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2013年4月10日投稿

可憐な花の名にしおわず【訃報 マーガレット・サッチャー】

鉄の女、サッチャー元英国首相、8日に死去。87歳。

英国初の女性首相だったため、映画作品に彼女をモデルにした人物が多く登場した。『007/ユア・アイズ・オンリー』(81)の、台所で料理しながら首相専用直通電話でボンドと話す首相(旦那がつまみ食いしようとした手をペチンと叩く)が有名だが、私のお気に入りの映画プロデューサー、エリオット・カストナー作品『北海ハイジャック』(80。監督はアンドリュー・V・マクラグレン)で、英国を救った主人公フォークス(演じるのはボンドと同じロジャー・ムーア)に礼を言うのが、やはりサッチャーをモデルにした女性首相だった。

このシーンは、その礼として渡される“もの”が最高の傑作で、ぜひビデオかDVDで確認していただきたいのだが、それはともかく、このときのこの女性首相(演じたのは高名な舞台女優フェイス・ブルック)を、『北海ハイジャック』テレビ初放映のときに声をアテたのが、何と当時の社会党の議員だった土井たか子だった。

この放映時(84)、日本の政界で土井は後に「おたかさんブーム」と呼ばれる人気を博しており、社会党委員長どころか、日本初の女性首相になるか、と予想するマスコミまである始末で、それをアテこんでのキャスティングだったのだろうが、私はそれを見て(聞いて?)あきれ返ったものだ。フォークランド紛争に真っ正面から向きあい、戦争辞さずの姿勢を世論の猛反対をうけながら一歩もひかず、大英帝国いまだ衰えずのイメージを確立することに貢献した鉄の女と、護憲に凝り固まり、北朝鮮を擁護し、日本の国威国威につながるものを全てを戦争に結びつくとして排除しようとしていた土井たか子とは、全く政治家としての姿勢、大きさ、思考力が異っている。女性政治家だから、と勝手に両者を重ね合わせてアテレコさせる日本のテレビ局、またサッチャーの政治姿勢を知らないわけでもなかろうにその要請に乗っかる土井に、ほとほと日本人の政治センスのなさを感じてしまったものだった。

女性が政治に進出しさえすれば戦争はなくなる、などという、当時の日本のマスコミが唱えていた妄想を、マーガレット・サッチャーは吹き飛ばしてくれた。これだけでも評価したい気がしている。

冥福を祈る。あちらで盟友であったロナルド・レーガンとゆっくり思い出話に花を咲かせてください。

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