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2013年2月18日投稿
つぶやき日記1月29日〜31日
1月
29日(火)ジャニーズ磐梯山は宝の山よ
「ユーたち、金のタマゴだよ!」(ジャニー喜多川氏・談)
朝からネット検索。『ダ・ヴィンチ』誌の企画で「ブックギフト・あなたの手放したくない一冊」というのを選ばないといけない(その本を編集部が読者にプレゼントする)のだが、選ぶ本選ぶ本、軒並み絶版・品切れ。私の好みというのがいかに偏っているか。
安岡章太郎氏26日に死去の報。92歳。読んだ新聞には代表作に野間文芸賞受賞の『海辺の光景』等があげられていたが、私にとって、安岡章太郎と言えば、何と言っても『サーカスの馬』(1955)。中学校の時の教科書(副読本だったかな)に載っていた。そんな印象的な作品なのにタイトルを失念して、「サーカスの馬」で検索したらドンピシャそのタイトルだった。
ダメ人間の主人公(安岡自身の少年時代)が、巡回サーカスのみすぼらしい馬に自己投影して親近感を抱く。ところが、その馬は実はサーカスの曲芸の花形だった。スポットライトを浴びて誇らしげなその馬に、主人公はいつしか我を忘れて、精いっぱいの拍手を送っている、というラストが印象的だった。
感想文を書かされたのだが、先生が模範解答として上げたのが、その教科書(だったか、副読本だったか)に記載されている
「主人公が自分と同じ立場と思っていた馬は、実はスターだった。一瞬の歓喜の後に、主人公はやはり自分は孤独なダメ人間なのだと深く落ち込むだろう。この作品のテーマは、描かれた喜びの後の喪失感ではないだろうか」
という、女子中学生のものだった。
国語の担任(いい先生だった)が「ここまで深く読めなければダメですね」と言ったのに対し、私は 「いや、作者はまさかそんな絶望の物語を中学生向けに書きゃしないでしょうし、教科書会社だって載せないですよ」 とミもフタもないことを主張して反論、大論争になった思い出がある。
ずっと後になって知ったのだが、この話は安岡が、母校に最近生徒の自殺が多いと知って、自殺したがる生徒をはげまそうとこの作品を書いたということだった。やはりあの作品はハッピーエンドでよかったのだ。はからずも私の論が正しいことを知って満足だったが、しかし当時から私は青臭い文学趣味が大嫌いだったのだな。
このときからの性癖が、後に自己陶酔にひたるエヴァ信者を馬鹿にして後々まで恨まれるモトとなったかと思うと、なかなか自分にとり安岡章太郎という作家は因縁が深い作家なのである(笑)。
ちなみに、当時の教室では、このダメ主人公の口癖の「まあいいや、どうだって」が大流行した。作品は必ずしもテーマに沿って読まれない、という好例。
気圧不安定か、やらねばならぬ仕事にも取り掛かれず。かろうじて新宿に出て振り込み等数件。小田急にて、こないだのおばちゃんに挨拶して、またあなご寿司、白焼きのを買う。向こうも覚えていてくれた。次回出店は5月の由。
昨日から、廉価版DVDボックスで買った『ジェシカおばさんの事件簿』を見始めた。『刑事コロンボ』のW・リンク&R・レビンソン、そのシリーズで『逆転の構図』『5時30分の目撃者』などの傑作エピソードを担当した脚本家ピーター・S・フィッシャーの三人がクリエイトしたこの作品、コロンボですら第一・第二シーズン合わせて69本しか制作されていないのに、なぜこちらが264本もの膨大な話数を誇る人気番組になったかと言えば、一本々々に映画作品並の完成度を持たせようとしたコロンボに比べ、この作品がテレビシリーズの原点に帰った軽みを主体にしていたからだろう。
ミステリとしての出来はコロンボほどではないが、何よりキャラクターたちの会話の楽しさ、IMDbでミステリではなくクライム・コメディに分類されている笑いの要素の強調が、アメリカのお茶の間に膾炙したのだと思う。そして、この番組の何より魅力は、そのあまりに渋いキャスティング。往年のスターからアイドル、脇の名優たちの総ざらえと言ってもいいくらいで、しかも、ここしばらくテレビなどでもあまり顔を見なかった人たちが多い。ゲストを見るだけでアメリカ映画・テレビの黄金時代が甦ってくる気がする。
昨日、たまたまランダムに見てみた第三話のゲストがウィリアム・コンラッド(『探偵キャノン』)にハード・ハットフィールド(『キング・オブ・キングス』、『絞殺魔』)。こんな取り合わせ、まず他の番組ではありえず、しかも日本語版の吹き替えが大平透に黒沢良!
あまり懐かしかったのでもう一本、五話を見てみたらゲストがジェームス・ココ(『ラ・マンチャの男』『名探偵登場』)にキム・ダービー(『勇気ある追跡』)だと。で、ココの吹き替えが小松方正! これは60年代〜70年代の洋画、テレビドラマファンにとってのタイムマシンみたいな番組なのだな。
で、今日は改めて第一話『海に消えたパパ』を見てみた。レギュラー声優が森光子、高木均、冨田耕生。ゲストが近石真介、小山茉美、野沢雅子、池田昌子、吉田理保子、中江真司、宮内幸平、清川元夢。もう、耳で聴いているだけでエクスタシー。
正月に見たDVD『人間は何を食べていたか』のヤムイモの回を見て、似たようなものを食べてみようと考え、豚バラ肉を厚切りにし、安納芋と一緒に蒸篭で蒸してみた。DVDではバナナの葉に包んで蒸していたが、バナナの葉を手に入れるのは難しいので、料理用の笹の葉で代用。自家製のネギ味噌ダレ(長ネギの白い部分、味噌、ニンニク、ショウガ、黒砂糖、日本酒などをミキサーにかけて造る)につけてやってみる。・・・・・・いやあ、ビールに良く合います。本当は『人間は・・・・・・』の部族のように、焼いた塩だけで食べてみようとしたのだが、やはり現代に慣れた舌には無理だった。
食べたもの。朝:切干大根、塩サバ。味噌汁、果物(イチゴ、マンダリン)。昼:ゆうべの鍋の汁で雑炊。夜:豚肉と安納芋の蒸したもの。ホタルイカ、王糖姫トマトなど。発泡酒、黒ホッピー、緑茶ハイ。
30日(水)自衛隊自衛隊、軍隊に見えても9条があっても
兵士A(リクエストによる過去作品)
先日の朝食時、新聞を読んだら、大河がらみの新刊の広告。八重が宝塚もかくやの美人に描かれていてびっくり。(写真参照)もともとホンモノの新島八重が美人ではなかった、ということは有名だが、まあドラマで綾瀬はるかが演じるのは、これは致し方ないと思う。が、本の(しかも歴史ものの)表紙がこれではサギまがいである。
ところで、『八重〜』で有名な日新館には、『什(じゅう)の掟』なるものがあったという。「ならぬことはならぬものです」というアレである。詳しく説明しているサイトを検索してみると、破ったものには無念(みんなの前での謝罪)、竹箆(手の甲や手のひらをたたく)、絶交(親同伴で謝りにこないと一切口をきかない)などの他、火鉢の火に手をかざす“手あぶり”、雪の中に突き倒して雪をかける“雪埋め”というような制裁もあった、という。いじめじゃないか? と思ってしまうところだが。
今日の朝は母が親戚のところに行ったので、作ってもらったビーフサンドイッチ。旨いがサンドイッチというのはそれだけ食べていると飽きるものですな。食べながらテレビで国会中継見る。平沼赳夫の話、全く面白くない。党を背負っての代表質問でこれはダメだ。
ちょっといろいろ電話で雑談したりなんだり。霊の話になり、こないだのTACCSの霊騒ぎのことを話すと、シアターグリーンも有名だ、と言われる。先日会った女優のKに言わせると、あそこは霊のたまり場みたいなんだそうだ。渡辺克巳氏も、突然照明が落ちるなどの怪現象に遭遇しているという。なるほど、あの劇場、お寺の経営で劇場の裏は墓地。確かに霊がいそうな、しかしお寺に地縛霊が出ちゃいかんだろ、とも思えるし(笑)。
その話の中に、『アラジンと魔法のランプ』のことが出る。それで思い出した、映像作品では大抵省略されてしまうが、あの話でアラジンが最初に呼び出すのはランプではなくて指輪の精。その手引きでランプの秘密を知るのだ。後でラ ンプを奪われたときにもう一度指輪の精を呼び出し、ランプを取り戻せと命じるが、指輪の精は自分の力はランプの精にはとても及ばない、と命令を拒否する。この、精(ジン)同士でのヒエラルキーというか、力の差が子供ごころに大変面白く、それでもまあ出来る限りのことは、とアラジンをランプを奪った魔法使いのところに連れていく指輪の精がけなげで、秘かなファンだった。
なんでこんな地味な奴のファンなのか、と考えてみたら、ウルトラセブンのカプセル怪獣のノリなんではないかと気がついた。あと、最初に指輪の精が出てきて、これが大活躍するのかと思わせて、それは前座で、その後で真打のランプの精がおもむろに、という登場のさせ方は、最初に27号が出てくる『鉄人28号』の原型かと。
松山幸次くんが、知り合いから『7:00am』のDVDを欲しいというお客さんがいる、とのことで6時半、中野駅で会う。受け渡しそのものは1分で済み、せっかくだからちょっとメシでも、と焼肉屋『とらじ』。芝居の話、役者の話、劇団の話とそれからそれへと話題つきず、しだいに話に熱が入って、いつのまにやら真露(中ビンだが)何本あけたか。ワケわかんなくなり、気がついたら時計はすでにてっぺん近く、中野の寒い路上で、
「また一緒にやろう!」
「やらせてくださいよ!」
と、大声でわめき、抱き合って泣いていた。通りがかりの人間、何だと思ったか(笑)。
食べたもの。朝:ビーフサンドイッチ。昼:抜き。夜:中野で松ちゃんと焼肉。タン塩、ハラミ、カルビ、イカなど。冷麺も食ったぽいが、記憶さだかでなし。
31日(木)アッポーハーブ
プロレス界に蔓延する薬物について馬場さん、一言。
11時半、当然まだ二日酔い。今日の観劇が夜でよかった!
〈維新〉平沼氏「脱原発」質問せず 時間切れ、大阪系は不満、というニュース。 昨日の日記でこの人の話をつまらないと書いたが、そうか、党是ではあれ自分の主張とは違う脱原発の質問をしたくないための作戦だったか。田中方谷なんて人の話を長々して、変だと思っていたんだが、タヌキだねぇ。
いろいろやらねばならぬこと、詰まる。何か今週のスケジュールがいびつだな、と思っていたら、どうも先週末に、デジタルカレンダーの火曜(TUE)と木曜(THU)を読み誤って立てていたらしい、とわかった。中学生か!
AKB峯岸みなみの坊主刈り事件で騒いでいるのはお釈迦様の手のひらの上で騒いでいる猿だけ、と思っていたが、峯岸公認ものまね芸人、として八幡カオルが出てきたときには驚いた。偶然、あの事件前に丸刈りにしていたという。同じうわの空離脱組として、元気にやっているぽいのは重畳。
劇団ヨロタミ観劇のために池袋へ。乗ったタクシーの運転手さん、「あれ、お客さんの声、どこかで聞いたなあ」から始まり、「ひょっとしてテレビ出てません?」というお約束の展開。まあ、普通はそれからしばらくテレビ関係の雑談して終るのだが、今日の運転手さん、何か興奮して「大ファンです!握手してください!」と運転中に握手求められる。危ない(笑)。お世辞ではないみたいで、ありあわせの紙にサインまでさせられる。
「僕、今日誕生日なんです。いや〜、いい自分へのプレゼントだったなあ」
と。テレビ文化芸人として、ここまで熱烈なファンがいるとは恐縮。
グリーンシアター、今年になってもう何回目か? まあ、演劇祭をやっているわけで、知り合いの劇団がいくつも参加しているだけなのだが。5階のBOX IN BOX THEATERにて『4人の被疑者』(坂本直季作・演)。いつもヨロタミはリアルな(リアルすぎる)セットが売り物だが、今回は監房をイメージした可動式の壁を組み合わせてさまざまな場所を表現する、抽象的なセット。
で、二時間二分という長めの上演時間の中にいろんなもの詰め込んで破綻なくまとめている。長く感じなかったのはさすが。4つの個別の事件が、芝居が進むに連れ有機的にからんでくるという構成も演劇的でいい。ただ、子供への暴力問題というかなりオンタイムなテーマと、オウム真理教事件という、すでに十数年経っている(と、いうことで観客の大方の意識では過去のものになっている)テーマが、同じ時系列で語られることに、やや違和感があり、それがこの芝居のリアリティをかなり下げている気がしてしまう。あれだけあからさまなパロディを「現在」のものとして設定の中に盛り込むと(坂本直季自身が麻原ぽい教祖をギャグたっぷりで演じていた)、あの芝居の世界の中では“ホンモノの”オウム事件は存在しなかったことになってしまうわけで、世界観そのもののリアリティが感じられなくなってしまうように思う。
中澤くんは、シリアスな中でちょっとコメディっぽい刑事役で、新鮮でよかった。本人としては、ちょっと反省点残る芝居だったようだが、観る側からしてみれば問題なし。出番が長かったのもいい。このコメディリリーフ役が全体のアクセントとして機能しているか、となると7割くらいだと思うが。
観劇後、役者さんたちに挨拶。西武か東武で買い物していこうかと思うが、昨日買い物した食材がまだ残っている(食べるつもりが松ちゃんとの飲み会になってしまった)ことを思い出し、そのままJRで帰宅。
『ジェシカおばさんの事件簿』「嘆きのコメディアン」見る。ゲスト声優がはせさん治と宮部昭夫。軽妙な演技でベテランぶりを発揮してくれていたが、主役の森光子と共に、両人とももう故人。ちょっと切なくなる。あ、脇で谷口節も出ていたんだ。
アンジェラ・ランズベリーは若い頃『ガス燈』(1944)などに出ていたがその後映画を離れ、舞台女優をやっていた。久しぶりに映画に戻ったのが『ナイル殺人事件』(1978)の エロ小説家、サロメ・オッターボーン役。ジェシカおばさんしか知らない人がこの映画を見たら、その怪演に驚くだろうなあ。ちなみに『ナイル〜』のテレビでの吹き替えではオッターボーンは関弘子。『じゃじゃ馬億万長者』のおばあちゃん役そのままで大笑い。
このオッターボーン役でランズベリーはプロデューサーのジョン・ブラボーンに気に入られ、次の『クリスタル殺人事件』(1980)でミス・マープル役に抜擢される。この時はまだランズベリーは日本では無名で、主役なのにエリザベス・テーラーやキム・ノバクなど他のキャストに隠れてしまっていた。
『クリスタル殺人事件』は映画自体、監督のガイ・ハミルトンが全盛期を過ぎていてイマイチの出来だった。だが、ランズベリーのミス・マープルは最高で、冒頭の、古いミステリ映画のネタばらしシーンは傑作だった(この冒頭が一番面白かった)。
このランズベリーに目をつけたのが『刑事コロンボ』のプロデューサーのレヴィンソン&リンク。舞台をアメリカにして、ランズベリーのマープルをほとんどそのままで持ってきて『ジェシカおばさんの事件簿』をこしらえた(サブキャストがやたら豪華なのもそのまんま)。
ちなみにこのシリーズの原題『Murder,She wrote』は、イギリスで人気シリーズだったマーガレット・ラザフォード主演のマープルもの映画『Murder, She said』(1961)のもじり。確信犯なのだ。
食べたもの。朝:粕汁、果物(ブドウ)。昼:ミカン一ヶのみ。夜:鯛ちり、あなご寿司、王糖姫トマト、ローストビーフ。発泡酒、エール、黒ホッピー