まれて初めて食べたが案外旨し。その後、『坊っちゃんの部屋』というのと、昭和天皇や皇族がお使いになった又新殿(ゆうしんでん)なる浴室を見学。又新殿の説明、おばちゃんがやっているが、さすが手慣れたもの。

出て、道後商店街をぶらぶら。小腹も空いたな、と思っていたらちょっとよさげなカフェ&ベーカリーの店があった。『道後の町屋』という店で、ひと組、上品な老婦人の2人連れが先に並んでいたので、私としては珍しく並んでみる。禁煙席を希望したら、奥の方の部屋に通されたが、なんと和室であった。いい感じの庭もある。店員のお姉ちゃんに訊いてみたら、大正時代ここに郵便局があり、表に面している喫煙席が当時の局で、ここは局長さんの自宅の居間。局長さんというのが今の店のオーナーの「じいちゃんだそうです」とのこと。

太刀魚のフライのサンドイッチを頼む。まず、今回の旅の収穫と言える味と雰囲気。アイスコーヒーおかわりして、デザートにシフォンケーキ、サンドイッチはたっぷり二切れ、それで1500円は安い。じっちゃんの家だけに地代がいらないからだろう。

いい気分で出て、松山駅前まで行く。駅前とは思えぬ何もなさだが、パチンコ屋と同じビル内のスーパー銭湯を見つけ、そこに飛び込んで、マッサージ椅子など使って、入湯せずに時間をつぶす。

6時半、駅前で再集合。2人はそれぞればらばらに松山城行った由。言いだしっぺの私だけいけなかった。電車で壬生川(Tくんに読みを聞かれ、“みぶがわ”だろう、と答えたのだが“にゅうがわ”だった)へ。駅のホームで松山鮨の弁当を買う。

車内で氷川さんは原稿書き、私は電話あったので週刊某から来週のテーマ打ち合わせ。どこまでも仕事というのは追いかけてくるもの。壬生川からタクシーで東予港へ。夜の港に、思ったよりずっと大きなオレンジフェリーが接岸している。夜の乗船口、人っ気まるでなく(われわれが早く着きすぎた)これはこれで風情あり。

氷川さんと、
「われわれの世代にとって、フェリーと言えば仮面ライダー」
と話す。四国フェリーの『奥道後』号にはデストロン怪人ギロチンザウルスだったが、一番印象深いのは仮面ライダーの死神博士登場回で、九州フェリーの貴賓室に死神博士が乗っていた。フェリーに貴賓室とかあるんだ、と思ったり、予約をショッカーの下っ端が受け持って、
「はい、2時出港の便、貴賓室一名でお願いします。朝食券つきで」
とか言っていたのかと思って笑っていたものである。

平山プロデューサーもこのフェリーには乗り込んでいたそうで、他社(東宝)の役者である死神博士役の天本英世氏に挨拶し、

「こんな子供向け番組にご出演いただきすいません(平山氏は自分の作る番組を常にこう卑下してベテラン役者さんたちに接した)」

と頭を下げると、天本氏は

「いや、この役を僕の代表作にしてみせますよ。僕はこういう役をやらせたらボリス・カーロフの上を行きますから」

と答え、見事に死神博士を仮面ライダーで最も印象的なキャラクターのひとりにしてみせたという。

いろいろ船内探検して、部屋で弁当使いつつ、Tくんの司会で氷川さんと特撮対談。特撮の過去・現在・未来を語る。これは夏コミか冬コミで本にする・・・・・・のか? 2人ともノって、かなり熱が入る対談になった。途中で出港時間となり、一旦中断してデッキに出てみる。

船内はおしゃれな内装だが、乗客はほとんどが一番星桃次郎を彷彿させるトラック野郎のおじさんたち。展望デッキで1人カップ酒飲む者もあり、食道でにぎやかに酒宴はる者たちもあり、これもこれで風情。ここのフェリーは大阪・神戸港で荷揚げされる輸入品、コンビナートの化学製品などを四国に運ぶトラックたちの海上コンテナになっているわけだ。

私は対談後、大浴場で2日ぶりにヒゲをあたり、二段ベッドの下段に。快適である。ただしさすがに航行中はネットはつながらない。早々に就寝。

23日(火)ねこまんま東
東のねこまんまはかつぶし、西はジャコ。

6時起床。顔など洗って、6時半下船。Tくん、氷川さんの2人はこのまま神戸に行き大河原邦男展見に行くが、私は東京に帰ってTBS『ひるおび!』出演。下船のとき、間違えてトラック野郎たちの口に降りてしまい、大型トラックが十数センチ間隔で並んでいる中で迷ってハラハラしたが、ナンとか脱出、その後はモノレール、地下鉄乗り継いで大阪空港まで時間通りに到着。空港のカフェでクロワッサンとスクランブル・エッグのモーニング。日本のスクランブル・エッグもおいしくなったものだが、ならばもう一押し、クロワッサンは温めてほしかった。

のんびりしすぎて、おみやげなど買っている間に搭乗時間ギリギリになり、ちょっとワタつく。乗って離陸したらすぐ爆睡。目が覚めたら、
「当機はまもなく最終着陸態勢に入ります」
のアナウンスあり、びっくり。

羽田空港のエアポートダイナーで、少し休んで『ひるおび!』のトーク構成を練る。ここはコカ・コーラをはじめとして112種類のドリンクが飲めるドリンク・バーであるが、軽食として頼んだチキンタコスがちょっと印象に残る旨さだった。ドリンクはもちろん(何が)、チェリー・コーク。

飛行場からタクシーでTBS入り、時間早く入ったので廊下の自販機でシーフードヌードル買って虫養い。中国の地震でコーナーがオサれて、時間が大幅に短縮、構成大いに変わって、ラストが時間ギリギリになった。

Aディレクターから次の収録日告げられ、ゲッ、となる。長野の落語会の日にドンピシャ。今日の収録も大河原邦男展にドンピシャだったわけで、どうしてこう間が悪いかなあ。バスの時間表眺めて、今から頭が痛い。

帰りは新宿までタクシー出してもらう。運転手さんが私のファンで、いろいろ話しかけてくる。

「“親切”というのは、何で“親を切る、と書くのですか」
「いや、“切”というのは“切迫”などというように、断つという意味ではなく、くっつくように近いという意味なのです。刃物を物にくっつけて断つから“切断”というのです。“親切”は、ぴったりと相手にくっつくようにして親しくすることなのです」

と、熱心に雑学講義。

帰宅、さすがに泥のように疲れ、ベッドに横になる。が、寝るヒマもなく週刊X(笑)から電話インタビュー。フェリーの中でメモしていたものなどを見ながらしどろもどろに話しはじめるが、こういうときは逆に脳が必死で働いて論理をつなぎ、電話の向こうで編集さんがちょっと興奮気味に「目からウロコです!」と口走る出来となる。疲れマラみたいなものか(笑)。

夜、母の部屋で酒。飯塚昭三ご夫妻から貰った大魔王(悪の大首領を長年演じ続けた飯塚さんに実にぴったりの焼酎だ)と、スタウト。話はずみ、はずみすぎて最後は口ゲンカみたいになる。

食べたもの。朝:空港のレストランでモーニング。スクランブルエッグ、ベーコン、ソーセージ。昼:TBSの自販機でシーフードヌードル。夕方:空港で買っ た天むす。夜:母の部屋で小ステーキ、シーフード炒め、蓮の味噌煮。この味噌煮がカツブシが効いて大変旨し! 残り汁に飯を入れて食う。

24日(水)市川ピエゾ
圧力(酒)を加えると電気(暴力)が発生する。

朝9時起床、母の室で朝食。とくダネ! で田島優成の舞台寝坊のことをやっていたが、途中にはさまるCMに高橋恵子が出ていた。すっぽかしコンビか。舞台主催者にとっては不吉な顔が揃っていたな。

怪奇映画研究家の石田一氏に夏コミ同人誌の原稿を依頼していたのだが、もう書き上げて送っていただいた! あと芦辺拓氏には書き下ろし小説を書きましょうかとい うご提案もいただいている。他にも豪華メンバーずらり!(あ、もちろん私も書きますww)。夏コミ新刊『お帰りなさい、Mr.MOTO』ご期待下さい!

旅中にたまった雑用を片づけ、ちょっと昼寝。その時の夢で、『祟りたいほど』の稽古中に主役とエキストラのいい掛け合いゼリフを思いつき、それをつけてから「しまった、この芝居にエキストラはいなかった」と気づき、「もう芝居は終ってしまったのにこのミスに気がつかなかった。話が実はつながっていなかった。どうしよう」と心配になって目が覚めた。また芝居脳に戻っちゃったな(笑)。

これは昨日、舞台の費用清算をして、カードの支払いを確認したため。飲み食いなど、さぞ行っているのではないか、とドキドキしたが、確認してみると最初の予算ワク範疇にきちんとおさまっていた。もちろん、公演のない月にくらべるとかなり多いが、ワク設定がかなり正確に出来ていたのには満足。

日記つけ、各所連絡、なんだかんだ。そろそろ催促くるはずの単行本原稿、結局手をつけられず。雨のせいもある。8時買い物。晩酌しながらDVDで『必殺仕掛人』第10話『命売りますもらいます』。ゲストが園井啓介、唐沢民賢とちょっと渋く、かつ唐沢の方はほとんど顔を見せない。ずいぶんもったいぶる演出だ、と思っていたら実は・・・・・・という話。都筑道夫の時代もの短編あたりにありそうなトリッキーな話(脚本・國広威雄)。そろそろパターンが浸透してきたが故のお遊びだろう。

食べたもの。朝:蓮、イカ、エビ等の天ぷら。味噌汁、果物(タンジール、イチゴ)。昼:天ぷら煮付け弁当。夜:レタスと豚バラの鍋。ホタルイカ、桜えび。マッコリサワー、青汁ハイ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa